↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
61/64

第56話「お泊りデート(上)」

※本作の制作にあたり、誤字確認や構成検討の補助としてAIツールを利用しています。本文は作者が執筆しています。ご了承の上、お楽しみください。

翌日、僕は珍しく早起きした。


思ったより、楽しみにしていたらしい。


「さて、リーネを迎えにいこうか。」


勿論、いつもの通り、受付にはいつもの宿娘がいた。


「おはよう。今日も早いね?」


「おはよう。いつも通りだよ。」


この子はいつ寝てるんだろう?あんまり気にしないほうがいいのかもしれないけど。


前々から気になっていたことを聞いてみた。


「そういえば、君の名前は?僕はカナメ。よろしくね。」


「何?いきなりどうしたの?」


うん。確かにいきなり過ぎたね。でも、気になったからしょうがない。


「これからもお世話になると思ってさ。名前ぐらいは知っておいたほうが良いと思ったんだ。」


「ふーん。そう。・・・アニマ。私の名前。」


「アニマね。よろしくね。アニマ。そうだ!ちょっと、僕の荷物預かってもらっていい?」


「え?荷物??良いけどさ。」


「うん。ごめんね。後、明日と明後日はここに帰らない。3日後に取りに来るよ。」


「・・・別料金にしていい?」


「いいよ。いくらなの?」


「いや、冗談だったんだけど。」


もっと、分かりやすい冗談を言ってくれないかな。本気かと思った。


そして、僕の袋に入った装備品を渡した。


「はい。これ。お願い。」


「うん。ちょっと重いね。」


たしかに、棍棒とか入っているからね。それなりに重いかも。


「後、もっと良い銭湯は無いかな?」


「銭湯?もっと、街の中心に行けばあるわよ。基本、街の中心は貴族様というか、お金持ちがいるからね。その代わり、高いよ?」


「大丈夫。街の中心ね。それじゃあ、行ってきます。」


「いってらっしゃい。」


僕はタベルナヴィーヴァに向かう。こんな朝にタベルナヴィーヴァに行くのは初めてだ。


タベルナヴィーヴァに到着したら、すでにリーネと女将さんが外に出てた。


「あっ!カナメ!おはよう!」


「リーネ!おはよう。女将さんもおはようございます。」


「おはよう。カナメ。それじゃあ、リーネを頼んだよ。」


「はい。行こうリーネ。」


「うん!」


「あっ!カナメ。ちょっと待ちな。」


リーネと手を繋いで歩こうとしたとき、女将さんが呼び止める。


「分かっているとは思うが、あんまり治安の悪い場所には行くんじゃないよ。」


「女将さん。分かってますよ。」


「ならば良し。行っておいで。」


改めて、リーネと二人歩き出した。


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


リーネと手を繋いで大通りを歩く。勿論、女将さんの忠告通り、スラムなんて近づくつもりはない。


「そういえば、リーネ。朝ごはん食べた?」


「ううん。食べてない。」


「そっか。じゃあ、何か食べようか。」


「うん!」


見たら、サンドイッチみたいなのが13ルグで売っていた。


いつもよりちょっとだけ高いけど、所持金からしたら問題ない。


「すみません。それ二つください。」


「あいよ。」


サンドイッチ(のようなもの)を受け取る。


そうだ!飲み物も欲しいよな。


良い飲み物があるかと思ったら、レモネードっぽい飲み物が7ルグで売っていたので、これも2つ買う。


「リーネ。お待たせ。これ食べよう。」


「うん!」


大通りなので、腰かける段差があるから、そこで二人で座って食べる。


リーネがいるから、いつもより豪華にしてしまったな。


サンドイッチも味は濃いけど、美味しいね。


レモネードも期待してなかったけど、普通にあっさりして飲みやすい。


「美味しいね。リーネ。」


「うん!美味しい。カナメはいつもこんな感じでご飯食べてるの?」


「いや?いつもはもっと質素な感じだよ。」


「そうなんだ。」


リーネも喜んでくれてると思いたいね。


「リーネは普段何を食べてるの?旦那さんと女将さんの賄いかな?」


「うん。旦那さんが作ってくれるよ。でも、お客様に出す料理とは違うかな。」


「そうなんだね。」


そりゃそうか。


「毎日ご飯が食べれているなら大丈夫そうだね。」


「うん・・・でも、やっぱりカナメと一緒にいたい。」


「うん。ごめん。」


嬉しいけど、今の僕では難しいと思う。


多少お金はあるけど、何の後ろ盾もない。


いつ死んでもおかしくない賞金稼ぎだから、僕が死んだらリーネはどうなるんだろうか。


いや、今はそんなこと考えるな。今はリーネと一緒にいることを楽しもう。


「よし!食べたね。リーネ行こう!」


「うん!」


ご飯を食べた後、しばらくリーネと手を繋いで歩く。これだけでも楽しくなるから不思議だ。


そのまま、広場に向かう。広場には、屋台は無いけど、近くに持ち帰りができるお店が多々ある。


お昼はここで食べよう。


「ちょっと疲れたね。ここでランチにしようか。」


「うん!」


リーネと一緒にキッシュとお茶を買ってきた。これも、2つで40ルグだ。ちょっと高いな。


まぁいいさ。リーネと一緒だ。多少奮発しても問題ない。


ここは相変わらず花壇に花が咲いている。ある程度、テーブルと椅子もあったりするから、適当な場所に腰を掛ける。


「そういえば、カナメ。いつも何しているの?」


「うん?僕はね。バウンティギルドに所属してね。賞金稼ぎをやってるよ。」


「それって、ディエが言ってた冒険者とどう違うの?」


「あんまり違いはないかな。大きい枠組み的には、冒険者も賞金稼ぎも変わらないね。拠点があるか流れ者なのかぐらいしか差がないかな。」


「そうなんだ。大丈夫なの?」


「正直、大丈夫かと言われるとかなり厳しいね。いつ死ぬかもわからないけど、稼ぎは良いんだ。」


「あの時・・・何かあったの?」


「あの時?」


「カナメが急に元気なかった日。」


多分、ディエが行方不明になって、僕が大怪我をした日の事を言ってるのだろう。


「うん。ディエがね。行方不明なんだ。ギルドでは、消息不明は死亡扱いになる。多分もう生きていないのだろうと思った。それがショックだったんだ。」


「そうだったんだ。」


「そのショックを引きずったまま依頼をしてたらさ。油断しちゃって大怪我しちゃったんだ。」


「えええ!!??」


「今は大丈夫だよ。何も問題ない。でも、賞金稼ぎっていうのは、そういう職業なんだ。いつ死ぬかわからない。死んでも誰も気にしない。でも、大金は稼げる。そんなものさ。」


リーネとこれまでの話をする。弱音を吐くつもりは無かった。けど、今ならリーネは受け止めてくれるんじゃないかと思った。だから、つい・・・甘えてしまった。


「カナメもウチで働く?女将さんと旦那さんに相談してみようか?」


「いや、大丈夫。それに」


「それに?」


「いや・・・今は女将さんにも旦那さんにも負担になっちゃうからさ。僕は大丈夫だよ。」


これは本心ではあるけど、本当は違う。


僕自身が本当の意味でリーネと一緒に暮らしたい。そう思ってる。


アルスさんの約束だから。


「リーネのほうは?お仕事は慣れたの?」


「うん。最初は上手く出来なくて、お客様と上手に話せなくて、大変だったけど。毎日やってたら、大丈夫になった。」


「それは良かったね。」


本当に良かった。リーネが社交性を身に着けつつある。本当に喜ばしい事だ。


「意外とね。肉体労働があって、大変なんだ。後、お遣いもあったりしてね。それに、酔っぱらったお客様もいて、その人達を女将さんと旦那さんが追い出したりするときもあって、すごいんだ。」


リーネはこれまでのお仕事の話をしてくれる。何にせよ楽なお仕事は無いよね。


「それに一番嫌なのは、夜が寂しい。カナメもいてくれないし、眠れないこともある。」


「本当にごめん。」


謝ることしかできない。ずっと一緒にいてあげればいいのだけども。


暗い話がしたいんじゃない。折角のデートなのだから、もっと明るい話題をしたい。


「よし!もうちょっと散歩しようか!行こう!リーネ!」


「うん!」


リーネに手を出すと、当然の如くリーネは僕の手を握る。


その後も蜜菓子を9ルグで食べたり、ちょっとした果物ジュース8ルグで飲んで、とにかく食べ歩きしながら二人で街を歩く。


大体60ルグ使ったかな。


そして、夕方になった。


「そうだ!リーネ。最近お風呂に入っている?」


「お風呂って孤児院にあったやつだよね?」


「そう!浴槽にお湯が溜めてあって、気持ちよかったよね。」


「うん!でも、働いてからは、入ってない。身体を拭くだけだから。」


そりゃそうだよね。この世界でお風呂がある家庭は相当なお金持ちなんだから。


「それじゃあ、銭湯に一緒に行こうか。」


「ええ!?」


リーネはかなりびっくりした。僕そんなに変な事言ったかな?


「一緒って・・・カナメと一緒にお風呂入るの?」


リーネがモジモジしながら、聞いてきた。しかも、かなり大きな誤解をさせてしまった。


「ち!違うって!勿論、男女別れてると思うよ。銭湯まで一緒に行こうって事だよ。」


「あ、そうなんだ。びっくりした。うん。行きたい!」


「それじゃあ、行こう!」


そうして、街の中心部に向かう。具体的な場所は分からなくても、なんとかなると思った。


思えば、魔道ギルドも教会も街の中心まで行かなくても、中心部にはあった。


権力とお金が集まるところは中心部に集まるのだろう。


2人で歩いていると結構大きめな銭湯を見つけた。


「ここみたいだね。行こうか。」


「うん!」


「いらっしゃい!ここは1人180ルグだよ。お金あるのかい?」


「はい!お願いします。」


360ルグを払う。


「それじゃあ、リーネ。お風呂から出たら、ラウンジで待っててね。」


「うん!」


そうして、2人してお風呂に入った。勿論、男女で分かれていた。


「おお。ロッカーがある。それに、浴場も広い。すごいな。流石180ルグの銭湯か。」


かなり感心してしまった。男女分けてあったけど、ある程度清潔でお風呂も流石に垢は浮いてなかった。


人もそれなりにいたけど、髭を生やした人が一人もいないし、皆お上品な感じに見えてしまった。


単なる思い込みなのかもしれないけどね。


お風呂から出てくるとリーネはまだ出てきていなかった。


しばらく待つと、リーネが出てきた。


「カナメ!お待たせ!」


「うん。それじゃあ、今日泊まれる場所に行こう。」


リーネと一緒に宿屋を探す。


気のせいかもしれないけど、リーネから良い匂いが漂ってくるような気がする。


いかんいかん!変態か!僕は!自分を制御する。


宿屋は案外簡単に見つかった。というか、銭湯のすぐ近くにあった。


宿屋に入る。


「こんばんは。今日泊まれますか?」


「いらっしゃい・・・お客様。お金あります?ウチは結構高いよ?」


「大丈夫です。問題ありません。」


「そうでしたか。一人300ルグで二人で600ルグです。お金はあります?」


うっ!かなり高い!でも、致し方ない。リーネと二人なんだ。このくらいの出費は受け入れないと。


「はい。600ルグです。」


「はい。確かに。では、これが鍵で二階の階段上がって左手の部屋です。」


「ありがとうございます。行こう!リーネ!」


「うん!」


リーネと一緒に指定された部屋に入る。ベッドが2つあって、寝間着もおいてある。これはすごいな。


流石300ルグの宿だ。


「それじゃあ、身支度して寝ようか。」


「うん。でも、カナメ。これ着替えるの?」


寝間着を持ってリーネは僕に聞いてきた。正直どう答えるか迷ったけど、正直に答える。


「うん。多分。ベッドを汚さないようにするために着替えないといけないと思う。ちょっと部屋の外に出てるから、その間に着替えちゃってね。」


「・・・うん。わかった。」


僕は部屋から出ていく。


しばらく経つと、リーネが部屋を開けてくれた。


「終わったよカナメ。」


「うん。じゃあ、今度は僕が着替えるね。」


「うん。」


そうして、今度は交代する。


寝間着はしっかり畳んであって、清潔にされてるね。


ささっと着替えて、自分の服を畳む。そして、扉を開けてリーネを呼ぶ。


「リーネ。終わったよ。」


「うん。カナメ。似合ってるね。」


「そうかな?ありがとう!リーネも似合ってるよ!」


「えへへ。そうかな?」


「うん。可愛いと思うよ。」


「うん!嬉しいな!」


そして、2人で寝る前の身支度をする。


「リーネ。寝ようか。」


「うん!!」


そうして、ベッドに入る。孤児院の時と同じようにリーネが僕のベッドに入ってきた。


「ダメ?」


「ダメじゃないよ。一緒に寝よう。」


「えへへ。」


リーネの笑顔が僕の疲れた心を洗い流してくれるようだ。


「カナメ。カナメはまだ賞金稼ぎってお仕事続けるの?」


「うん。続けると思う。大金を稼いだり、貴族やギルドにコネが出来れば、多分リーネと一緒に居られると思うんだけど。」


そうなった時は、リーネは大丈夫だと思うけど、その分柵も多くなって、身動きが取れなくなる可能性もありそうなんだけど。


そんなことは今考えることじゃない。


「そうだよね。私、カナメと一緒にいる時が一番安心できる。」


「うん。分かってる。本当にごめん。」


「カナメってば、謝ってばっかり。」


「うん。ごめん。」


謝ることしかできない。まだ、少ない時間でしか一緒に居られないのだから。


「でも、今は一緒にいるよ。」


「うん。だから安心できる。おやすみ。カナメ。」


「うん。おやすみ。」


孤児院を卒業してから、久しぶりにリーネと一緒に寝た。


改めて思う。僕が頑張る理由。アルスさんと交わした約束。そして、僕自身が大切にしたいもの。それは今、すぐ隣で安心したように眠っている。


所持金:34470ルグ


カナメ装備

武器:オーククラブ

腕 :革のグローブ

身体:革の胸当て

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。