表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
真・巻き込まれ召喚。 収納士って最強じゃね!?  作者: 山口遊子


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

110/262

第110話 飛空艇3-技術編


 飛空艇の外板素材になるかもしれないと、砂虫の皮をはぎ取った翌日。

 シャーリーを学校に送り出し、その足でアスカと俺はボルツさんのガレージに急いだ。


 ガレージの中の機材(きざい)は少し増えたようで、天井から何本もの鎖が垂れ下がっていた。ボルツさんは助手として男女二人を雇ったようで、その二人にも軽く挨拶(あいさつ)しておいた。


 二人はボルツさんの幼馴染(おさななじみ)兄妹きょうだいで仕事を探していたところだったようだ。むかしから、ボルツさんの仕事をたまに手伝っていたそうでテキパキ動いて仕事をこなしている。


 一日経った砂虫の皮はというと、外側の皮から順に厚さが四センチ、三センチ、二センチ半にそれぞれ縮んでいた。広さは変化無いようだ。


 やはり、外気に直接あたる外側の皮は乾燥しにくいらしい。他の二枚はだいぶ硬くなった。まだボルツさんの手でも曲げられるほどだが、二センチ半まで縮んだ一番内側の皮はかなり曲げにくくなっている。持ってみるとそうとう軽い。完全に乾燥して硬くなる前に加工を終らせる必要があるかもしれないが、どれだけ硬くなろうと、アスカにかかれば簡単に切断できるので特に問題はないだろう。



 魔導(空気)加速器という魔道具が搬入(はんにゅう)された。前の方から入れたものを後方に加速して打ち出す魔道具ということだ。これで空気を取り入れ加速して後方に放出してやることで、飛空艇を浮かび上がらせたり、前に進めたりするらしい。


 飛空艇の下部、若干前よりに合計四個取り付けられた魔導(空気)加速器に飛空艇の前面からダクトが伸ばされ接続された。


 吸気側のダクトは負圧(ふあつ)になるので内部が補強されているぶん重くなっている。そのため、吸気側のダクトをなるべく短くするため魔導加速器を前の方に配置したいが重心の関係で今の位置になったそうだ。



 乾燥(かんそう)を始めて二日目。砂虫の皮の変化は、外側の皮から順に厚さが三センチ、二センチ半、二センチ二ミリ。広さの変化なし。二センチ二ミリまで厚さが薄くなったものは色が濃くなって来た。


 現在、飛空艇の内部の構造材は強度と軽さを持たせるため木材を張り合わせたものを使用しているが、それほど重量が軽減されず、強度もいまいちの状況だそうだ。


 そこで硬化した砂虫の皮が構造材用に形成出来るのではと、内側一辺十センチほどのコの字型の木枠を作り、その中に未乾燥の砂虫の皮を貼り付け乾燥させ、木枠を取り外し断面がコの字型の構造材を作ってみた。その構造材が使用に耐えるか実験を開始した。



 砂虫の皮は広すぎて、ボルツさんのガレージの中では広げられないのでガレージの外でいったん広げ、飛空艇の詳細設計図に従いアスカが切り取っている。


 アスカ以外に砂虫の皮を切れないのでは不便なので、何とかならないかと思い、手近(てぢか)に置いてあったナイフでまだ柔らかい未乾燥の砂虫の皮を切ろうとしてみたが、わずかに傷がついただけでナイフの方は刃こぼれしてしまった。


 何か砂虫の皮を簡単に切れるようなものはないかと収納庫の中を意識してみたところ、最近出番のなかった『盗賊のダガー』が見つかった。ゴブリンの耳を切るのに重宝(ちょうほう)したが、さて砂虫ではどうだろう。


 試してみたところ、ある程度の力はいるものの、何回か同じ場所を切れば、最終的に未乾燥なら砂虫の皮を切断できることが分かった。これをボルツさん達に貸して作業を進めることにした。



 三日目。実験を続けている砂虫の皮の厚さの収縮は大体二センチちょうどまでで落ち着いたようだ。ここまで来ると、どの皮もアスカしか曲げることができないほど硬くなっている。ハンマーで叩いてみると金属音がする。それでも持ってみると相当軽い。


 飛空艇の外皮素材としては最高なんじゃないか? ただ、色が黄土色なので見た目は今のところ良くない。


 あとは、水に()けてどうなるかと、飛空艇への取り付け方法か。乾燥させた砂虫の皮が水に弱いようだと何か特別な塗料(とりょう)を考えないといけないが、それは何とかなるだろう。


 飛空艇本体の方では小型の魔導(空気)加速器が四個取り付けられた。飛空艇下面には複雑にダクトが這っている。今のところダクトなどは銅製なのだが、そのうち、砂虫の皮に取り替えていけば、より強く、軽くなると思う。



 四日目。この日は、シャーリーの学校が休みだったため、朝からシャーリーを連れてガレージにやって来た。挨拶(あいさつ)の後、シャーリーをボルツさんと助手の二人に紹介したが、シャーリーは人見知(ひとみし)りしない子なのですぐに溶け込むことが出来て安心した。


 まだ骨組みと大きめの魔道具類を取り付けただけの飛空艇だったが、シャーリーの目にはすごいものに見えたようで、目を見張って皆が作業している姿を眺めていた。昼食の支度はシャーリーも手伝ってくれた。


 試しに、先日切り取っておいた砂虫の肉を焼いてもらったところ、薄味の牛タン? ぽい何かだった。ボルツさんたち三人とシャーリーには好評だったが、俺には『美味しいか?』と聞かれると『?』だが、救荒(きゅうこう)食物と考えればカロリーも高そうだし良いんじゃなかろうか。ただし俺以外が利用するには時間停止機能の付いた幻のアイテムバッグが必要だと思うけど。


 目新しいものを食べたので、アスカが食レポを始めるかと思ったが何も言わず食べていた。


 乾く前の砂虫の皮は、お互いをくっつけておくと癒着(ゆちゃく)するようだ。一度癒着すると接着面が分からないほどくっ付いてしまうことが偶然分かった。


 乾燥し切った砂虫の皮に対して乾燥前の砂虫の皮をくっつけるとこれも同じように癒着してくれた。未乾燥の砂虫の皮を薄くテープ状にし、ガムテープのように二枚の砂虫の皮で出来たプレートをくっつけた上に貼ると、見事に癒着ゆちゃくし隙間のあったプレート接触面も埋まり、もとから一枚だったプレートと同程度の強度を持っていた。


 このようにして、技術的懸案(けんあん)が片付いて行き、徐々に飛空艇は形を成してきた。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ