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『霧島華音・結』 ~『不思議』の『何でも屋』~  作者: hermina
第3章 『黒歴史ノート』 ~直哉の章~
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『黒歴史ノート』 ~直哉の章~ 其の九

俺達は、香織達が拠点として使っていた城下町で、クエストの準備を整える事にした。


「俺は・・・この町はあまり来た事がなかったな。」


「だよね。華音さんと花子さん・・・あ〜『裂光』って言った方がいいかな?が拠点として使っていたんだって。」

「ちょっと広めの酒場の2階をまるまる借り切っているわ。」


「まあ、メメタには困っていないからな。」


俺と香織は、回復アイテムの調達。

香奈と『深闇』は、武器・防具の手入れに行っている。

俺と香織の武器、防具は俺達が考えた『黒歴史せってい』により、自己修復するので問題が無い。

暫く歩くと、大きめの道具屋を見つける。

俺達は、早速中へと入る。


「いらっしゃい!」


威勢の良い親父が店主のようだ。


「オヤジ!回復薬・・・ポーションでもハイポーションでもなんでも・・・店にあるもの全部くれ!!」


「へい・・・へ!?ぜ、全部ですかい!?」


「そ、全部よ。」

「大丈夫。メメタならいくらでもあるから。」


「で、でしたら・・・全部で1340万メメタになりますが・・・」


「分かった。釣りはいらないぞ。」


俺は、2000万メメタは入っている袋をどさっと置く。

オヤジがメメタを確認している間にも、ぽんぽんと無限にアイテムが入る袋に回復アイテムを詰め込んでいく。


「へ、へい・・確かに・・・でも兄さん方・・・いいんですかい?」

「・・・2450万メメタ位ありますが?」


「いいわよ。どうせメメタなんて使い道が無いんだから。」


・・・

・・・

・・・



『ベータ大侵略作戦』


開始まで・・・あと3時間。



俺達は準備を終え、拠点としている宿屋に戻ると、早速作戦会議を始める。


「5ヶ所同時攻撃っていうのが問題ね・・・」

「4人分かれたとしても、1ヶ所分・・・1人足りないし・・・」


「いや、一人ずつと言うのは、得策ではない。」

「攻略の難易度も当然高くなるし、何より時間がかかる。」


「そうだな、俺は1人で拠点を潰していたが、1日1ヶ所いければ良い方だ。」

「それで、ログアウトせず、攻略を進めていた訳だが・・・」


「私じゃ多分、攻略できないと思います。」

「LV101ですし・・・」


「香奈は盾特化だからね。」

「凍夜兄ぃみたいに大剣特化なら、回復がぶ飲みで押せるんだけどね。」


「でも、『ガーディアンベータ』は香奈が居なくては、攻略できなかった。」


「それが分からないのよ。」

「この世界は、私と凍夜兄ぃの夢・・・『黒歴史ノート』の世界の筈。」

「私達だけで、攻略出来る筈だと思うのよ。」


「確かに。」


確かにそうなのだ。

この世界は『黒歴史ノート』・・・俺達の夢から生まれた世界だ。

俺と香織だけでも、攻略は可能な筈・・・だと思う。

しかし、先の『ガーディアンベータ』の攻撃は・・・たとえ『幻界の秘薬』を用いたとしても、倒せたかは定かではない。

そして今度のクエスト・・・『ベータ代侵略作戦』にしても・・・だ。

いくら今までにまったく情報が無いクエストだとしても、最低5人いなければならないクエストというのがおかしい。

俺と香織だけでは・・・どうやっても・・・攻略できない。


がちゃ。


そんな事を考えている時、部屋の扉が開いた。


「華音様。来ましたよ〜」

「あっと・・・〆烈光の騎士〆フロイライン〆花子〆・・・参上!」


純白の鎧に身を包んだ女騎士が、びしっとポーズをつけて立っている。


「うお、『裂光』か!?」


先程、香織が言っていた『深闇』のパートナー『裂光』だ。


「花子さんっ!」


「5人揃ったわね。」


なんだ・・・香織も・・・他の子達も5人目のあてがあったんだな。


「これで、5ヶ所全てに向かうことが出来るようになったけど・・・」


「いや、先程も言ったが、其れは得策ではない。」

「この5人で敵の本体を叩くべきだ。」


「しかし、それじゃ他の4か所の町や城が・・・」


確かに、一人じゃ攻略はかなり難しいが、分散しなければそもそもクリアが出来ない。


「其れに関しては・・・花子。」

「間に合ったんだな?」


「はい、華音様。」

「皆さん、窓の外を見て下さいな♪」


『裂光』に促され、俺達は窓の外を見る。

そこには20人程の冒険者がいる。


「『幻影』に『白狼』!?」


「『神羅』に『深海』もいるわ!?」


かつて・・・ゲームだった頃に共に戦った戦友達。

『幻影』、『白狼』、『新羅』、『深海』の二つ名を持つLV200の大手ギルドのマスター達。

そして、そのギルドのメンバー達の姿もある。


「フッ こんな楽しそうな祭り・・・俺達を混ぜないつもりか?」


「そうじゃ、我もこのゲームの結末が見たかったのじゃぞ?」


「みんな・・・」


「でも、何故皆がこの世界に?」


「うむ、それはだな・・・」


『深闇』はこの世界に来る前に、『裂光』にかつての戦友を集めるように指示をした。

つまり・・・最初からこの事を予見していたのか。

見た目は小学生・・・しかし大人びた・・・いや、威厳さえ感じるこの少女は、一体何者なんだろう。

この夢が終わった後、その疑問は解けるのだろうか?


「・・・そっか、そういう事・・・なんだ・・・ね。」


不意に香織が呟く。


「何がそういう事なんだ?」


「私達だけでは攻略できない訳が分かったのよ。」

「それはね・・・」


「それは?」


「ここはもう、『私達の夢の世界』じゃなくて、『みんなの夢の世界』なのよ。」


「そうか・・・そうだな。」


かつては、みんなが見た夢。

このゲームのクリア・・・香織の言うとおり・・・ここは、『みんなの夢の世界』なんだ。



『ベータ大侵攻作戦』

開始まで・・・あと2時間30分

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