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『霧島華音・結』 ~『不思議』の『何でも屋』~  作者: hermina
第4章 『自分攻略サイト』 ~華音の章~
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『自分攻略サイト』 ~華音の章~ 其の五

数分後。

私は、オリエンタルな・・・占い師が着ている様な服に着替えて部屋に戻る。


「まあ、他の衣装でも、占い的な事は出来るのだが、『占術』を使うからな。」


『占術』要するに『占い』の様な物なのだが、占いとは様々な方法で、人の心の内や運勢、未来など直接観察できないものについて判断する事であるが、

『占術』は、それに『魔術』的要素を加えたものだ。

『占い』は、『当たるも八卦、当たらぬも八卦』と言葉があるように、必ず当たる訳では無い。より確実性を上げたものが『占術』と言う訳である。


「運命は・・・まだ・・・」

「私は、そう言ったのだな?」


「確かに、そう言った。」


「ならば、占ってみよう。」

「お前の過去、現在、未来・・・運命を・・・『占術』でな。」


『占術』・・・占いは、大別するとめいぼくそうの三種類に分かれる。

これらを使い分け・・・または組み合わせる事により占う。それに『魔術』的な要素を加える。


「先ずは、命」

「お前の、生年月日・・・出来れば、時間、場所も分かるか?」


「生年月日は19○○年○月○日生まれ・・・で、生まれた場所は、確か、そこの鳥田総合病院だ。」

「時間までは・・・分からない。」


「ふむ、四柱推命しちゅうすいめいと言うのを行うのだが、時間が分からないのならば、三柱という事になる。」

「花子、ちょっと調べてくれ。」


私は花子に指示を出すと、花子はPCに向かい、調べ始める。


「はい。」

「・・・○○時ですね。」


「な、今何をした!?」


「え?ちょっとお役所のサーバーから失礼しただけですよ?」


その間、2〜3分と言った所。花子は案外とこういうのが得意である。

其処に私は説明を加える。


「昭和20年以降の新生児は、出生届けに生まれた時間を記載することが義務付けられている。」

「まあ、兎も角これで四柱揃った。」

「早速始めよう。」


四柱推命は、生まれた年、月、日、時の四つ干支を柱とし、その人の生まれ持った可能性を推し量るものである。


「止・・・暮・・・比肩・・・」

「成程・・・ならば、あの事故で・・・と、いう事になるのか。」


ふむ、事故の事がここで絡むのか。


「次は卜だ。」


「あの・・・結果は?」


「後で纏めて話す。」

「組み合わせる事も重要なのでな。」

「此れは、天地盤という。」


私は一枚の板状のものを出す。

同様に、一郎から得た情報を照らし合わせる。


「月将・・・干支・・・四課・・・三伝・・・十二天将・・・空亡、徳神、禄神・・・」


やはりそういう事なのか。

おおよその結果は出た。


「次は相だが・・・」

「此れは、特に用意するものもない。」

「既に、会話しながら行っていたからな。」


占いの道具をしまい、改めて向き直る。


「さて、此れまでの私の推測と『占術』で導き出された結果だが・・・」

「少し、覚悟のいる事だ。」

「心の準備はいいか?」


私は一郎にそう言いい、一郎の返事を待つ。


「・・・話してくれ。」


「うむ。」


私は静かに話し始めた。


「先程も言ったが、お前は既に死んでいる。」

「そして、お前は佐藤一郎・・・では無い。」


「は?」

「俺が、佐藤一郎でなかったら誰なんだ!?」


「・・・最後まで聞け。」

「お前の体は佐藤一郎のものだ。」

「だが、お前はおそらく・・・佐藤一郎の双子の弟だ。」

「お前は、死んだ後、佐藤一郎の『守護霊』として佐藤一郎を守ってきた。」

「21日に佐藤一郎は何らかの形で死ぬ運命にあった。」

「その死の瞬間、もしくは死んだ後、お前は守れなかった事を後悔した。」

「先に話したように、お前は死んでいるから時間の概念が無い。」

「正直、私にもどの様な『チカラ』なのか見当もつかないが、過去に戻る事が出来るようになった。」

「正し、別世界の14日に・・・だ。」

「別の世界・・・便宜上、類似別世界とするが、其処で私に会い相談をした。」


「すまないが、俺は霧島華音・・・様に相談した記憶がないのだが?」


「そう、それだ。」

「それが、『佐藤一郎 攻略サイト』の意味だ。」

「お前は記憶が欠落している。」

「お前がループしている回数は4回じゃない。・・・おそらく、数百回にも及ぶだろう。」

「そんな、大量の死の記憶に耐えられる筈が無い。」

「類似別世界の私は、お前に記憶を『佐藤一郎 攻略サイト』に移す事を提案し方法を授けた。」

「そのサイトをよく見て、思い出せば自ずと全てを理解するだろう。」


「攻略サイトなら、穴の開くほど見た。」

「しかし、記憶なんて・・・」


「其れは、お前がお前の記憶として見ていないからだ。」


「俺の・・・記憶・・・」


そういうと一郎は、PCに表示されている『佐藤一郎 攻略サイト』を見た。

私から見れば其れはエラー画面。

だが、一郎は其処に何かがあるようにクリックをする。

やがて・・・


「・・・思い出したようだな。」


「ああ、俺は・・・佐藤二郎。」

「佐藤一郎の双子の弟だ。」


本当の名前は佐藤二郎。中学生の時、事故で母親と共に死んだ。

死んだ二郎は、佐藤一郎の守護霊として、兄を守っていた。

だが、その日は訪れた。兄が居眠り運転のトラックに轢かれて死んだのだ。

運命を呪い、守れなかった自分に絶望し、トラックの運転手を祟った。

その時、二郎の中に黒い何かが生まれたらしい。


夜魅やみ・・・いや祟り神だ。」

「元々、守護霊になれる程の霊格を持っているならば、神に近い者になれる可能性はある。」

「・・・ただし、呪いや恨み妬みから生まれる神は、祟り神だがな。」


「祟り神・・・」


「天変地異を引き起こし、病を流行らせ、人の心を荒廃させる。」

「とは言え、『八所御霊』の御霊とは、格が違いすぎる。」

「7日間限定の祟り神・・・と言ったところだろうな。」


「なら、俺が何かをしようとすれば、兄貴は・・・」


「そうだな、お前が事を起こそうとすればする程、好転はしないだろう。」

「な〜に、守護霊なんてものは、見守っていれば良いんだよ。」


「つまり、何もするな・・・と?」


「まあ、それだけじゃあ、不安かもしれないな・・・」


さて、確かこの棚に”アレ”があったな・・・

ごそごそと数分間物色し、私は其れを見つけた。日本酒だ。


「祟り神って言うのは、祀ると強力な守護神になるんだよ。」

「まあ、簡易的な祭礼・・・って意味でどうだ?」


取り出した日本酒は勿論ただの日本酒では無い。


「学校の上に桜の老木があるだろう?」

「そこの御神体にお供えしたものだ。」


『桜』の御神酒。祀られているのは・・・


「それは、ご利益がありそうだ。」


二郎は、苦笑しながらも、杯を受け取る。

まあ、二郎は中学生の霊だが、一郎は社会人だ。問題はあるまい。


「ああ、そうだ・・・」

「私が言ったという・・・『運命は・・・まだ・・・』ってやつ」

「多分だが、こう言ったと思うぞ。」


『間に合わなかったか・・・』

『いいか? 私を探すんだ。』

『この日、この時間を迎える前に・・・』

『お前の守護する者の運命を決めるのは、お前じゃない。』

『この者の運命は、まだ決まっていない。』

『私に会い、自分自身を思い出せ!』


「私は多分、21日の時点で”異常”に気が付くのだろう。」

「運命を無理やり変えようとする歪みを・・・な。」


「・・・ありがとうございます。」


「なに、お礼は上手くいった後に『さのや』でいいぞ?」


「ははは、分かりました。」

「それと・・・その黒猫。」

「21日は外に出さない方が良いと思いますよ。」


二郎は黒猫・・・『かのん』を見て言った。


「兄貴と一緒に、トラックに轢かれますから。」


「・・・」


そうか、そういう事か・・・『楔』を打った何者かの意図。

私自身も、二郎に命を救われると言う訳か。


「肝に銘じておくよ。」


「それでは。」と二郎は帰っていった。

これで、21日の死の運命は回避できたのだろうか?

仮にこの選択が間違っていたとしても、私にはどうすることも出来ない。

出来なければ、この世界も・・・二郎のループの一つだったという事だ。

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