↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

PR
3/17

大海

高校生活は、思っていたより忙しかった。

 勉強。

 部活。

 友達。

 ゲーム。

 小説。

 全部やりたい。

 全部成功させたい。

 全部、理想通りにしたい。

 でも。

 人間の一日は、二十四時間しかない。

 そんな当たり前のことを。

 俺は受け入れられなかった。

「もっとできるはずだ」

 そう思った。

 だから削った。

 休む時間を削った。

 寝る時間を削った。

 遊ぶ時間を削った。

 それでも足りない。

 足りないから、もっと削る。

 そんな生活を続けていると。

 少しずつ、何かがおかしくなっていった。

「最近、寝てる?」

 神谷が聞いてきた。

「寝てるよ」

「嘘つけ」

「寝てるって」

「顔に出てる」

「うるさいな」

 俺は笑った。

 神谷も笑った。

「まあ、無理すんなよ」

「無理してない」

「そっか」

 神谷はそれ以上言わなかった。

 家に帰る。

 机に座る。

 教科書を開く。

 問題を解く。

 時計を見る。

 小説を書く時間がない。

 ゲームをする時間もない。

 友達と遊ぶ時間もない。

 でも。

 全部やりたい。

 だから。

 何かを削る。

 削った自分を責める。

 責めた結果、また何もできなくなる。

 そして。

 また自分を責める。

 世界が広くなったはずなのに。

 俺の視界は、逆に狭くなっていった。

 周りを見る余裕がなくなっていった。

 誰かが自分より上にいる。

 誰かが自分より先に進んでいる。

 自分は遅れている。

 そんなことばかり気になった。

 俺はようやく。

 大海の広さを知り始めていた。

 でも。

 広い世界を知ることと。

 その世界を楽しめることは。

 同じじゃなかった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。