第25話 ゴブリン集落殲滅
そんなこんなで、常設依頼の達成報酬とモンスターの素材の売却で小銭を稼ぐことができた。
商業ギルドの約束時間の午後までにはまだだいぶ時間があったので、受付カウンターの方へ回って、空いている窓口の担当の女性を捕まえ、気になってたことを聞いてみた。
「昨日南門からしばらくいった先の原っぱで、ゴブリンを十二匹ほど斃したんですけど、これって街からそんなに離れていなのに数多くないですか?」
「はい。最近、南門の先でのゴブリンの目撃情報や討伐情報が多数上がってきています。ゴブリンの集落ができている可能性もありますので、ギルドで調査員を派遣し調査中です。調査の結果、ゴブリンの集落が見つかった場合、中堅以上の冒険者による大規模な討伐戦が行われると思います。しばらくは危険ですのでEランク以下の冒険者の方は、南門付近でのお仕事は控えた方がよろしいと思います」
「そうですか。ありがとうございます」
なるほど、これはテンプレ通りゴブリンの集落があるな。フッフッフッ。
まだ十時前か。ひとっ走りして、昼までに収穫してくるか。見つけさえすればな。 あっ! クエストマーカー出た。
◇◇◇◇◇◇
俺の名は、ゴラン、B級冒険者だ、キルンの冒険者ギルドで専属の斥候をしている。
ギルドの依頼で、このあたりにありそうだというゴブリンの集落を探すのが今回の仕事だ。やり過ごしてはいるが、これだけゴブリンを見かけるとなると、ゴブリンの集落は必ずある。しかも中規模以上だ。集落が中規模以上だと、上位種だけでなく進化種もいる可能性がある。とにかく、規模と大まかな構成の確認だけしたら、さっさと帰ろう。
見つけた。結構この集落は大きいぞ。
上位種のファイターにアーチャー、杖を持ったのはメージか? あのでかいのは、ジェネラル! 進化種がやっぱりいた。
ジェネラルに見つかったらことだ、見つかる前に撤収だ。
何だ、あの女連れの坊主頭の兄ちゃんは? こんなところで駆け足してたら、すぐにゴブリンに見つかるぞ。かわいそうだが見捨てるしかないな。
そら見たことか、近くのゴブリンが気付いたようだぞ。何だ? あのゴブリン、何であんなところで倒れる? あれ? 倒れたやつらが消えた??
二人連れに近づくゴブリンが、バタバタと倒れていき、倒れた端から消えていく。何でだ?
あっ! あいつはジェネラルだ。あれっ! ジェネラルも倒れた。そして消えた? いったい何が起こってるんだ。
あいつら、駆け足で集落の中に入って行ったよ。立ってたゴブリンが見る見る消えていく。
しばらくすると、ズドン! ズドン! と地響きをともなった轟音が聞こえてきた。その音がするたびに、ゴブリンの小屋がへしゃげて、破片が吹き飛んでいく。
轟音が響くのが終わると、ゴブリンの小屋の残骸だけが残る広場があった。
二人連れは立ち止まって何か会話している。あれ、こっちにやってくる。
どうする? 俺。
◇◇◇◇◇◇
時間が押しているので、サクサク行こう。クエストマーカーに向かって、アスカと二人で駆け足。途中で出くわしたモンスターは、魔石奪取アンド死骸収納のコンボで片付けていく。残しておいて腐ったら不衛生なので、ギルドで買い取ってくれないゴブリンの死骸も収納します。
ここか。
集落があった。木を組んで草で葺いただけの小屋ともいえないような小屋がたくさんある。
ゴブリンの集落には攫われた人がいるかも知れないので、ミニマップで確認したところ赤点ばかりで人はいないようだ。
俺達が集落に近づいていくと、ゴブリンたちが襲ってきた。ゴブリンの中には弓で矢を射るものや、魔法で火の玉を撃ち出してくるものまでいた。飛んでくる矢も、飛んでくる火の玉もアスカが何とかしてくれた。矢は何かで打ち落してるんだろうけど、火の玉の方はどうやってるんだろう?
一匹だけ色違いで、でかいのがいた。いっちょ前に鎧のようなものを着て大きな剣を振り回している。ハイ、コンボ発動。ご苦労さま。
五分ほどで掃討完了。
「マスター、ゴブリンなどの集落を掃討した場合、集落の再利用を避けるため、ギルドでは集落の破壊を推奨しています」
「分かった。そうしよう」
やっと高速弾の出番だよ。
ズドン! ズドン! ズドン! ……、
一発落とすと、小屋は簡単に壊れて、破片や砂埃が宙に舞う。二十発ほど落とすと、全部壊せた。
「急いで帰ろう。時間が押してる」
「マスター、お気づきでしょうが、物陰からこちらを観察している者が一名いますが、いかがしましょうか?」
「あれは、おそらくギルドの調査の人じゃないか? ちょっと挨拶してから撤収しよう」
「はい。マスター」
「そちらはギルドの方ですか? われわれはどちらもEランクの冒険者で、私はショウタといいます。隣がアスカといいます」
「俺は、ギルド専属で斥候をやっているゴラン、Bランク冒険者だ。いま、目の前で、ゴブリンを消して、小屋を全部吹き飛ばしたのは、おまえらがやったのか?」
「ええ、まあ。幸い大した集落ではなかったようで簡単でした」
「大した集落じゃなかったのか? ゴブリンジェネラルもいたよな?」
「ああ、ガタイのいいのが一匹いましたが、あれがゴブリンジェネラルでしたか」
「あのゴブリンジェネラルだぞ。怖くないのか?」
「強い弱いを判断する前に、どれも簡単に斃したので気にしてませんでした」
「……」
「それでは、われわれはちょっと急いでいるものですから、失礼します。お気をつけて。アスカ行こうか」
そうして、俺たちはゴランさんと別れて、駆け足で街を目指した。
「アスカ、今何時だ?」
「ちょうど、正午になります」
「このまま、駆け足で商業ギルドに急ごう」
「はい」
ゴブリンの集落の廃墟に佇むおっさんが一人、
「さっきの二人組はいったい何だったんだー!!」
ゴランの魂の叫びが風に流されてゆく。




