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十八話

 とっても苦かったメイドさんの魂を残さず食べた。お屋敷も、だいぶ燃えてきてる。

 願いが変わっちゃうなんて、今回はどうすれば良かったんだろ。


「ご主人ちゃん、この後はどうするんでございます?」


 シリシーがあたしの頭の上に乗ってきた。座り心地良いのかな?


「うーん。そろそろ一回、魔界に帰らなきゃだね。――ゲートを開こうか」

「はい、でございます。短期間でこれだけの成績、きっと報奨なんかもされちゃうです」

「そうかな?」


 うん、そうかも。そうだったら嬉しいな。

 よーし。帰るぞー!


 あたしは宙に紫色の魔法陣を発動させて、シリシーと一緒に中に入った。



△▼△▼△▼△▼△


 紫の魔法陣から出たあたしは、悪魔学園都市の門に着いた。

 人間さんの街と違って、悪魔の都市は門番さんがいない。


 空間のポケットから取り出した上着を着て、フードを被る。念のため、だね。


 都市の中に入ると、黒い花が咲いた街路樹や黒レンガの建物が立ってる。

 雰囲気も大事って言ってたなあ。


「相変わらず、悪魔がうじゃうじゃいるでございますね」

「お喚ばれされるまでは、ここで待ってる悪魔も多いみたいだよー」


 頭が二つある悪魔もいる。弱点が増えるなんて、大変そう。


「リズー! 戻って来てたんだ!」

「んー?…わぷ」


 いきなり抱きつかれた。全体的に柔らかいこの感じ、ローゼヘナだ。


「ロズ、元気そうだね」

「ウチは元気だよ! 契約も、もう三つ取れちゃった。リズはどうだった?」

「おー。あたしは六つだよー」


 やっぱりロズも優秀だ。あたしと同じ学年でいつも十位以内だったもんなあ。

 シリシーがあたしの胸の前で、胸を張った。


「ご主人ちゃんはすごいでございます。でもご主人ちゃん、ニンゲンを幸せにしてから回収するから、待ってる時間が長いのです」

「へえー。相変わらず変なことしてるんだね、リズは」


 他の悪魔はあんまり味を気にしないか、苦かったりしょっぱい魂が好きみたい。


「人間さんは幸せになってお得、あたしも美味しい魂を食べられてお得。どっちも幸せになれるんだよ?」

「ウチは味なんて分からないよ。質さえ良ければ何でもオッケー!」

「普通の悪魔は質しか気にしないものでございますね」


 うーん。質も味も良いのが一番じゃないかなあ。


 あれ?周りにいる悪魔が、なんだかあたしたちを見てる。

 フードは外れてないんだけどな。何て話してるんだろー。


「リズリリス…?」

「いま、リズリリスって」

「聞き間違えじゃねえのか?」


 あたしだって気づいてるみたいでざわざわしてる。そういえばさっき、名前呼ばれちゃったからなあ。


「…いや。あそこにいるのって確か、リズリリスの仲間のローゼヘナだ」

「南通りの街路樹完食事件を共謀したっていう…じゃあやっぱり」


 うん、バレちゃったみたい。周りの悪魔の魂も、もにょもにょしてる。

 ロズがあたしの手を掴んだ。


「リズってここでは有名な悪魔だもんね。騒ぎになる前にお買い物に行こう?」

「いいよー」


 魔界コインも貯まってるから、何か良いもの買いたいな。



 ロズに手を引かれて、裏通りに入っていく。


「こっちに最近出来たお店があるんだよ。品揃えが良いの」

「ふーん。楽しみだね!」


 案内されたお店は、死神マドローの魔界道具店って看板がかかってる。

 死神が魔界にいるなんて、珍しいな。


 お店に入ると、ドアに取り付けてあったベルが鳴る。


「いらっしゃい。魔界道具店マドローにようこそ! お安くしときますよ!」

「はあい、マドロー。元気そうね」

「そりゃあ勿論、おかげさまで! 嬢ちゃんこそ、一層綺麗になっちまって。――そちらのお客様はご新規さんですかね?」


 ロズに話しかけてきた死神がこのお店の店主かな?死神なのに鎌を持ってないみたい。

 でも、お店の中の商品は良い感じ。期待できるかも。


「こっちはリズリリス。ウチの友だちよ」

「こんにちは。悪魔のリズリリスとシリシーだよ」


 フードを外してご挨拶する。うんうん、挨拶は大事だよね。


「リ、リリッ…、リリリズリリスゥ!!!??」

「リリリズリリスウじゃなくてリズリリスだよー」


 うん?店主の死神が、尻餅をついて後ずさりしちゃった。

 なんだか面白い動きだなあ。

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