『千重の桜』 ~華音の章~ 其の三
『桜』で結界の準備を進める私の元に、海魔が訪れた。
クラーケンは、完全な人型を取る事も出来る。能力に大分制限がかかるようではあるが。
それよりも、クラーケンが此処に来たという事は・・・
(華音様。頼まれていた件、調べ終わりましたぁ〜)
やはり、以前頼んであった『楔』の件だ。
「ありがとう。して、どうだった?」
(はい〜同じような『楔』が4つありましたよぉ〜?)
「そうか、で、その場所には?」
(当然っ配下の物を控えさせてありますぅ。たぁだ・・・うちらでは、手が出せませんゆえ・・・)
『楔』自体が良くない物を集める。そして、海魔達とはいえ、あまり接近すると取り込まれかねない危険性がある。
故に、前の1本は私自らが破壊をしに言った訳だが・・・
・・・今は、結界の件で手が離せない。
ならば・・・
「すまないが、もう一つ頼まれてくれないか?」
(はい〜華音様のご命令ならば・・・ですよ?)
私は数枚の札を取り出す。前に使った『大爆発祈願』と『ばりやー祈願』の御札だ。
・・・勿論『防水祈願』済である。
「御札を使って、4つの『楔』を破壊して、もう一度此処に戻って来てほしい。」
(これは・・・あの時の華音が使った・・・)
(わかりましたぁ〜コレならばうちらでも破壊する事ができますぅ。)
「それと、此れも渡しておく。」
(これは?)
「『鍵』だ。其処に『祠』があるだろう?もし、此処に帰って来て『私』が居なかったら、この『鍵』で『祠』を開け中に入ってくれ。」
「其処に・・・『私』がいる。」
其処に居るのは、『私』。本当の『私』。
(わかりましたぁ〜華音様の命、必ずや果たしてみせますぅ)と言ってクラーケンは、海へと戻った。
私は、結界の準備に戻る。
私の封印が解ける日は・・・近い。
『桜』は妖しくも美しく咲きほこっていた。




