第24話 魔石奪取
フレデリカ姉さんの店からの帰りに、家具屋に寄って、器具の洗浄用に小さめの流し台を買ってきた。排水溝は作業部屋にあったのは覚えている。
今回買った錬金釜は旧式のため、使うには魔石が必要らしい。一回の使用に低級魔石が一個。魔道具屋に寄って魔石を買ってもいいが、どうせモンスターくらいは簡単に狩れるので、この際、常設依頼のあるゴブリンやらコボルドやらを中心に狩っていこうと思う。もちろん他のが出てきても狩るけどね。
今までの俺の攻撃方法は、高速弾やモンスターの急所へ岩石を強制排出する内部破壊攻撃で、どちらもでき上がりが非常にグロいし、そんなのでは討伐部位の切り取りもままならない。そこでこの前から考えていた攻撃方法を今回は試してみようと思っている。
この前のオオカミを見た時、体の中にある魔石が薄っすらと見えたというか、認識できたんだよな。これなら収納できるんじゃないかって思ったわけさ。
いつもの南門から街の外に出て、適当にミニマップを見ながら歩いている。前回の薬草採取時にはモンスターと遭遇していなかったので、今回はあの時よりもずっと街から離れたところまで今は歩いてきた。
今回は俺の攻撃方法の検証が目的なので、アスカには周りの警戒だけしてもらい、手は出さないように頼んでいる。
視界の右下にあるミニマップの中に、赤い小さな点が三個。五十メートルくらい先の灌木の先になにかいるようだ。
都合よくこちら側が風下だ。近寄ってみるとゴブリンだ。相手はまだこちらに気付いていない。初めて見たが、想像通りいわゆるゴブリンだ。こっちは想像もしていなかったが独特のすえたような不快な臭いが漂ってくる。クサー!
ゴブゴブとでも言っているのか? それは、どうでも良いか。
ゴブリンを視認したら魔石を認識できた。思った通りだ。
『対象:敵魔物の魔石』三個の赤い点が点滅を始めた。
収納!
ゴブリンたちが最期にどんなことを考えてたかはわからないが、本人たちにすれば、まさに突然死。
いくら臭くても放り投げて行くわけにもいかないのでゴブリンの死体もちゃんと収納しておいた。
しかし、この技は凶悪だわ。まあ、でき上がりは綺麗だからOKか。
収納した魔石も血で汚れていないので綺麗なものだ。魔石奪取とでも名付けとこ。
それからさらにゴブリンを九匹。結構いたな。こいつら三匹で行動するのがパターンみたいだ。テンプレだと、近くにゴブリンの集落があって、上位種なんかもいるんだろうけどな。どっかにいないかな? 見つけられれば大豊作なんだが。
コボルド、二本足で直立する大型犬。こいつらは八匹のグループでいた。
角ウサギ、角の付いた大型の茶色い野ウサギ。二匹。肉は普通のウサギよりもおいしいらしい。
灰色オオカミ、一匹。こいつは一匹だけで歩いていた。
ここまでで抜き取った魔石は、どれも小さくておそらく低級だが、ある程度貯まったし、そろそろ家に戻るか。冒険者ギルドへの報告は何かのついでの時でいいだろうし。
一仕事を終え、家に帰ったら台所やら食堂やらが結構きれいになっていた。急に環境が変わって疲れてるだろうと、シャーリーには昼からの仕事を何もいいつけなかったが、感心なことだ。
服を着替えた俺とアスカはシャーリーを連れて、近くの食堂へ行って晩メシを食べた。
シャーリー、みっともないからそんなに口の中に食べ物を入れてほおばらない。まさにリスだな。
翌日。
予定のある昼までだいぶ時間があるので、冒険者ギルドの買取カウンターに行くことにした。バンダナを巻いたごっついおっさん(名前はオスカーさん)に、収納していたモンスターの死骸を全部出して引き渡そうとしたら、ゴブリンとコボルドは断られた。それでも取り出したゴブリンとコボルドの右耳を1匹1匹丁寧に切って、依頼達成カウントにカウントしてくれた。
「今度からは、右耳だけもってこい。 ……、買取価格は魔石分も入って解体費を引いて、こんなもんだな。魔石は売るんだろ?」
「いえ、今日お渡しした死骸には魔石は入ってませんよ」
「はあ? どうやって殺したんだかわからないが、こいつら全部無傷じゃないか。大人をからかうんじゃねえよ」
「まあ、そういう方法があるってことで。試しにそこの角ウサギを解体してみます?」
「よーし、待ってな。俺を担いだっていうんならただじゃ置かないからな」
「あれ? ほんとに魔石がない。どうやって、こんなことができたのか知りたいが教えちゃくれないよな」
「ええ、企業秘密です」




