初対面
「ニコラとっても可愛いわ!妖精のお姫様みたいで素敵だわ。」
照れる妹は本当に可愛い。まだ10才なのだからゴテゴテ飾らず少し着飾るだけでいいのよ。サラサラと綺麗な金髪が煌めいている。
「お姉様も素敵。きっと今日誰かに恋されてしまうわ。婚約者が出来ても私と仲良くしてくださいね?」
「婚約者が出来るのは貴方よ。こんな素敵な可愛い令嬢だもの。きっと大事にしてもらえる。」
さ!行きましょう!ニコラと手を繋ぎ馬車に乗り込む。ニコラを溺愛する母は私と行くのをあまり良い顔をしなかったが、いつもの事で慣れているので無視をした。悪役令嬢はそうやって作られていったのね。可愛がる母と見捨てた姉…さらに無関心な父がいてはクリス様の愛情を欲するのもわかるのかも。
「…寂しかったのかな。」
独り言を呟く。それなのにヒロインが現れあっという間に心は彼女に取られてしまう。嫌がらせは良くないがクリス様に固執するニコラも可哀想よね。結局得るのは修道院行きか冷めた家庭なんて今の私には許せない。クリス様ルートだった場合は、ニコラにもっと良い相手を探そう。私が吟味しておこう。
「お姉様はどんな方が好みなのですか?」
「私?金髪碧眼の甘い顔立ちで目元にホクロがあって、レモンパイが好きで私にだけ笑いかけてくれる方!」
「…誰か特定の方ですか?」
「え…違うわよ。そんな人がいたらいいなーって…」
無意識にクリス様を語っていた。私の最推しだったからついつい。危ない気をつけないといけない。しかもヒロイン目線だったわ。笑わない王子様は幼なじみのレイとヒロインには微笑みかけるの。あのご尊顔を間近で見れる2人が羨ましい。遠くから見れるかな?ヒロインは学園に入ってからだから…まだ少し先かな。
ニコラが10才でしょ?確かクリス様は2 つ上だから今12才…待って!私同い年じゃない?
3年の時にヒロインが入学して来て物語が始まるのよ。見れる!今から3年たったら入学してその2年後。それまでクリス様見放題?!何そのご褒美!学生時代が毎日見れるなんて…鼻血でそう。ありがとう神様。
「お姉様?もう着くそうですよ。大丈夫ですか?」
「あ、うん。ごめん。ちょっと考え事していたわ。」
先ずは生のレイが見れるのね。レイは誰にでも優しいタイプで、ヒロインにとったら気の利くお兄様のようだった。レイルートなら優しく甘やかして、違う人ならサポートに徹底していたわ。婚約者は居なくて妹が居て悪役令嬢だった気がする。
「レイ·ノーザンです。今日は来て頂きありがとうございます。ニコラ嬢いつもとは違う雰囲気でさらに可愛いね。」
「ありがとうございます。こちら姉のメイリーンです。不安だった私に着いてきてくれました。」
「メイリーン·ラッセンです。図々しく着いてきてしまいました。よろしくお願いいたします。レイ様とは同い年ですので、これから何処かで色々お会いするかも知れません。」
「そうなんだ。よろしく!今まで会ってないのが不思議なくらいだね。ニコラ嬢不安だったら私もサポートするから何でも言ってね。2人共ゆっくり楽しんでいってね。」
立ち去るレイ様は黒髪に赤い瞳でとても整った顔をしている。ゲームより幼いが本物だわ。やっぱりキラセカの中なのね。不思議。
「お姉様あちらに座りましょう。飲み物頂きますか?」
「そうね。他の方もいるから騒がず大きな声も出さないようにね?」
「はい!わかってます。今みたいに騒いだりしません。もし間違った事をしていたら注意してくださいね?」
「えぇ。実践で学んでいきましょう。」
私の手を取り一緒に歩くニコラは注目の的だ。こんなに可愛いのだから当たり前だわ。クリス様が義弟にならないのは悲しいけど他に良いお話が来るかも。
「美しい方ご一緒させて頂きたいのですが、よろしいでしょうか?」
「ニコラ聞かれているわよ?」
「あ…いや。違っ…」
「ごめんなさい。興味無いみたいです。」
「はい…またチャレンジします。」
「ニコラ良かったの?お話したら良い方かもしれないのに。」
「お姉様って意外と鈍いのですね。私が守りますわ。」
ニコラがよくわからない。話をしてみたらいいのに。何人か令息が声をかけてくるが、何故か私に聞いてくる。気になるなら直接ニコラに聞けばいいのに…そのせいかニコラは断ってしまう。確かに直接本人に声をかけれない人は嫌よね。可愛いから恥ずかしいのかしら。
「私はお姉様が心配だわ。ケーキ食べますか?」
「あ、私が貰ってくるわ。そうしたら皆ニコラに話しかけれるものね。」
「あぁ…気をつけて。」
美味しそうなお菓子がいっぱい並んでいるわ。どれも食べたい。悩んでいたら隣に人が来たので少し移動する。
「違う。君と話がしたい。」
「え?私ですか?」
パッと見ると…え?クリス様?ゲームより幼くまだ少し可愛さが残っているクリス様だ。本当に居た。このパーティでニコラと出会ったんだ。
「あ、妹ならあちらに居ますよ?今1人なので良かったら…」
「違う。君と話がしたいんだ。私とは話をしたくない?」
「え?本当に私ですか?何故?」
「君に興味があるからだよ。私の事はルークって呼んで。名前聞いていい?」
「メイリーンです。メイリーン·ラッセンと申します。」
「侯爵家の?あまり社交はしていない?初めて会ったよね。そのドレス良く似合っている。可愛い。」
「はい。侯爵家です。あまりパーティとか参加はしていないですね。人前は苦手なので。今日は妹の付き添いですが、侍女達が張り切ってしまってお恥ずかしいです。」
おかしい。何故ミドルネームで愛称なのか。ヒロインが仲良くなってクリス様ルートが進んでから、ルーク様と呼ぶようになるはずなのに。愛する人だから特別呼んで欲しいと。
「メイリーン嬢は婚約者は?今日は妹の付き添いだから一緒じゃないの?」
「婚約者は居ないです。」
「では、私がお相手させてもらっても大丈夫だね。あちらに座らない?妹君はレイが席についてるから心配しないで。」
「え?レイ様が?」
見るとニコラとレイ様がお話をしている。ゲームでは仲良い印象は無かったのに。どちらかというとクリス様を奪い合って仲が悪かった気がするけど。
「持つよ。他食べたいのある?」
「え?じゃあコレも。」
「オッケー。じゃ行こうか。」
何故私はクリス様にお誘いを受けているのだろうか。微笑みエスコートしてくれるクリス様に何も言えない。格好良すぎて本当に鼻血出そう。




