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諦解素直


やり過ぎた。

顔の涙を拭うのと同時に憂さ晴らしで眼とか殴って消し飛ばすんじゃなかった。


おかげで視力無くしました。てへぺろ

別にボク個人は感覚が1つ無くなろうが大丈夫なんだけど景色を楽しむというボクの幾つもある楽しみの1つが無くなってしまった。

まぁ、魔力と感知で大体周囲の状況、光景、形は分かるんだけどね。色は分からないけど...


眼とか顔の眉間の部分とか吹き飛ばしたり、手を転移で捻じ切られたり、胸に剣をぶっ刺されたわけだからそれなりに治療する必要があるんだけど...

治療に集中してたら体中が蛇に締め付けられてて痛い。

蛇さんデカいね。

着てた服とか捻じ切れてるし...うぅ、一張羅がぁ...

それよりもこの蛇たちなんで毒で殺さないんだろうか。

いまなら殺し放題だよ!その前に殺すけどね!


蛇さんがボクの目をガン見してる。今のボクに目はありませんよ。

なんか蛇さんの眼から「勝負!!」って感じの意思が...背後ににゃめネ...おっと炎でした。

ほぅ...あくまで正々堂々か...じゃあなんでボクを締め付けてんだよ。


締めつけてる理由?

逃げないように?それってボクのこと食う気満々じゃないですかー怖いっす。

ボク、蛇の解体方法とか知らないよ?

ボクちょっとこの洞窟踏破する気だからね。食糧は現地調達で、そういうの憧れてたんだ!


え、なんだって?早く戦いの準備をしろって?不意打ち禁止?えー...

『自然』はいつでも正々堂々?仕方ないなー郷に入らば郷に従えだもんね。


『ハル・アカツキの称号欄に【蛇と話せる奇人】が発現しました』


『ハル・アカツキの技能欄に【意思疎通『蛇』】を追加します』

キエェェェ!アァァァ!なんか聞こえたアアァ!

なにこれ?内容からしてどうやらキカイに表示されるようなものだけど。

いつもこんな風になってたんだね。急に来ないでね怖いよ?


キカイといえばボクの称号欄なかなかに酷かったなー【虚勢】とか【策士】とか策士策に溺れたけど

え、いい加減早くしろって?ごめん...


ため息をついて、砂を払い破れた服を脱ぎ捨てる。

上半身裸って結構恥ずかしい。


さて戦おうか。まずは敵の観察観察ぅ

蛇さんはよく見るとバカでかい。全長が見えないね。

ついでにボクの入ってきた方向であろう道を塞いでる。


目測?感知測?で測るとどうやら全長25メートルはあるね。縦は...2メートルかな。

これがボクの体を締め付けてたと思うと怖い怖い。

蛇さんの体はまんま地球の蛇と同じだね。

注意すべきはその空間機動性と力。

これだけ大きいと力も無茶苦茶だろうし、力比べはボクの右手とどちらが強いかな?

そいえば蛇といえば熱感知だよね、そしたら転移も見破られるかもしれないね


蛇くん改めハ...バジリスク君はどうやら石を投げるらしい。

それを合図に戦闘開始だね。


おー器用だねーその体の大きさで人間の掴むサイズの小石を尻尾でクルクルと上手く掴むんだから。

凄いぞ!なんかジャグリングしてる!尻尾1つで!

その光景見れないけどね!

じゃあなんでわかるかって?魔力が石とぶつかって横にズレているから感知で何となく分かるだけだよ。


バジリスクさん、あなたもひとのこと言えないやないですか。

え、ごめん?...許す。

気を取り直して、じゃあ合図どうぞ。


バジリスクさんに開始してと一言いい、しっかりバジリスクさんを見据える。

先ほどまでの緩い空気とは違った、力ある者同士の間で生まれる緊張でボクの背中の筋肉が張る。


クルクルと尻尾に巻かれていた石が高く掲げられ、そして音もなく空中に放される。

ボクには視力が無い、だから先手は譲ろうかな。

突撃かな?魔法かな?尻尾かな?ボクは後ろに飛ぶよ。


カッ...という尖った石が地面にぶつかる音が鳴る。

...どちらも動かない。

あるぇ?来ないぞぉ?

先手はもら...わない!そして後ろに転移だ。


セーフ、セーフ...

ボクがいた所には地面を貫き地中から尻尾が突き立っている。

この野郎、合図以降の不意打ちはありですかそうですか。

魔法、恐らく音を無くすものを使ってここまで尻尾を潜らせただろう。

しかし魔法の天才たるボクにはそんな低レベルの魔法、通用しないのさ!

...実は尻尾を視て気づいたなんて言えない。


まぁでも魔法はボクの方が上手いね。

ボクだったら尻尾は幻術系の魔法で作り出してから攻撃する。

恐らくいくつも同時に魔法を発動できないのだろう。


先手は譲ったし次はボクの番かな。

『自然は正々堂々』この言葉は恐らく『なんでもあり』ということだ。

ボクを毒殺しなかったり、絞殺しなかったのはバジリスクさんのこだわりかな。

『なんでもあり』なら何でもしてあげよう。


バジリスクさんの目の前まで転移する。

急に目の前に熱源が来たらびっくりするよね大作戦だ。

結果は成功、バジリスクさんは大きな音を立てながら体を飛び跳ねさせる。

その瞬間に腹の下に潜り込み、腰をひねり右手に風の魔法で補助をかけ出来る限りの全力で勢いよく腹を斬り裂く。

シュピン...なんてちょこっと耳に気持ちいい音が手を振り切ると同時に鳴る。

ついでにズガン!なんていう硬い何かが斬り裂かれる音もなる。

さらに斬り裂かれた岩か何かが山ほど降ってくる。

その前にバジリスクさんの血の雨があぁーー...



...オーバー過ぎた。

洞窟の一層と思えるボクのいた階が崩れた。

元が洞窟だからか空は見えない。

これは早く次の層に行く必要があるな。

さっさと踏破して、さっさと殺しに行こう。


これからのことは置いといて、確認確認。

まだ生きてるかもしれないからちょっと離れた所か高圧水流を魔法でぶつける。

おぉグロイグロイ。

血がテカテカしてるね、体は綺麗に切断されてて水をぶつけた所は潰れてるけどまぁいいや

さてこの死体どうしようか。焼けば食べれるかな?その前に食べきれるかな?というか体洗いたい。


食べるにしても体洗うにしても周囲の安全確保だよね。

感知で半径20キロの範囲を索敵する。

半径4キロの地点で勇者くんたちがいるね。

今は放っとこう、育つまで待つ。

それにしても感知範囲伸びたねぇ、前まで限界が200メートルだったのに今はその100倍だ。

まぁ本性を曝け出した『ボク』ならこのぐらいは普通かな。

自重は無しでいくぜ!


『ハル・アカツキの称号欄に【災害】が発現しました』

あらあらあら...


今回の勝因はバジリスクさんの意表をついて上手く攻撃させなかったところかな。

筋肉も転移で目の前に現れた驚きで飛び跳ねちゃって硬直しちゃったし手足の無い蛇は腹に入られたら一巻の終わりだよね。

おまけにその大きすぎる図体じゃなおさらだし。

ボクって何気に【戦術家】と【戦略家】、【策士】の称号があるしそういうことに向いてるんだろうね。

こう考えるとボクって結構物騒だね。

平和主義者なのに...


そう言えばこの洞窟を踏破すると言ったけど、何層あるんだろうか。

標高1000メートルほどの山にある洞窟で南の魔王の国と北のタルト王国のド真ん中にある謎の洞窟。

ボク調べではなんとこの洞窟15層構造になってるね。

もう洞窟じゃないよ迷宮だよ。

しかも下に行けば行くほど魔力濃度が高くなって感知しにくい。

感知しにくいってことは感知して周囲の光景を認識する僕からするとなかなかのハンデだね。

イメージとしては紫色の埃が視界を埋め尽くすほど充満してる感じかな。


たかだか15層構造程度だけど、難易度はベリーベリールナティックハードコアでしかも視界が視にくいハンデ付き。

下に行けば行くほど難易度が2乗3乗の上がっていく感じかな。

...しかもだだっ広い。

何この地下大空洞と言いたいほどでかい。

敵よりこの1層1層の広さにうんざりする。

1つの層だけとっても東京ドーム何個分だろうか?

今も広がり続ける感知範囲ですら調べ尽くせないよぉ...ふえぇ...既に350キロは調べたよぉ...


『ハル・アカツキの称号欄に【成長の化け物】【無限】が発現しました』

あっはい...

ちなみにバジリスクさんは感知しているときに焼いて食べました。

癖にならない不味さでした。これならコカトリスサンドのパンの方がおいしいです。




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