表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
真・巻き込まれ召喚。 収納士って最強じゃね!?  作者: 山口遊子


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

132/256

第132話 スノー・ハスキー


『なんでもMONちゃん』からウキウキしながら、『ナイツオブダイヤモンド』に戻った。


 支配人さんに、スノー・ハスキーの幼体(ようたい)をわれわれのいるスイートで飼ってもいいかとたずねたら、問題はないと言われ安心した。ただ生き物の嫌いなお客さまもいるので、一階のレストランには入場させないでほしいと言われた。あたりまえのことなのでこちらとしても問題ない。



 スイートに連れ帰り、さっそくケージから出してやる。普通なら、新しい場所で知らない人に囲まれたら物おじしそうなものだが、そこはテイムされたモンスターのためか、スノー・ハスキーの幼体(ようたい)は全く物おじすることなく、俺の足に体を(なす)りつけたり、これまで見たこともない場所の中を探検(たんけん)したりしていた。


 これでこの子も晴れてわが家の一員だ。さあて、この子の名まえはどうしようか?


「アスカ、何かこの子の名まえでいいのがあるか?」


「名づけは、やはりマスターの仕事でしょう」


「そうだなー、この子は白いから、シローはどうだ?」


「それだと、馬車馬のウーマと同じのりですが?」


「シローがダメだとすると、どうするかな。そもそもこの子の性別はどっちなんだ?」


「低位のモンスターですから、性別はありません」


「そうなのか? じゃあ、高位のモンスターには性別があるってこと?」


「いえ、私の知っている限り、モンスターには性別はありません。ただ高位のモンスターは、人のいうところの男性的、女性的といった特徴(とくちょう)は持っているようです」


「ふーん。そうなんだ。よくモンスターの卵とか聞くけど、あれは何なんだろうな?」


「モンスターは、卵や幼体として魔素の中から自然発生し、魔素を吸収しながら成長していきます。ダンジョンの中ではダンジョンコアによって成体(せいたい)が直接作り出されることもあります。深淵(しんえん)の迷宮で私の代わりに新しくコアのガーディアンとなったクリスタルドラゴンゴーレムも直接成体で生まれたはずです。そういったモンスターも、魔素を吸収し経験を積んでゆくと成長しさらに強くなっていきます。強くなっていくうちに上位個体に進化するものも現れます。ゴブリンジェネラルとかそういったものですね」


アスカはホント何でも知ってるなー。


「何でもは知りません。知っていることだけです」


「話はそれたけど、この子の名前な。耳がぴんと立ってるからピンちゃんはどうだ?」


 スノー・ハスキーの幼体は走り回って疲れたのか、今は俺の(ひざ)の上でおとなしくしている。耳の後ろを()でてやったら、立ってた耳を後ろに寝かせて、垂らしたしっぽを揺らしながら目を細めている。これはかわいい。


「マスター、わかりました。もうその子の名前は、シローにしましょう。シロー、シロー、そう言っていれば慣れますから」 


 あれ、アスカのヤツ、ウーマの名前を付けた時、俺が言ったことを根に持ってるのか?


 まあ、実際名前なんて慣れだよ慣れ。それ見ろ、俺がシロー、シローって言いながら体を撫でていたら、(うれ)しそうに尻尾を揺らしてるだろ。



 シャーリーが帰ってシローを見たらどうだろうな? すごく喜ぶと思うけど、問題もある。もしも俺よりシャーリーに(なつ)いたりしたら(さび)しいぞ。これこそまさに大問題だ。シャーリーに懐く前に俺べったりにしないといけないんじゃないか?


 シャーリーが帰ってくるまで、あと五時間。それまでが勝負だ。


「アスカ、シローのエサ用の魔力の抜けた魔石がないんだけど、普通の魔石をあげちゃダメかな?」


「ダメではないと思いますが、すぐにシローが大きくなってしまいますよ。確か、スノー・ハスキーの成体は体高で一メートル超えます」


「それはちょっとまずいな」 


「エサはすぐ上げなくてもいいようですから、散歩にでも行ってみてはどうですか?」


「それもよさそうだな。それじゃあシロー、リードを付けるからじっとしててくれよ」


 シローを膝の上から降ろしてきょとんと立っているうちに素早く首輪にリードにつなげる。別に嫌がっていないようなので良かった。



 シローを抱いて一階まで下り、エントランスを通って表通りに出る。シローは粗相(そそう)をするわけではないので、抱いて下りる必要はないのだが、知らない人を不快にさせてはいけないのでエチケットとしてそうした。表通りに出て、そこで抱いていたシローを降ろして散歩を始める。


 アスカも当然のようについてきている。


「あんまり、人通りが多いとお互い邪魔(じゃま)だし危ないから、港の方に歩いていってみるか」


 いつもアスカと二人で街中(まちなか)を走り回ってかなりの人や馬車に迷惑をかけているのだが、それとこれとは別だから。


 当然シローはどこへ行くのかわからないし、その前に道も知らないのだが、尻尾を振りながちゃんとまっすぐ前を向いて歩いていく。


 犬ではないのでやたらとクンクン臭いをかぐわけでもなく、立ち木にマーキングするわけでもない。理想のペットなのではないだろうか。


 いい気分で、二人と一匹で道を歩いていたのだが、シローのことを考えていると、いろいろと足りないものがあることに気付いた。


「アスカ、シローの買い物に行こう」


「いきなりですが、どうしました?」


「シローにはまだ足りないものがたくさんあるじゃないか。毛並みをそろえるブラシとか、シローが一人の時も退屈しないようにおもちゃとかいろいろあるだろ」


「マスターは、保護欲(ほごよく)が強いようですね シャーリーについても同様ですが、保護すると決めた者にはとことん甘くなりますよね」


「それは、保護者の義務だろ」


「それにしては、マスターは私に対しては甘くありません」


「そりゃそうだろ、アスカの方が俺の保護者みたいなもんじゃないか。俺はおまえのことを父とも母とも思ってるんだ」


「そうですか。よくわかりませんが、わかりました」


「で、店屋はどこかわかるか?」


「はい。こちらです」


 ほんと、何でも知ってるな。


「何でもは知りません。知っていることだけです」


 それは俺も知ってるよ。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ