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『霧島華音・結』 ~『不思議』の『何でも屋』~  作者: hermina
第6章 『千重の桜』 ~華音の章~
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『千重の桜』 ~華音の章~ 終

私は意識を・・・”私”に戻す。

人形の体は消滅した。代わりの人形はもう無い。

唯一、黒猫の『かのん』にならば魂のほんの一部・・・いや、ひとかけらを移す事が出来よう。

私の瘴気から生まれた夜魅やみとも呼べる猫だとしても。


階段を下りてくる音が聞こえる。

狐だろう。

もう、外への扉は閉ざされてしまった。この場を動けない私以外であの扉を開ける事が出来るのは、鍵を持った海魔クラーケンか花子くらいだろう。


「狐。」


私のいる広間まで下りてきた狐に声を掛ける。


「姫。無事だったか。」


「いや、無事では無い。」

「あの人形は消滅してしまった。夜叉姫を道連れにしてな。」


「そう・・・だったの。姫は、此方が本当の姫・・・だったの。」


私は頷く。

私の姿は黒い大きな獣。狐も昔はこの姿を見て、逃げ出してしまった。

今は・・・驚いたもののそう言った事は無い事に少し安堵する。


「なんとか、夜叉姫の念を追い、夜魅やみの王の場所は特定が出来そうだ。」

「だが・・・」


もはやその必要もないだろう。

私も夜魅やみの王にも次の一手が無い。

お互いに封印された(る)身。暫くは様子見になるだろう。

それが・・・数年なのか、数百年なのかは分からない。


「待つしかあるまい。」「ここを開けてくれるモノをな。」狐は言う。

此処に来るのは・・・海魔クラーケンになるのか、花子になるのか・・・それとも・・・香奈か。


私は手をおいでおいでと振り、ちょいちょいと自分の隣を差す。

人型だった狐は白子の姿になり、私の横に座る。


「狐。」

「待っている間、話でもしようか。」


「そうだの、昔みたいに。」


『祠』の扉が開くのは・・・そう遠い話ではない。

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