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数字

数字は、分かりやすかった。

 テストの点数。

 模試の順位。

 部活の記録。

 小説の閲覧数。

 評価。

 数字なら、比べられる。

 数字なら、勝ち負けが分かる。

 だから俺は。

 何でも数字で見るようになった。

 模試で三十位。

「三十位か」

 前より上がった。

 でも。

「一桁じゃない」

 部活で試合に出た。

「悪くなかった」

 でも。

「レギュラーの中では下のほうだ」

 小説を投稿した。

 少し読まれた。

 でも。

「もっと読まれている人がいる」

 数字は便利だった。

 だからこそ。

 怖かった。

 数字が悪ければ、自分まで悪くなった気がした。

 ある日。

 小説の画面を開いた。

 思っていたより、読まれていなかった。

「……そっか」

 画面を閉じる。

 昔なら、そんなことは気にしなかった。

 書くことが楽しかったから。

 でも今は違う。

 数字を見る。

 誰かと比べる。

 落ち込む。

 そして。

 また書けなくなる。

「俺、何のために書いてるんだろ」

 答えは出なかった。

 勉強も。

 部活も。

 小説も。

 全部が数字になった。

 数字にならないものは。

 価値がないように思えてきた。

 友達と笑った時間。

 ゲームでくだらないことで盛り上がった時間。

 何となく空を見た時間。

 そういうものは。

 点数にならない。

 順位にならない。

 評価されない。

 だから。

 俺は、それらを少しずつ削っていった。

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