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『霧島華音・結』 ~『不思議』の『何でも屋』~  作者: hermina
第3章 『黒歴史ノート』 ~直哉の章~
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『黒歴史ノート』 ~直哉の章~ 其の八

「『ゾーンシールド』・・・駄目っ持たない・・・」

「重ねて・・・『アルティメットシールド』!!」


パリィィィィィン


『ゾーンシールド』は音をたてて砕け散る。

だが、『アルティメットシールド』で直ぐさま光の柱を防ぐ香奈。


「あちっ」


「皆さん、効果範囲が狭くなるので、なるべく密着してください。」


「密着って・・・」


『ゾーンシールド』は広範囲用。それに対して『アルティメットシールド』は2人程度がやっと隠れられる位の効果範囲だ。

必然的に下にいる3人は密着する事となる。


・・・この体勢・・・やべぇ・・・

女の子二人が俺に密着している。

・・・

・・・お、落ち着け俺!!

一人は妹だ!!妹!!!

俺は香織を意識しない様にし、平常心を保とうとする。


「お兄ちゃんっ華音さんにくっつきすぎ!」


おぅわ!!


「しょうがないだろ!!」


俺は、妹を意識しないようにした為、『深闇』の方に密着していたようだ。

お、落ち着け俺・・・相手は小学生位の子だ・・・平常心・・・平常心・・・


「っていうか、お兄ちゃんって呼び方が昔に戻ってるぞ!?」


「・・・お兄ちゃん、ロリコン?」


「ロリコンじゃねーよ!!」


「誰がロリか!」


間髪入れずに『深闇』のツッコミが入る。

・・・ロリ・・・だよなぁ?などとは、口が裂けても言えない。


「あーん、こっちは必至なのに〜〜〜」

「ととと、重ね掛け・・・『ハードシールド』」


一方香奈は、上で必死にシールドを展開している。

今は、『アルティメットシールド』が破られ、『ハードシールド』を展開した所だ。

それにより、さらに効果範囲が狭くなる。


「あわわわわ・・・もう持たない『ポイントガード』」


『ハードシールド』よりさらに狭い『ポイントガード』

もはや、防御範囲は一人分も無い。

俺達のHPはわずかづつだが削られていく。


「香織。エレメンタルヴェールは使えないのか?」


香織の防御魔法『エレメンタルヴェール』精霊の加護で属性攻撃を軽減する。


「駄目ね。この攻撃は無属性だわ。『エレメンタルヴェール』では軽減できない・・・」

「なら・・・『リジェネネーション』!」


効果時間の続くかぎり、パーティのHPを少しづつ回復する魔法。

これならば、直撃を受けなければ大丈夫そうである。


「クールタイム・・・早くっ早く・・・」

「『ハードシールド』・・・もう一回『ポイントガード』!!」


まるで、花びらの様に次々と展開される『シールド』


「よしっ戻った!『アルティメットシールド』」


クールタイムが終わり、再び『アルティメットシールド』が展開される。

一番クールタイムの長い『ゾーンシールド』は、まだ展開できないようだ。

ん?待て・・・密着と言う状況に少し・・・少しだぞ?平常心を失っていた俺は、漸くある事に気が付いた。


「・・・ちょっと待て。」

「香奈は何故、『シールド』の重ね掛けが出来る!?」


「え?割と普通にやっていたわよ?」


「近接の事はあまり知らんのだが、レベルが上がれば出来るんじゃないのか?」


「いや、補助系のスキル以外は重ね掛けなんて出来ない。」


確かに切れた瞬間に使えば似たような事は出来るかもしれないが、今回の場合はそうはいかない。

一瞬でも途切れたら、それは大ダメージ・・・死を意味する。

香奈の『シールド』は途切れるどころか、クールタイムが終わった順にどんどん重ねて発動。

場合によっては、複数枚で光の柱を受けている。

見上げると、さらに『ゾーンシールド』を展開していた。


「綺麗・・・まるで花の様ね。」


香織は素直な感想を述べる。

確かに複数の花びらが開き・・・それは花の様だ。


「花・・・まさか・・・」


「どうした?『深闇』」


「・・・香奈のサブ職業だ。」

「香奈のサブ職業・・・『花屋』・・・」

「おそらくアレは・・・」


そうか!『花屋』のスキル『フラワーアレンジメント』だ。

『深闇』の言葉に俺も一つの仮説を立てた。

『フラワーアレンジメント』とは、花を用いて、良い構成を工夫し、配置・配列・編成する事。

香奈は無意識に『シールド』を花に見立て、配置・配列・編成をしていたのではないのか?


ピキ・・・ピキピキピキ・・・


何かに”ひび”が入るような音がする。


「見て!『ガーディアンベータ』のバリアに”ひび”が!」


「そうか・・・この光の柱は『ガーディアンベータ』にも有効なんだ。」

「それで、発射前にバリアを展開した・・・」


つまり・・・


「「「耐えきれば、勝ちだ!!!」」」


「と、言う訳で香奈。あなたの双肩に掛かっているわ。」


「プレッシャー掛けないでーーー」


その割にまだ余裕が見える。

『幻界の秘薬』は使わなくても大丈夫そうだ。


そして、その時は来る。


パリーーーーン・・・


シュウゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥ


(温度警告・・・強制冷却・・・)


『ガーディアンベータ』のバリアは砕け、光の柱は消え去った。

『ガーディアンベータ』は全身から煙をあげ、ピクリとも動かない。


「っはぁ・・・はぁ・・・耐えきった・・・」

「み、みなさん・・・後はお願いします・・・」


『レビテーション』が解除された香奈はその場に倒れこむ。

HPは8割以上削られ、スキルも使い尽くした・・・香奈は、誰もが成し遂げられなかった『全体攻撃』を防ぎ切ったのだ。

俺達は、香奈の作った最大のチャンスを無駄にする訳にはいかない。


「ありがとう。香奈。」

「凍夜兄ぃ!!行こうっ!!」


香織の声に、俺は”タメ”ていたスキルを放つ!


「『オーバーエンド』!!」


直ぐさま香織も得意魔法を放つ!!


「『クリムゾン・ノヴァ』!!」


俺達の攻撃は、硬直中の『ガーディアンベータ』を直撃する。


(システム・・・エラー・・・エラー・・・エr・・・)


ズゥゥゥゥゥン


『ガーディアンベータ』は崩れ落ち・・・黒い欠片となって消えた。


パパパパーーーン


クエストクリアを知らせるファンファーレが鳴り響く。

それと共に、システムメッセージが流れる。


(『ベータ最終拠点』の攻略に成功しました。)

(これより4時間後・・・『ベータ大侵略作戦』が実行されます。)

(イベント概要をご確認ください。)


俺は視界に現れた”NEW!”の文字に触れ、イベント概要を確認する。


クエスト名『ベータ大侵略作戦』(大規模レイドクエスト)

内容 同時5ヶ所に攻め入るベータ侵略軍の攻略

   ※5ヶ所同時にレイド級のクエストが発生します。

   うち一カ所、中央のベータ侵略軍には『コマンダーベータ』が出現します。

   1ヵ所でも侵攻が止められなかった場合、クエスト失敗となります。

報酬 ???


「ちょ、4時間後!?」

「ほぼ、連戦じゃない!?」


4時間・・・準備回復を行ってギリギリ・・・確かにほぼ連戦だ。

しかし・・・


「それより、これだ・・・」

「本隊を含めて・・・5ヶ所同時攻撃。」


こちらの方が問題となる。


「一人1ヵ所行っても、人数が足りない・・・」

「あ、いや、私、クリアできる自信・・・ないけど・・・」


そう、人数が圧倒的に足りない。

傭兵を雇う?各場所近くの町に優秀な傭兵はいただろうか?

いや、傭兵を雇うにしても、あと一人はいないと指揮が出来ない。

あれこれと策を巡らせるが、今は兎に角時間が無い。


「兎に角、時間が無い。」

「直ぐにでも町に戻り、準備を整え、作戦を練ろう。」


「おっけ」「はいっ」「うむ。」


俺の言葉に3人が頷く。

準備を進めながら・・・策を絞り出すしかない。


『ベータ大侵略作戦』


開始まで・・・あと4時間。

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