第45話 まったり過ごすはずが
ポーション作りも一段落し、上級錬金セットと珍しい素材セットもアンジェラさんことフレデリカ姉さんが届けてくれた。
代金は上級錬金セット、大金貨50枚。素材セットはおまけしてくれた。今回は無料で素材を受け取っていいだろう。
その上級錬金セットでキュアポーションを作ったところ、「キュアポーション、 ランク3」ができてしまった。作った量は、ポーション瓶十本分。新たに仕入れたポーション瓶に入れて収納しておいた。これで病気に対しては万全だ。もちろん作ったのはアスカですよ。言わせるなよ。
それとポーション瓶だが、商業ギルドで大量にストックしてくれることになった。ポーションを大量に作ってギルドに卸す俺が、いつでも仕入れることができるようリストさんが便宜を図ってくれたわけだ。ありがたいことである。
錬金術関連も落ついてきたので、たまには冒険者ギルドに顔を出して様子でも見てみようと思い、アスカと二人でジェーンさんのいる一般窓口に並んでいた。
移動は当然、駆け足だよ。駆け足は、もはや俺たちのアイデンティティになっている。
今日は珍しく冒険者ギルドに人が多いようだ。
今、俺の前でジェーンさんが対応しているのは、俺とさして歳が違わないような三人組。
冒険者登録にやってきたらしい。三人が着ている防具は、三人とも立派に見える。とてもではないが、登録するかしないかの新人の冒険者が着けるには分不相応な高級品だ。
一人はイケメン男子であとの二人は美少女。世の中はこの三人を中心に回っていくのだろう。物語の展開的には大いにありだ。どこぞの勇者一行と違って華がある。
しかし、窓口から聞こえてくる会話に首をかしげてしまった。
「なんで、この私のランクが最低のGなんだ。その用紙に、剣術と魔術が得意だと書いてあるだろう」
「申し込み用紙には戦闘スタイルを書いていただければいいだけで、何が得意かは、必要ないのですが」
「私は、王都のアカデミア高等学院を卒業しているのだぞ」
うさん臭そうな名前だなあ、その高等学院。
「それでしたら、そのアカデミア高等学院からの紹介状か何かお持ちですか?」
「そんなものが必要とは思っていなかったので今は無い」
「あなた、アトスはマカデミア高等学院を優秀な成績で卒業しているの。この私が知っているわ」
アカデミアじゃなかったのか? 学校の名前マカデミアって言ってるよ。こいつら、ギャグかましに来てんのか?
「そう言われましても」
「あなたじゃ、埒が明かないようね。いいわ、ここのギルドマスターを呼んでよ」
ごねても何も出ないと思うよ。
面白そうな状況を、後ろからニヤニヤ笑って眺めていると、ジェーンさんが俺の方を見て何かを訴えてる?
仕方ない。ここは助け船を出すか。
「ジェーンさん、ドウカシマシタカ?」
少し棒読みだったか?
「この方たちが、自分のランクが気に入らないから何とかしろと。新人は誰でもGランクからスタートすると説明しているんですがどうしても納得されないようで」
「おい、君たち。新人登録が終わってギルドカードは貰ったんだろ。そしたら、そろそろどいてくれないか」
俺も用事でここに来てるわけじゃないんだけどね。
「なんだ、おまえは?」
いきなり先輩冒険者に対しておまえ呼ばわり。俺以外の冒険者だったら、多分キレてるよ。そのとき俺が第三者だったとしても、君を助けてあげないよ。
「君ね、先輩冒険者が優しく言ってんだから。そんな対応してたら、僕以外の冒険者だったら、多分キレて、君たちたたまれちゃうよ」
「嘘をつくな、何が先輩冒険者だ! 坊主頭のうえに丸腰、しかも普段着でこんなところに来る冒険者がいるわけないだろ!」
ここにいるだろ。丸腰で普段着はおっしゃる通りだが、坊主頭は俺の勝手だろ。
「あのー、そこにいるショウタさんとアスカさんは、先日オーガ四体とその上位種一体を斃してBランクに立派に昇格した方たちなんですよ」
ジェーンさん、ナイスフォロー。
「アトス、ちょっとまずいですわ。ショウタとアスカというと、いつもキルン中を駆け回っているというあの『ショタアス』の二人組ですよ。確か、ショタアスの一人は坊主頭でどんな時でも普段着だって聞きましたわ」
「そういうわけだから、改めてそこどいてくれるかい?」
三人はすごすごと、立ち去って行った。何だったんだあいつら?
アスカ、そんな虫ケラを見るような目で見ない。アスカは俺と身内以外はみんな虫と思ってるから仕方ないか。
「どうも、ありがとうございました。それで、久しぶりにお見えのお二人は、今日はどういったご用件ですか?」
「用は別にないけど、暇だから顔を出しただけですよ」
ジェーンさんの見事な変顔いただきましたー。来たかいがあった。




