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妹が悪役令嬢?!必ず守ってみせます!〜何故か攻略対象に溺愛されました〜  作者: 漆原 凜


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記憶

「お姉様ったら本当に愚図なんだから。いい加減私の好きな物覚えたらどうですか?」

「ニコラったらまたそんな言い方をして…我儘で食器を払いのけるだなんて、令嬢としてあるまじき行いよ?」

「お姉様が悪いのよ。早く新しいのを用意して!」


ニコラがまた残っていたお皿を投げた瞬間、割れ破片が私の頭に当てってしまう。タラリと血が流れる…あれ?ニコラ?悪役令嬢?何か見たことある。何処でだろう。頭がズキズキ痛い。お嬢様!!と侍女達が慌てているのが何故か他人事のように感じる。見たことあるのは何故?スーッと意識が抜けていくのがわかる。あぁ死ぬのかな。


『お姉ちゃんまたゲーム?好きだねー。』

『当たり前。ブラック企業の疲れを癒してくれるのはクリス様だけだわ。毎日残業で嫌になる。』

『近々家に帰ってきてよ?私の彼氏紹介したいんだから。』

『近い内に帰るね。楽しみにしてるよ。じゃまたねー。』


電話を切ってゲームの続きに戻った瞬間、殴られた様に頭が痛い。目の前が真っ暗になり意識が遠のく…私死ぬ?妹に会っとけば良かったな。


「痛いっ!!!」

「お嬢様?!メイリーン様が目覚められました!!!」

「私の部屋?」


痛む頭を押さえながら辺りを見渡すとベッドに寝かされている。あぁさっき食器が当たったのか。おかげで思い出した。私の大好きなゲーム【煌めきの世界へようこそ〜貴方は誰との恋を選ぶ?〜】通称キラセカだ。ニコラはクリス様ルートの悪役令嬢だわ。


「あの素敵なクリス様がニコラの婚約者…?嘘でしょ。いつ婚約するの?まだ会ってない。いつ会える?」

「あのメイリーン様?大丈夫ですか?」

「ニコラはまだ婚約者いないわよね?」


はいっと頷く侍女にお礼を言って、頭が痛いから寝るわと1人にしてもらう。私は悪役令嬢ニコラの回想シーンにだけ出る名前も無い姉だわ。私はメイリーン·ラッセン侯爵令嬢…ゲームでは確か妹を諌めるが聞かないので、諦め放置してしまうのよ。そして我儘三昧の悪役令嬢となる。


「今どの時点なのかわからないわ。クリス様は相手の我儘で婚約を決められて愛情が無いって設定だった。何処かでニコラはクリス様にお会いするのね。」


ノートにまとめながら整理をしていく。魔術の天才であるクリス様ことクリストファー·ルシウス·シャルダン様は、第二王子でありながら卒業後は魔術師として確立し活躍されていた。爵位を貰い公爵家としてヒロインと生きていく。選ばれなかったら政略結婚で愛の無い家庭を持ち、ヒロインを見守り続けるという流れだったはず。


「そんなのダメよ。クリス様には幸せになってもらわないと。ニコラの性格矯正が必要だわ。ヒロインに選ばれたら引く、選ばれかなかったらニコラが幸せにする。これよ!」


ニコラが大人しく淑女になってくれたら良いのだけど。推しを幸せにするための活動を決意し、痛む頭に苛立ちながら眠りにつく。


「お姉様まだ寝てらっしゃるの?ずいぶんお寝坊さんだこと。」

「貴方に怪我をさせられたから休んでいるのよ。わかるかしら?1度もまだ謝罪を聞いていないわ。怪我をさせたのだから謝りなさい。」

「何よ!お姉様のくせに!お父様に言いつけてやる!」

「あのねニコラ…貴方は今何歳?10歳よね?自分で責任を取らないといけないわ。怪我をさせたら謝る。当たり前の事よ。」

「…何よ。悪かったわね!」


口をとがらせ無口になるニコラを抱きしめる。え?と戸惑う妹の背中を撫でる。


「貴方はそうやって育てられた被害者なの。悪い事は悪いし、ダメな事は謝る。あと周りに感謝するって事を大事にしないといけないわ。この環境は当たり前では無いの。」

「…わからないわ。」

「私に食器をぶつけたのは良い事?作ってもらったおやつを投げるのは?良い?悪い?」

「全部いけない事だと思うわ。…ごめんなさい。」

「これから色々一緒に学んでいきましょう。きっと成長したニコラには素敵な婚約者が出来るわよ。」

「王子様に会える?」

「王子様がいいの?ならニコラが相応しくなれる様に頑張らないとね。愛されない相手との結婚なんて最悪だわ。」

「そうなの?自分が好きならいいんじゃないの?」


とりあえずニコラを座らせお茶を淹れてくれるよう侍女にお願いをする。


「私は1人でどこか行ってしまう人より、手を繋いで一緒に歩いてくれる人がいいわ。」

「んー…追いかければいいのでは?」

「待ってくれて共に歩んでくれるならいいわね。置いていく様な方を追いかけ続けても、自分自身が幸せになれない。」

「なら待ってもらえる様に努力するわ。」

「そうね。追いかけ続けるだけの令嬢にはならないように気をつけましょう。」


はいと頷くニコラは少し落ち着いた様に思う。これでクリス様と出会っても向き合ってくれればいいのでは?ガツガツいかないニコラを形成するぞ!ただいつ会うのか。悪役令嬢の姉はストーリーに出てこないからわからない。記憶の糸を辿る…どこかのパーティで見初められたとクリス様が愚痴っていた気がする。どこよ!


「あのお姉様…今度ガーデンパーティがあるのですが一緒に行ってもらえませんか?私いつも嫌われてしまってわからなくて。余計1人で腹立って苛立ってしまって…つい色々と。」

「いいわよ。見ていてあげる。少しずつお友達も作っていきましょう。」


嬉しそうに微笑む顔を見ていると、前世の妹を重ねてしまう。姉妹とても仲が良かったからあの後悲しませたよね。彼氏に会って頼むよって言いたかったよ。


「ニコラはどんなドレスを着るの?見せて欲しいな。」


こちらへどうぞと部屋のクローゼットに案内される。かなりギラギラしているな。不安が漂う。


「これで行こうかと思ってます」 


ニコラが持ってきたドレスはギラギラゴテゴテしていた。眩しい。これは無い。今までこんなのでパーティに行ってたの?


「ガーデンパーティならもう少し落ち着いた色味が良いわね。どちらのお宅かしら?」

「ノーザン公爵家です。わかりますか?」


わかる所では無い。攻略対象だ。クリス様の幼なじみではないか。レイ·ノーザンは魔術師団長の長男で卒業後に魔術師として働くクリス様と共に魔術師団に所属していて、2人の友情が尊いとの声もあった。ついにガーデンパーティで会うのか?ありえるな。


「ノーザン公爵家なら花々が美しい庭園だと聞くわ。華美にならないようなドレスにしましょう。ニコラは可愛いからこれが良いんじゃないかしら。」


唯一あった淡いピンクのドレスを手に取りニコラに渡す。合わせてみると可愛い。元々可愛いのだから飾りすぎない方がいい。これでクリス様もいちころね。


「お姉様とご一緒するの久しぶりですね。嬉しいです。」

「そうね。私も嬉しいわ。ガーデンパーティを楽しみましょう。」


ついに生のクリス様が見れるかも!上手く行けば義弟よ!最高だわ。ニコラに頑張ってもらいましょう。


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