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情景乙女

恐らくログリアのものであろう足音が近づいてくる。

バカでかい魔力とともに

あら物騒

俺さっき、やりすぎたかな?

これ絶対俺の前では魔力隠す必要ないと思ってるでしょ。

心労溜まるから、主に目線とか、勇者様(雑魚)とかのせいで。

俺、人気者になっちゃうのかな?




少し急いだせいで息が切れる。

それほどまでに私は歓喜しているのだ。

思わず魔力を隠すのを忘れるほどに、まぁ隠す必要もないだろうがな。

そして左手にはローブのポケットから取り出したハルからもらったクリスタルを握りしめている。

にやけていた顔は若干元に戻っている。

しかしまだ完璧に戻ってはいない。

丁度いいタイミングで勇者カネモトがハルに接触した。

カネモト如きがハルに舐めた口を利くなど、万死に値するが今回は私の事情も考慮して次の魔法の鍛練の時に半死半生程度で我慢してやろう。

殺してしまうと私がここに居られなくなるので回復はさせるが。

...はぁ、カネモトのことを考えたら顔が無表情になってきた。

まぁこれで準備は整った。

よし!行くか!




ログリアが近づいてくるがこちらからは反応しない。

こちらから反応してはログリアの現在の俺への感情を把握できないからだ。

ゆっくりと、ログリアがすぐに追いつくように歩を進める。

俺は今のこの瞬間、物語の中のイケメンキャラと同じ状況かな?

ほら、こう、自分の後ろを美が付く女性が追いかけてくる。

このシチュエーションがなかなかに似通っているね。

ぶちこわ...す気は無きにしも非ず、ではあるがやっぱりバックボーンは必要だしね。

テキトーな思考は途中で打ち切る。

何故って?それは俺の左肩にログリアの手が置かれたからだ。

...怖っ!




ハルの肩に右手を置く。

振り返るハルの表情はもう既に見慣れた無表情だ。

その顔に恐怖の色はなく、ただただ無情にこちらを見据えている。

私はその顔を見ると心が喜びで満たされる。

今の私は笑顔で普段の私の顔からは想像できない容貌だろう。

だから私は今のままの顔でハルに言った。


「さぁ、ハル、魔法鍛練場に行こう。君の疑問全てに答えてやる」


「頼んだ、ログリア」

私の名を呼ぶその声に私の心は躍った。

そして左手はクリスタルをより強く握りしめていた。




なかなかにいい笑顔でログリアは俺に言った。

俺の疑問全てに答える、と

ここまで順調だ。

うんうん都合のいいように動くなぁ...ふふ

だが俺は自分の運の無さには自信がある。

近いうち何らかの形で不幸が俺に襲い掛かるだろう。

あんまり対処しにくいの来ないでほしいなぁ。

とかなんとか思っていると魔法専用、じゃない。

魔法鍛練場のドアの前に着いていた。


魔法鍛練場に着いたからといってすぐに魔法の練習をするわけではなく

早速、俺のもった疑問をログリアに聞いてみた。

身体強化の限界のこと。

転移の人形が四散した理由。

この2つのことを聞いてみた。


どうにも身体強化の限界は2つあるらしい。

1つは魔力の限界。

2つ目は魔法としての限界。

身体強化は単純に今の身体能力から約10倍ぐらいが強化できる範囲らしい。

これを超えると痛みが伴い、筋繊維とか切れたり内臓が破裂するらしい。

あれ?俺結構さっきやばかった?

下手したら死んでた?

あら恐い。


次に転移だがやはり転移するところを明確にする必要があるそうで

曖昧にしていた場合、別のところに飛ぶか、はじけるか、何らかの事故が起きるらしい。

ちなみにさっきの人形は転移するときにできた空間ともともとあった空間の間に巻き込まれて四散したらしい。

イメージのコツは初めから自分はそこにいると錯覚すること、らしい。

俺は写真を切り抜き、空いた部分に別の何かを差し込む感じかと思っていた。

この考えもあながち間違ってないとも言い難いだろうが、何はともあれイメージの明確率のレベルを上げる必要がある。


質問は終わり、今度はログリアの魔法を見せてもらうことにした。

まずは魔力を自在にコントロールしてもらった。

そして目の前に広がるのは滑らかな水色の魔力の流れ、流水のようなどこか清潔感を感じさせる動きはその動きを一変させ性質が炎になり荒々しくも気品の高さや美しさを感じさせる。

魔力の質の高さや技術、あらゆる面で今の俺の遥か上

当然と言えば当然だが...ここまで差を見せつけられるとやる気が削がれるな。

まぁやるけど。

ちなみに魔力の質はイメージの明確率の高さと比例する。


そして見せてもらった魔法は転移だ。

魔力をある程度感知できるのなら覚えやすい。

とログリアに言われたのでまずは転移を覚えることにした。

ログリアの転移は壁際から壁際まで、普通に成功していた。

その際ドヤ顔されたのでイラッとした。

ので、その場で転移を実践してやった。

こちらは2度目だ、同じ轍は踏まない。

転移させるのは人形。

人形は部屋の壁際、転移させるところは俺の手の中、これならイメージもしやすいだろう。

結果は、あっさりとまではいかないが成功。

転移させた人形が四散しなかったのだ。

成功させログリアの方を向き、ハッと笑ってやった。

そしたら頬をひくひくさせたログリアに褒められたので予想外すぎて驚いた。



魔法鍛練場に着き、一通りハルの疑問に答えたところで魔法が見たいと言われたので、魔力のコントロールのお手本を見せた後、魔力を感知できるのなら、と転移を見せた。

魔法に関しては一朝一夕の差がある。

転移は普通に成功、少しの優越感に浸りハルにドヤ顔するとハルはムッとしたのか

私の目の前で自分の手の中に人形を転移させこちらにハッと笑ってきた。

イラッときたのでハルの予想していないだろう、褒め倒しで驚かしてやった。




さて現在時刻は2時少し、赤ちゃんはご飯を食べお昼寝している時間である。

今時の子はゲームをしている時間である。

つまりお昼時だ。

俺は今日魔力を使いまくったことと、ずっと話していたせいで今腹が滅茶苦茶空いている。

まぁまだこの時間だ、まだ食事は残っているだろう。

そう結論付け、朝の食堂?に行くため立ち上がる。

ログリアに一言、ごはん食べに行ってくる。と言い絵やのドアに向かうが後ろから聞こえてきた言葉に俺は脱力した。


「言いにくいんだが、ハル...この城は昼食でないぞ」

くそぅ...くそぅ...おなか減ったよぅ......




さて今の時間は2時とちょこっと。

昼時ではあるがこの城は昼食が出ない。

その分給料が多いのだからいいのだが...

恐らく勇者たちは今頃昼食が出ないことに困惑しているだろう。

そのまま食いっぱ...なんでもない。

しかしここら辺は王はズボラだ。

こちらとあちらの風習全てが同じとは限らないというのに...

私にはさして被害は無いので放置するが。

ほんとこの国の王は飾りだと思っているとハルがご飯を食べに行くと言った。

しかし現実は非常である。


「言いにくいんだが、ハル...この城は昼食でないぞ」

あ、ハルがエッて顔をした。かわ...面白い。


その顔に笑ってしまうが、私には憧れがある。

その憧れを実現するため城下に出てハルにご飯を奢ってやろう。

もちろん条件付きで、だ。


私は所々異常ではあるが、やはり女だ。

こう、喫茶店とかで好きな男と一緒に静かに過ごす。

というのが憧れだ。


喫茶店でハルと向かい合ってランチを食べる。

この光景に顔がにやけそうになるが、耐える。

そして私は私の考えを実行するために最も必要な言葉をハルに投げかけた。


「ハル、城下に行かないか?ちなみにご飯、奢ってやろう」

ハルは少し考えた後にばつの悪そうな顔で首肯した。



『ハル・アカツキの技能欄に【転移】を追加します』


『なおこの情報は本人が自分を理解した状態でキカイを使用しない限り開示されません。ご注意を』


『ハル・アカツキが種族・修羅として完全に変化しました。

よって種族固有技能に【本能による学習】を追加します』


『ハル・アカツキが種族・修羅として完全に変化しました。

よって称号欄に【自制心の化け物】が発現しました』


『なおこれらの情報は常時開示されています』

読んでくれてありがとうございました。

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