第24話
僕はえみの事が心配だったが、続けてエレベーターに飛び乗った。周りは光に包まれ、別なフロアにたどり着いた。
「えみさんは一人で大丈夫なの?」
てつしは、あいつロボットの相手は得意なんだよ。とにっと笑った。えみさんがいた方から大きな爆発音がした。だろ?と言う目でてつしが僕を見てきたので、驚いた顔で頷いた。
そのフロアには、芝生が一面に広がる大きな広場があった。僕達はその真ん中を突っ切る。丁度広場の中央に差し掛かった時、前方に人影が見えた。人影、というより熊のように大きな影だった。僕達は足を止めた。
その影はどんどん僕達に向かって来る。そいつの全貌が明らかになってきた。頭部は他の人間と変わらないが、腕は丸太のように太く、胸は山脈のように分厚く盛り上がっている。そいつは、僕達の目の前にやってくるとフリスビーから降りた。
「お前らか、研究所に忍び込んで来た小鼠達は。」
小鼠とは失礼だな、とリーダーはむすっとした。この人には緊張感ってものがないのか、と呆れて彼の事を見ていると、僕の横から大きな影が前に一歩出た。
「俺の、出番。」
そうしだ。お前が適役だな、とてつしはそうしの背中をぽんと叩いた。二人は中央で睨み合い、まるで縄張りを取り合う熊のように見えた。僕達は走って広場を後にした。
二つ目のエレベーターの前に着いた。
「誰も出てこないでくれよ。」
てつしは祈るように言った。その祈りは通じたのか、無事エレベーターを作動させ、次のフロアにたどり着いた。そこには大きな通路が真っ直ぐ続いていた。研究所の棟と棟を繋ぐ連絡通路といったところだろう。奥にはエレベーターが見えた。
が、その連絡通路の中央に人が立っている。身は細く、何かを両手に持っている。その人影に動く気配は無い。僕達はエレベーターの方に向かって歩く。その影との距離が五メートル程になると、てつしが口を開いた。
「どちら様ですか?ここ通ってもよろしい?」
小馬鹿にした言い方だった。少し間が空いた。そいつはまだ喋らない。てつしが痺れを切らして、失礼します、と言いながら前へ一歩踏み出した瞬間、鉄と鉄とがぶつかり合った音が鳴り響いた。火花が飛び散る。
僕達の目の前でげんしとその影が刀を交わし合っていた。そいつの目は冷たく凍っているようだった。表情も変えず、両手に構えた刃物をげんしに向けている。げんしはそれを大きな一本の刀で受け止めている。
てつしも流石にこれには驚いたのか、冷や汗をかいて一歩後ろに下がっていた。




