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『霧島華音・結』 ~『不思議』の『何でも屋』~  作者: hermina
第6章 『千重の桜』 ~華音の章~
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『千重の桜』 ~華音の章~ 其の五

翌日。

狐と花子にそれぞれ、香奈の様子の確認と店の様子と『かのん』を見に行くように伝え、私自身は『桜』の元に残った。

・・・いや、残らざる得なかった。

最近、無理をしすぎた。この人形からだはもう限界が近い。

恐らく、この戦いで・・・


「音。」


「千重か。どうした?」


「・・・いえ、もう限界ではないのですか?」


千重にはわかってしまっている様だ。思えばこの人形からだも、前の人形からだも千重が用意してくれたものだ。


「・・・そうだな。だが、刺し違えてでもここに来た夜魅やみを倒してみせるさ。」


「貴女に合った人形からだは、それが最後です。本来ならば、体の方の転生体を見つけられれば・・・」


「転生体か。」


私は死んだ。死してその魂は夜魅やみになった。魂は輪廻の輪を外れ『現世うつしよ』にとどまっている。

だが、体の方は・・・転生を繰り返し、今は・・・恐らく、彼女が・・・


「それは出来ない。その為の『かのん』だ。」


「黒猫の体では不便ですよ?」


「まあ、その時はなんとか次の人形からだを探すさ。」

「とりあえず今は・・・少し休む事にする。」


「そうですね。私も事が済み、音を封印するその時まで休む事にします。」

「・・・負けないで下さいよ?」


「ああ、勿論だ。」


私は『桜』に寄りかかり、眠りに落ちた。


目を覚ますと、夕暮れ時となっていた。

こきこきと体をほぐし、じっと『桜』を見上げる。

満開の『桜』私の封印はもう直ぐ解ける。


「お、皆来たのか。」


祠の扉が開き、狐、花子、そして香奈がやって来た。


「華音さんっ」


「香奈。久しぶりだな。」


「うんっお店に行っても全然いないんだもんっ」


「すまなかったな。」

「ちと・・・野暮用でな。」


「野暮用とはな。これだけの事をしておいて・・・」


「なんだ、狐も来ていたのか。」


「なんだはないだろう、なんだは。」


不機嫌そうに口をとがらせる狐。


「華音様。そろそろ香奈ちゃんに説明してあげた方が・・・」


花子に言われ、私は事の顛末を香奈に話す事にした。

とりあえず、香奈の身の安全はある程度確保されただろう。


「おっと・・・そうだな。」

「香奈。今回の事は凄く危険が伴ったので、話さなかった。」

「それに、何度も店に足を運ばせて悪かったな。」


「ううん・・・それはいいの。」


「・・・では、今回の・・・てうしに起こっていた事を話そう。」


事の始まりは『楔』。そして夜魅やみ・・・夜魅やみの王。

其れにより訪れるであろう危機。『常世とこよ』の浮上による『現世うつしよ』の崩壊。

さらには、夜魅やみの性質や行動理由なども。

しかし、私自身の事や私自身を囮に使う事については話さない。


香奈は、「あれ?あれ?音姫が華音さんで・・・桜が桜井さんで・・・」とあまり分かっていないようだが。

それについての説明をどうしようかとあぐねていると、見知らぬ声が聞こえる。


「そこから先・・・話してもいいのか?」

「お前の為にならんと思うぞ?」


音も立てずに結界に侵入するとは・・・

般若を模した面を被った姫のような夜魅やみ


「ほう、これは大物が釣れたようだな。」

「・・・夜叉姫。」


「流石に、わらわを知っておったか。」

「ならば、何をしに来たのかも分かるじゃろうて?」


「花子。」

「今すぐ、香奈を連れてこの場を離れるんだ。」


花子は無理やりに祠の扉に香奈を押し込むと、自身も入り込む。

それを確認すると、私は夜叉姫と対峙する。


「狐っ!手伝え!!」


「まったく・・・狐使いが荒いのじゃ」と言いつつ、狐も臨戦態勢を取った。

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