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第50話「順調な初動」

※本作の制作にあたり、誤字確認や構成検討の補助としてAIツールを利用しています。本文は作者が執筆しています。ご了承の上、お楽しみください。

目が覚める。知らない天井だ。そう思ったけど、すぐ理解した。


「そうだった。今日は宿に泊まったんだっけ。」


そう思って、身体を起こす。うん。特に問題は無さそうだ。


「孤児院のほうが環境が良かったなんてね。贅沢は言ってられないけどさ。」


1人で愚痴りながら、毛布を畳んで部屋を出る。


昨日案内してくれた女の子が朝もいた。


「おはようございます。」


「おはよう。良く寝れた?」


「うん。まぁそこそこね。」


「そこは嘘でも良く寝れたって言う所じゃないの?」


「良く寝れたよ。」


「それは良かった。」


良かったっていうか、言わされた感じなんだけどね。


「そういえば、この宿の名前は何て言うの?」


「ケッラスペルよ。一応、立て札に書いてあったと思うけど。」


女の子が面倒な感じで答える。ケッラスペルか。覚えにくい名前だな。


後、僕に立て札を読むという習慣が無いんだよなー。立て札を読むようにしないとね。


「ごめん。そして、今日はありがとう。多分、今日も泊まりに来ると思うけど。」


「だろうと思った。部屋を掃除しておくからね。」


「うん。いってきます。」


そんな深い仲じゃないけど、自然と挨拶が出た。何か不思議な子だよね。


宿を出たけど、お腹空いたな。


「ギルドに行く前に、ちゃんとご飯食べようか。」


朝御飯を求めて、商店街のほうに歩く。商店街に付くと、人はそんなに多くなかったけど、屋台から良い匂いがしてくる。


「とりあえず、食べよう。何があるかな?」


ちょっと歩くと、すいとん汁のようなものが売ってあった。


「美味しそうだな・・・。」


「坊主。美味しそうじゃねぇ!美味しいんだ!。」


独り言に突っ込まれてしまった。折角だから、これ食べようか。


「おじさん。これいくらですか?」


「せめて、お世辞でもいいからお兄さんって言えや!一杯7ルグだぜ。」


お兄さんって言うには顔に貫禄がありすぎる気がする。気を取り直して、7ルグか。うん。買おう。


「ごめんなさい。お兄さん。一杯買います。」


「あいよ!7ルグな!」


7ルグを渡して、すいとん汁のようなものを受け取る。


屋台だけど、椅子も無いから立ったまま食べる。


結構薄味だけど、朝だからこれくらいが丁度良い。それに、結構お腹に溜まるな。


「ご馳走様です。」


「あいよ。器はそこに置いといてくれ。」


器を置いて、商店街を歩く。まだちょっと食べたいな。


そう思ったら、今度は饅頭みたいなものを蒸かしていた。


「お兄さん。これ一個いくらですか?」


「ほっほう。坊や。お目が高いな。これは・・・。」


気を良くしてるのか、ペラペラと喋ってくれる。簡単に言うと、アグルニのお肉を中に入れたお饅頭って感じだね。前世で言う肉まんだ。


「じゃあ、それ一つください。」


「あいよ。3ルグね。」


3ルグ渡して、肉饅頭を食べる。今度も薄味というか、ちょっとしか塩を入れてないな。ほぼお肉と香草の味だ。


独特だけど、食べられる味だし貴重な蛋白源だ。しっかり食べよう。


その足でギルドに向かう。


向かってる途中で考える。今の所持金は80ルグ。


朝ごはんで10ルグの出費か。剣のレンタルで10ルグ。晩御飯で30ルグ。入浴が10ルグ。宿泊で40ルグ。


つまり、孤児院のある程度同じ水準で暮らそうと思うと、一日100ルグは必要になるな。


最悪、1日に一匹ティラノバードを狩れれば、飢え死にはしない。


けど、それだけだ。せめて、リーネと一緒に暮らすためには、もっとお金が必要だろう。


3匹だ。一日のノルマを3匹!単純計算で180×3で540ルグ。


毎日続けられる保証なんて無い。


怪我をしたら、その瞬間に収入は止まる。


だから、稼げる時に稼がないと。


そう思い、ギルドに向かう。


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


「おはようございます。クララ。」


「おはよう。カナメ。ショートソードのレンタルね。」


「はい。10ルグです。」


「はい、確かに。気を付けて行ってきなさい。」


「はい。行ってきます。」


そうして、昨日と同じように、北門から出て、森に入る。


「さて。2回目だ。気を引き締めていこう。」


独り言で自分に言い聞かせながら、森の中を進む。


ティラノバードが一匹だけ孤立していた。


「運が良い。大丈夫。やれるはず。」


そう言って、仕掛ける。


絶対重力(ジオセンター)!!」


ティラノバードを動けなくして、そのまま剣を突き刺す。昨日と同じ戦い方だ。


また、心臓がうるさくなってる。森に入った時点で緊張していたっぽい。


「個体が大きいから一匹ずつ納品しよう。」


昨日と同じように、北門が見える位置まで戻り、血抜きをして、ギルドに戻ってくる。


クララが同じように迎えてくれる。


「思ったより早いのね。」


「ええ。ありがとうございます。」


「また狩りに行くの。」


「はい。まぁ、一日三匹をノルマにしようと思ってて。」


「・・・そう。」


何か間があったな。とりあえず、180ルグを貰って、もう一度森に潜る。


思ったより、ティラノバードを見つけられる。


今度は、4匹いる。本当にここら辺に生息してるんだな。


「慌てるな。助平心出すなよ。1匹ずつだ。」


ロイドの声が頭をよぎる。


しばらく、様子を見ていたけど、一匹になりそうもないな。諦めよう。


その後、森の中を移動していると二匹のティラノバードを見つける。


「よし!どっちか離れろ・・・。」


そう小声でつぶやきながらひたすら待つ。


そうして、1匹離れた。今だ!


絶対重力(ジオセンター)!!」


同じようにティラノバードを倒し、クララの元に持っていき、180ルグを貰う。


「さて、もう一度だ。3匹目だ。」


なんだかんだで、もうお昼を過ぎている。


やはり今は一日三匹が限界かな。これを続けて良ければ、生きていける。リーネも養える事もできる。


そう妄想しながらも、森に潜っていく。


気を抜いていたのだろう。進んでいったら、ティラノバードと鉢合わせになった。


「クエ!!」


ティラノバードは出会い頭に蹴りを放ってきた。


「やべ!」


横っ飛びでなんとか避ける。


地面に肩を強く打ち付け、鈍い痛みが走った。


「っつぅ!・・・絶対重力(ジオセンター)!!」


ティラノバードは追撃をしようとしたが、その前に動きを止める。


「っせい!」


そのまま、斬りつけて絶命させる。


「あっぶな!気を抜いてた。」


ここは森なんだ。油断しちゃいけない。


そう改めて思った。


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


ティラノバードの3匹目をギルドに持って帰る。


「へー。カナメ。貴方優秀なのね。早速3匹持って帰ってくるとはね。」


「チェリー君。あんまり飛ばしてると大怪我するぜ!がははは!」


クララに褒められる。悪い気はしない。けど、周りは茶化してくるな。無視するけど。


「今日はこれでおしまいにします。これ、返します。」


「はい。確かに。お疲れさまでした。」


180×3の540ルグと所持金70ルグを合わせて、610ルグ。


一気にお金持ちになった気分だ。


「ちょっとお金を持ったぐらいで調子に乗らないほうがいい。そうして、破滅していく奴も少なくないのだから。」


「あっと。」


確かに。1日でノルマというか。思ったより良い感じで出来て、調子乗りそうだった。


「大金を稼いで次の依頼で死ぬなんてこの業界じゃ普通よ。ちょっとお金を持ったからって、図に乗らないように。」


「うん。ごめん。」


「誰に謝ってる?謝る必要はないわ。」


じゃあ怒らないで欲しい。けど、クララの言う通りだな。


ギルドを出て、リーネに会いに行く。もう夕方だけど、出だしが好調だから気分がいいな。


「こんばんは!」


「いらっしゃ・・・あっカナメ!」


タベルナヴィーヴァに入るとリーネが迎えてくれる。


「カナメ!あのね!!」


「リーネ。ちょっと追い付いて!まずは席に案内して。」


「あ!ごめん。カナメ。こっちだよ。」


リーネに席に案内される。


「よし、リーネ。今日はどうだった?」


「えっとね。今日はね。お客さんに名前を覚えてもらったんだ。」


「へー。それはすごいね。昨日からなのにね。」


昨日から働き始めたばっかりなのに、もう名前を覚えてもらっているのか。


確かに、リーネは可愛いからなー。


「リーネ。あんたそうは言うけど、坊や以外のお客には全然話せないじゃないか。」


「女将さん!?ううぅー。」


うん。やっぱり人見知りのリーネはそう簡単に変わらないよね。


でも、毎日会いにくれば、元気にやっていけそうだな。


そうして、リーネと話をしながら、晩御飯を食べる。


「カナメ。それでね!」


「うんうん。それで?」


リーネと話してると気が軽くなる。


晩御飯を食べ終わって、女将さんに勘定の30ルグを渡す。


「カナメ。えっとね・・・。」


リーネは何か言いたそうにしている。


「リーネ。明日も絶対来るからね。」


「うん!」


リーネの笑顔を見れてよかった。


店を出て安銭湯で入浴をして、宿に泊まる。


「いらっしゃ・・・あら?へー。すぐ死ぬと思ったけど、今日は生きて帰ってこれたのね。」


「ご挨拶だね。まだ死ぬわけにいかないからね。今日も一泊お願いします。」


「はーい。」


受付の女の子に部屋に案内してもらう。


所持金は610-30-10-40で530ルグか。


今日は上手くいった。だからこそ、明日死ぬかもしれない。


宿で横になりながら、考える。


(「大金を稼いで次の依頼で死ぬなんてこの業界じゃ普通よ。ちょっとお金を持ったからって、図に乗らないように。」)


クララの言葉が、妙に頭に残っていた。

所持金:530ルグ

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