『黒歴史ノート』 ~直哉の章~ 其の五
竜は黒い霧が霧散するエフェクトと共に消え、その場にドロップアイテムが現れる。
俺は、早速ドロップアイテムの確認をする。
『雷竜の爪』
「ふむ、これでいいか。」
ぽいっと今しがたドロップしたアイテムをマークに投げると、マークは慌てた様子で受け取る。
「凄い・・・ですね。本当に倒してしまった・・・」
「思ったよりも苦戦したがな。」
「村に帰るぞ。」
俺達は、村に帰る道すがら段取りを確認する。
攫われたリミアさんを助ける為に村を出たマークだったが、実際に竜に挑むとなると戦力不足は否めない。
何とか、竜に見つからない様にリミアさんと合流できたが、逆に竜がいる為その場から動けなくなってしまった。
幸いある程度の保存食を携帯していた為、何とか耐えしのぐ事が出来た。
そんな折に、村長の依頼を受けた俺が到着。竜と対峙していたので、マークは俺と協力して竜を倒した。
その証がこの『雷竜の爪』であると。
・・・まあ、こんな感じだ。
「さて、この選択肢は正解なのかどうか・・・」
「攻略wiki何て無いからなぁ?」
「はい?」
ポツリと漏らしてしまった言葉に、不思議そうな顔をする二人。
「いや、何でも無い。此方の事だ。」
さて、日も暮れかかった頃、村へと到着する。
なんだかんだで、1日でクエストを終えたのである。
にしても、竜の住処のこんな近くに村があるもの何だろうかね。
ああ、竜が住みついたのが後なのか・・・などと一人で考えながら歩いていると、村長の家に到着していた。
「じゃあ、打ち合わせの感じでな。」
「「はい。」」
ノックをして家に入ると、村長が出迎えてくれた。
「おお・・・リミア・・・!!無事で何よりじゃ。」
「ありがとうございます。騎士殿。」
「いえ、お礼はマークに。ずっとリミアさんを守っていたのです。」
俺達は段取り通りに経緯を説明する。
「・・・そうか、マーク。すまなかったな。」
「いえ、当然の事です。」
「ならば、認めなくてはならないようじゃな。」
「・・・二人の仲を。」
「おじい様!!」
「村長!!ありがとうございます!!」
「儂は騎士殿に話がある。二人は少し外してくれないか?」
思いのほかすんなりと仲が認められたからか、二人は何の疑問も持たずに席を外す。
「さて、本当の事を話して貰えますかな?」
・・・まあ、村長の方が一枚上手だったって所だな。
俺は正直にあった事を話す。
「本当はの、何処かで二人の仲を認めようと思っていたのかもしれんな。」
「まあ、儂が頑固者だったからか、二人を追い込んでしまった様じゃ。」
「騎士殿には本当に感謝している。」
「それに、竜が住みついていたのは事実、被害もこれから増えるかも知れんかったしの。」
ほっほっほ。と何処かの御老公の様に笑う村長。
「そうじゃ・・・忘れんうちに。」
ピコーン
(クエスト『竜の花嫁』がクリアされました。)
クエストがクリアされたと、システムメッセージが表示される。
(報酬として、10000メメタを入手しました。)
あれ?村の宝と言うのは・・・
「本当は、リミアを嫁にと思ったのじゃが、マークの事を認めてしまったからの。」
な、成程、村の宝と言うのはリミアさん・・・寧ろ『村長の宝』だろそれ!!
まあ、両想いの二人がくっついたのだ。ハッピーエンド・・・なんだろう。
・・・全然悔しくないですよ!?
「おお、そうじゃ騎士殿、代わりと言ってはなんだが・・・これを持っていって下さらんか。」
村長は奥の棚らしき所から、小さな小瓶を取り出す。
「昔・・・魔法に長けた種族が居ったそうで、その者達から貰ったと言う秘薬じゃ。」
(『幻界の秘薬』を入手しました。)
・・・初めて見るアイテムだな。
効果は・・・『HPが0になるダメージを受けた時、最大HPの1%を残して耐える事が出来る。使用回数1回』
限界と幻界が掛かってるのか・・・
しかしこれは、『ガーディアンベータ』戦で使えそうだな。
あの全体攻撃を耐える事が出来る。
当時、このクエストを発見できていたら、攻略出来ていたんじゃないのか?
「騎士殿。本当にありがとう。」
「今日はゆっくり休んで下され。」
「ああ、そうさせて貰うよ。」
俺は一晩村に泊まった後、村の皆、マークとリミアに見送られながら村を後にした。




