『千重の桜』 ~華音の章~ 其の二
数日が経ち、結界の準備も着々と進んでいる。
香奈の方も今の所、奴等と接触した様子は無く、引き続き狐が影ながら護衛をしている。
私と花子は、準備を進めるに当たり、必要なモノの補充の為『霧島華音』に戻っていた。
以前より用意していた御札や願いが叶う壺・・・いや、封印の壺等を持ち出し、再び『桜』の元へと戻る。
トイレの扉は『桜』の元に繋がっている。扉を開け・・・
「華音様?」
私は、入口の扉を開け外に出る。
「華音様?何で玄関から??」
「あ、・・・そういう事ですか。」
香奈が来る気がしたのだ。
「こんにちは〜」
「あ、香奈ちゃん、こんにちは。」
「ごめんね。ちょっと今日は、私も華音様も用事が出来ちゃって・・・」
私の方をちらっと見ながら、花子が応対する。
今、行っている事は危険が伴う。香奈を連れて行くわけには行かない。
「すまんな、香奈。」
と、私も謝る。
そして、学校の方にそれとなく、不審者という形で説明しておいた奴等の事を聞いておく。
「あ、うん。」
「それで、相談があったのだけど・・・」
「相談?不審者に会ったのか!?」
「大丈夫だったのか?何もされていないな??」
私は香奈に詰め寄り問いただす。
「う、うん、大丈夫。」
「会ったというより、転校生の桜井さんを見かけただけだから。」
「転校生?」
ああ、狐の事か・・・お前、影ながら守っている所か不審者扱いだぞ・・・
「うん、「桜井千重」ちゃんって子なんだけど・・・」
「桜井・・・『千重』・・・だと?」
結局、学校でもその名前を使ったのか、と思いつつも無事学校には、馴染めたようだなと安心する。
「うん。千重ちゃんだよ。」
「あとそれと・・・なんか、青白い炎・・・みたいなのも見たの。」
「すーっと消えちゃったけど。」
・・・狐火だな。
しっかり見られてるじゃないか・・・まあ、香奈に危険が無いならば、いいが。
どう、フォローしたものかと思っていると、「あわわわわわ・・・それ、きっとお化けですよ!!」と花子が妙な方向のフォローを入れた。
「・・・トイレの花子さんのお前がお化けで怯えてどうする・・・」
まあ、しかし・・・着実に・・・入り込んできているな。
結界の方も急がなければなるまい。
そして、香奈の方にも「うむ、分かった。一緒に調べておこう。」
と言い、安心させておく。
「あ、それと・・・」
「ん?」
「『桜』が・・・『桜』が咲いていたよ・・・」
「・・・そうか。」
私は香奈と別れた後、再び店に入りトイレから『桜』へと向かった。




