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願望生粋


魔王とか面倒ごとは全部勇者に投げると決意したところでログリアの足が止まる。

何事かと意識をログリアと周囲に向ける。

周りは建物だらけ、ここは狭い路地のようだ。

目の前には大きな観賞植物が飾られた小さな店。

木造で一見して異様だ。


「ここがログリアの連れてきたかったところ?」

ログリアに尋ねる。

するとログリアこちらに振り返り恥ずかしいのか顔を赤くし恐る恐る言った。


「あ、あぁ...いい所だろう?」

俺の顔を窺うように上目遣いで見てくる。

分かるよ、自分の好みとか人に話すの恥ずかしいよね。


人の好みを聞いて仕方なく同意するタイプの人がいるけれど、俺ははっきり言うタイプ。

だからこの店に思った印象をはっきりと口にしよう。


「一見して違和感しかない所謂隠れた名所のような感じのするところで物静かで外見が好みだ。まだ料理を食べてないから知らないけど、外見は好みな方だ」


「そ、そうか!...よ、よかったぁ」

ログリアは喜び、店の方に振り向き少し進み店の扉を開け店に入る。


やはりこういうのははっきりと言うのが良い、裏表ない言葉はそこそこに気分を良くする。

結果的にログリアは嬉しそうな雰囲気だし、良かった良かった。


ログリアの後に続き店に入る。

ログリアは店の中を見て感嘆の吐息を零している。

店の中は広くなく、テーブルと椅子が4セットある。

テーブルの上には小さな観賞植物が置いてあり仄かに爽快な気分にされる匂いが漂っている。

外からの光はなく、魔法で天井から薄茶色の光が部屋を照らしている。

カウンターは吹き抜けになっており、そのカウンターには初老の男性が白いコップを拭いている。


男性はこちらに気づき「いらっしゃいませ」と言い手で一番奥のテーブルに俺たちを誘導する。

誘導に従い席に着くと同時に俺とログリアにメニュー表を手渡される。


「本日のおすすめランチはこちらとなっております」

ランチの名前はコカトリスのモモ肉サンド、らしい。

コカトリスと聞くと啼き声で石にしてくる灰色の鶏が頭に浮かぶ。

そのイメージから不安が湧いてくる。

他のメニューはごくごく普通のランチのようだが好奇心も湧く。

百聞は一見に如かず、食べてみるか。


「では俺はそのコカトリスのモモ肉サンドで」

俺の判断に驚いたのかログリアがこちらを凝視してくる。

え、マジ!?みたいな雰囲気がこちらに伝わってくるが早く決めないと、だって店員さんメニュー渡してから俺の横で不動なんだけど


「で、では、私もこのコカトリスのモモ肉サンドで...」

わざわざ同じの頼む必要ないのに、

まぁ始めてくるところだと一緒に来た人と同じの頼んじゃうよね。


この後は俺の元居た世界の話やこちらの世界の話、二つの世界の共通点、相違点を話し合った。

ちなみコカトリスのモモ肉サンドはモモ肉は美味しかったサンドしているパンが砂っぽかった。

イコールあまり美味しくなかった。

でも飲み物の紅茶のようなものが甘くて美味しかった。



店の中の雰囲気は良いが何よりハルとこういうところに来たことが気分を良くしたが緊張してあまり喋れなかった。


メニューは美味しそうなのが沢山あったが、ハルはまさかのおすすめのコカトリスのモモ肉サンドを頼んでいた。

思わずガン見してしまった。

何故かというとこの世界のパンはあまり美味しくないのだ。

他の世界はどうかは知らないが不味いものは不味い。

しかし本には気になる人と同じ行動をすれば好感度アップとかなんとか書いてあったのだから、私もコカサンドを頼まねばなるまい。


「で、では、私もこのコカトリスのモモ肉サンドで...」

味はやはりパンが不味かった。

でも時折あるハルとの話が楽しかったので良しとする。




会計はログリアに任せ、店を出た後

城へは談笑しながら帰った。

城は顔パスで入り、ログリアは仕事があるとかで別れた。


城の中を歩いていると視線が痛い。

別に俺を見て無視とか驚くとかはいいんだけど、喋るのやめるのやめてくれない?

珍獣みたいでイライラする。

逃げるように昨日寝泊まりした部屋に入り、自分の使っていたベッドに入る。


どうやら部屋には既に何人か居たようで俺の登場に驚いている。

寝ている者もいるが元の世界のことを思い出して談笑している者もいる。

だがすべからく全員が少しは吹っ切れたようで何より。

チラッと見える顔色が良くなっていることに気分が良くなる。

気分が良くなったことで緊張が解けたのか眠くなってきた。

......寝るか。


「おやすみ」

小さな声で誰に言うでもなく呟いた。




夢を見た。

小さな子供がいてそこから遠い、遠い所に色んな人がいて

誰も子供のことを見ていない。

子供は周りの人のようになろうともがいてもがいて手を伸ばすんだけど手を叩き落される。

子供は目から何かを零すが誰も気づかなくて、気づいてない振りをして無視をして。

だから子供は遠目から周りの皆を見て同じことをして同じ言葉を吐いて、結果...気持ち悪がられた。

だから子供は同じように振る舞うのではなく少しの改良を加えることにした。

そして子供は少年になった。




.........気に食わない。

気分が悪い(グラグラ揺れてる)

思考がまとまらない(イライラする)

表情が崩れる(顔がニヤける)

魔力の制御が聞かない(  泣きたくなる)

感情の制御が聞かない(  叫びたくなる)

|ボクにもソレが欲しかった

.......

............


はぁ...ギリギリ布団に顔ごと埋めたから何とかなったけども、危なかった。

顔とか見られてたら即アウトだね。

叫びそうになったけどギリギリセーフ。

でも涙は出たのでトイレまで転移で飛ぼう。




ハルが転移で飛んだ頃、部屋にいたものはハルから漏れた魔力で震えていた。

そしてログリアは異常を察知していた。


「城の魔力が薄くなっている...?」

現在時刻6時34分、夜食まであと26分

このタイミングで城の魔力が薄くなった。


何故だ?

魔法で城中を解析したが全体的に魔力が薄くなっただけで他に変化はない。

何が起きた?

この城は私謹製の特別な結界で覆っている。

結界の性能は埃サイズのものですら正確に感知するものだ。

何かが侵入した、というわけではないはず。

...まぁ今の私はこの城のことなどどうでもいいのだから放っておくが。

はぁ仕事仕事。

ハルとの時間の確保確保、給料が出る分には働かなくては...



結果的に誰も異常を気にかけず、問題視しなかった。

そしてそのまま城にいる者は夜食を食べ、眠りにつき夜は更けていった。



『ハル・アカツキの称号欄に【魔導の天才】【子供】【憤怒】【嫉妬】【強欲】【忍耐】【自制】が発現しました』


『ハル・アカツキの技能欄に【自制】を追加します』


『現在≪タルト王国・王城≫にいるすべての生物の称号欄に【間抜け】が発現しました』


『これらの情報は常時開示されます』


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