第52話「低重力」
※本作の制作にあたり、誤字確認や構成検討の補助としてAIツールを利用しています。本文は作者が執筆しています。ご了承の上、お楽しみください。
僕が大怪我して、5日間経った。
相変わらず、ティラノバードを狩っている。
絶対重力で動けなくしてからの、剣を突き刺してとどめをさす。
「ふぅ。よし、周囲に何も無さそうだな。」
ティラノバードを狩っている間も、時々ディエの事を思い出す。
だからこそ、周囲への警戒だけは怠らなかった。
あの日以降、僕も意識はしっかり切り替えてる。
狩りの時は、常時質量探査で周囲に怪しい質量が無いかを調べてる。
大怪我した日は、休むしかなかった。
次の日も狩りは身体が痛くて休んでしまった。
リーネには会いに行って、また女将さんが雑炊を作ってくれた。一応銭湯は行ったけど、所持金がかなり心もとない。
2日後から狩りを始めた。リーネの飲食店で晩御飯もしっかり食べるようにした。
正直に言うと、身体はまだ痛い。けど、休むことなんてできない。
狩りをした3日間は、ティラノバードを3匹狩れてる。
500ルグ吹き飛んだ時は絶望したけど、なんとか立て直せた。
今の手持ちは1550ルグ。
しばらくは野垂れ死ぬ心配は無さそうだ。
油断はできないけど、なんとか危険区域から脱出できたと思う。
「そうだ。今日は朝だけ、ティラノバードを狩って、午後は魔道ギルドに行こう。」
ウィルは、お布施だけ払えば、ギルドに来ていいって言っていたはず。
言っていたよね?ちょっと記憶があいまいだけど。
多分大丈夫だろう。
いつもの通り、ティラノバードを一匹狩って、ギルドに戻る。
「クララ。お願いします。」
「はい。180ルグね。まだ、狩りにいくの?」
「いえ、今日はちょっと用事があって、これでおしまいです。」
「そう?じゃあ、剣は返してね。」
「はい。明日も来ますので。」
そうして、ギルドを出て、ウィル達に会いにいく。
なんというか、魔道ギルドの前に来ると久しぶりな感じがした。
「よし。中に入ろう。」
扉を開けると相変わらず排他的な雰囲気だ。
受付の女の人に要件を伝える。
「えっと、ウィルに会いに・・・面会に来たのですか。」
「貴方はカナメですね。孤児院を卒業したって聞きましたけど。」
「え?はい。そうです。」
名前を覚えてくれた自体びっくりした。
「お布施はありますか?50ルグです。」
お布施高いな。ギルド的には安いのだろうけど。
ポケットから50ルグを渡す。
「はい。50ルグです。」
「はい。確かに。では、いつもの部屋にウィルはいますよ。案内しますか?」
「いえ。大丈夫です。」
いつもの場所なら、案内されなくても問題ない。
そのまま、部屋に向かうとウィルとボラン師匠が訓練していた。
「おや?カナメか。」
「うむ。」
「ウィル。ボラン師匠。なんだか、お久しぶりですね。」
「そうでもないと思うけど。」
ウィルは軽く答える。
「一応、ギルドの集会でカナメのお布施は少なめにして欲しいって言っておいたからね。安かったよね。」
「正直、50ルグは今の僕には安くはないですね。」
「そうかい?50ルグぐらい出せるようにならないとね。」
ウィルとは軽口を言い合える仲だから、気が休まる。
「ふむ。カナメが来たからな。よし、今までの基本を振り返りだ。やってみろ。カナメ。」
「はい!」
また、重力制御の訓練だ。
絶対重力から始まり、重力を軽減していく。
そういえば、重力を軽減するときの名前を決めてなかったな。
この際だから、名前を決めておくか。低重力と名付けよう。
「絶対重力!低重力!」
ウィルの方に左手で絶対重力を行い、ボラン師匠のほうに右手で低重力をしていく。
「ふむ?カナメ。最後に会った時と変わらないな。さては、訓練をサボっていたな?」
いきなり、訓練をしていなかったことがバレた。
でも、仕方なかったんだ。主にリーネの就職活動だったけど、多忙だったのだから。
「ええ。すみません。ちょっと色々あって、訓練を重点的にできなかったのです。賞金稼ぎになってからも、お金を稼ぐのに精一杯で中々忙しくて。」
「師匠。カナメは孤児院育ちですし、卒業したばかりなのだから、しょうがないですって。」
「言い訳はいい。今からやれば良いだけだからな。」
そうして、訓練は続いていく。基本的な、絶対重力と低重力から始まり、重力加速の訓練もしていく。
「まだまだだな。技の発動までが遅すぎる。これをもっと早くしないと実践では使い物にならん。」
「はぁ・・・はぁ・・・はい!師匠。」
久しぶりにこんな魔力使った。限界まで使ったのは久しぶりかも。しかも、身体の痛みも抜けてないから、ちょっと・・・いや、かなり辛い。
「うーん。カナメ。もしかして、怪我した?」
ウィルは僕がちょっとおかしいと気づいたみたいだ。
「ええ。ちょっと、大怪我しちゃって。治癒はしたんで、怪我はすぐ治ったんですけど。」
「治癒だけだと、痛みまで取れないからね。ちょっと待ってて。」
ウィルは部屋から出ていった。
「何を取りに行ったんですか?」
「予想は付くが、まぁ待っていろ。」
そのまま待っていると、魔法薬っぽいフラスコのような瓶を持ってきた。
「はい。これ、効果は薄いかもしれないけど、魔法薬だよ。楽なるから飲んで。」
「ウィル。ありがとう。」
そうして、魔法薬を飲む。痛みも楽になった。
魔法薬は即効性があるな。
「後さ、カナメは自分の服を洗濯してるかい?ちょっと臭うよ。」
マジで?そういえば、洗濯してなかったかも。
「えっと、洗濯する時間が無くて。」
「一応、ギルド所属の・・・って言ってもほぼ引退組だけど、それらの人が経営してる洗濯屋がいるからね。ちゃんと洗濯してもらいなね。」
ありがたい。リーネに会いに行くのに、臭いのはちょっとね。リーネに嫌われたらかなりショックだし。
「良いか。カナメ。基本も忘れるな。新たな発見は基本から生まれる。」
「はい!ボラン師匠!」
「だが、定石は疑え!そうすれば、新たな道が出来る。」
「・・・それ矛盾してませんか?」
「矛盾しているように聞こえるから面白いんだ。」
ボラン師匠もベーゼル様も中々無理難題を言ってくる。
魔道ギルドを出た後、洗濯屋を探す。
ちょっと商店街の外れにあったから、10ルグで洗濯してもらった。
その後は、いつものルーティーンだ。
勿論リーネに会いに行って、入浴して泊まる。
大丈夫。油断さえしなければ、生きていける。
そして、もっと強くなれる。
そう思いながら眠りについた。
所持金:1590ルグ




