第49話「タベルナヴィーヴァ」
※本作の制作にあたり、誤字確認や構成検討の補助としてAIツールを利用しています。本文は作者が執筆しています。ご了承の上、お楽しみください。
ギルドを出て、リーネの働く飲食店に向かう。
初めての報酬を貰った。170ルグ。これが僕の初めての賞金であり、今の全財産だ。
大切にしないと。破産したら、文字通り終わりだ。
リーネを守るどころか日々の生活すらままならない状態になったら・・・。
頭を横に振って、嫌な想像を追い出す。
とにかく、今はリーネに会いに行こう。
「リーネは大丈夫かな?」
独り言を言いながら、歩く。考えながら歩いていたから、すぐにお店に着いた。
「こんばんはー。」
挨拶しながら、お店に入る。
「いらっしゃい・・・あ!カナメ!」
エプロンをしたリーネは僕が来店すると向日葵みたいな笑顔を浮かべる。こっちも嬉しくなるような笑顔だ。
「カナメ!今日来てくれたんだ!」
「勿論だよ。毎日来るよ。席はどこに座ればいいの?」
「えっとね。ここに座って!」
カウンターを指さして案内される。僕もリーネと話したいからカウンターは都合が良い。
今気が付いたけど、お昼食べてないから思ったよりお腹が空いてる。
「カナメ!何食べたいの?」
リーネがオーダーを聞いてくる。まだ一日目なのに、しっかりウェイトレスをしてるなー。
「うーん。何があるの?」
逆に質問してみる。
「え?・・・えーと、えーと。」
リーネは困った感じでキョロキョロしている。これは、まだメニューを覚えてないな。初日だもんね。
そうすると、女将さんが近づいてきた。
「ああ。あんたかい。何にする?」
「女将さん。メニューは何があるのですか?」
「メニューなら厨房の上の黒板に書いてあるけどね。ただ、料理は日によって変わるよ。どうする?」
たしかに、旦那さんが奥にいるところに黒板があった。けど、この席からだと遠くて分かりにくい。
色々ありそうだな。パッと見た感じ料理が8種類、飲み物が6種類って感じか。
「うーん。おすすめってあります?」
「坊や。その前にお金は持ってるのかい?」
無銭飲食を疑われた感じかな?でも、とりあえず、ポケットから100ルグぐらい出して女将さんに見せる。
「一応これくらいなら。」
「・・・割と持ってるね。分かった。30ルグぐらいで適当に持ってくるよ。それでいいかい?」
「はい。お願いします。」
「あいよ。リーネは向こうのテーブルを片付けな。」
「はい。女将さん。」
リーネはもっと話したいって感じで振り返りながら、言われた通りテーブルの片づけを行っている。
しっかり、働いてるな。旦那さんも女将さんも少し話した感じ悪い人では無さそうだ。
しばらく待つと、リーネが料理を持ってきた。
「カナメ!はい!今日の日替わり料理だって。」
置かれたのはキッシュみたいなものとタンドリーチキンかな?後は、お野菜とお肉が入ったスープとお茶を出してくれた。
「結構な量があるね。」
「うん。30ルグだからね。」
ふむ。30ルグでこの量なら、一日二食でも何とかなるかもしれない。
「うん。頂きます。」
早速、キッシュを食べてみる。うん。ちょっと味が濃いけど、美味しいね。
「うん。美味しい。」
「本当!嬉しいな!」
「え?もしかして、これリーネが作ったの?」
「ううん。違う。作ってるのは旦那さんだよ。」
「そっか。」
他愛のない話をしながら、食べる。タンドリーチキンも味濃いけど、美味しいね。
「そういえば、このお店の名前って何ていうお店なの?」
「え?わからない。」
わからないのか。単純に教えてもらってないだけだと思うけどね。
「タベルナヴィーヴァだよ。一応店の前の立て札には書いてあるんだけどね。」
女将さんが料理を運ぶついでに教えてくれる。立て札あったかな?気が付かなかった。
それにしても、タベルナヴィーヴァか。変わった名前だな。そう思いながら、リーネと談笑しながらご飯を食べる。
しばらくして、ご飯を全部食べた。かなりおいしかったし、お腹一杯になった。
「うん。美味しかった。それじゃ、宿を探さないといけないから。」
そう言って、会計しようとする。
「え?もう行っちゃうの?もっと一緒に居ようよ。」
リーネが可愛くおねだりするけど、流石にね。やっぱり宿に泊まりたい。今もかなり暗い。完全に夜になる前に宿を探したいからね。
「ごめん。明日も会いに来るから!絶対約束!」
「ううぅー」
リーネは寂しそうな顔をする。行きにくい。後ろ髪を引かれる。
でも、心を鬼にして、行かないと。
「女将さん。お会計をお願いします。」
「はいよ。30ルグね。」
そうして、30ルグを女将さんに渡す。
「坊や。こんな金を一日にどうやって稼いだかは聞かないでおくよ。大体察しは付くからね。出来れば、毎日顔だしな。あの子のためにな。」
そう言って、お金を受け取った。
「はい。わかりました。リーネ!明日も絶対来るから!」
「うん。」
リーネに別れを告げて店の外に出る。
「さて、野宿は勘弁だ。宿を探さないと。」
考えてなかったけど、宿泊施設を探さないと。賃貸とかあるのかな?とりあえず、足で探すしかない。
当てなんてない。商店街に行ってみるか。そう思い僕は歩き始めた。
商店街に来たけど、結構屋台とかまだやってるな。酒を提供してる所もチラホラあるし。ここで聞いてみようか。
「すみません。」
「あんだ?坊主。子供に酒は出せないぞ。」
「いえ、違うんです。ちょっと安くてもいいので、泊まる所が欲しくて。」
「泊まる場所?あー。俺も知らんけどよ。街の西側とか行商の連中た居たりするから、行ってみたらどうだ?」
「ありがとうございます。」
案外簡単に教えてもらえたな。こんなところは人情があっていいな。
そうして、街の中心から少しだけ西側に行ったところに、そこそこ大きい宿があった。正直疲れたから、迷いなく宿に入る。
「こんばんは。」
「いらっしゃい。」
受付の女の子が対応してくれた。
「とりあえず、宿泊希望なんですけど。」
「えーと。ウチは素泊まりで40ルグだけど、大丈夫?君お金持ってるの?」
40ルグか。今の出費からすると痛いけど、しょうがない。
「はい。お金は持ってます。後、浴室ってあったりしますか?」
「・・・そんな高級なものウチには無いよ。」
そりゃそうだよね。父さんもお風呂は貴族や金持ちじゃないと無理って言ってたし、多分ユミル先生の孤児院が特別なんだろう。
「一応、ちょっと先に銭湯があるけど。」
「本当に?じゃあ、部屋の予約だけ良いですか?ちょっと汗かいたので、汗流そうかと。」
「かしこまりました。いってらっしゃい。」
愛想が良いとは言えない接客だけど、気にせず銭湯に向かう。
確かに、ちょっと行った場所に銭湯があった。入って見ると、男湯と女湯が別れてる。これは嬉しいぞ!
「1回10ルグだよ。どうする?」
目の前にいる女の人に聞かれる。多分店員さんだろう。
「はい。入ります!10ルグですね。」
10ルグを店員さんに渡す。
「はい。確かに。左手が男湯だから、そっちに入ってね。」
「はい!」
そういって、中に入る。かなり人が多い。けど、脱衣所もある。ただ、ロッカーは無いな。最悪、金を盗まれるかも。
周りを見てみると、巾着袋を持ってるから、お金は持って入るんだろう。お金を握り、浴室に入る。
人が多い割りに、浴槽は狭いな。それに垢も浮いてる。
「贅沢を言える立場じゃないよね。」
そう呟き。お風呂に入って、汗を流す。お湯は丁度いいけど、人が多すぎてリラックスできるような環境じゃないな。
20分ぐらいお湯につかって、浴槽から出る。
そのまま、服を着て、宿に戻ってきた。
「いらっしゃい。どうだった?」
「うん。汗は流せたよ。」
「良かったね。じゃあ、部屋はこっちね。」
そう言って、女の子は歩いて行ってしまう。
僕も勿論後ろを付いて行く。
「はい。ここね。」
案内された部屋は4畳ぐらいの狭い部屋だった。申し訳ない程度に毛布が1枚ある。
思ったより狭い。そう思ったのを分かったのだろう。女の子が厳しい感じで答える。
「嫌なら野宿する?なんとなく分かるけど、君さ。賞金稼ぎでしょ。雨風しのげる場所があるだけありがたいと思いなさい。」
そう言われて、我に返る。そうだよね。今までが贅沢だったんだ。
「いや、大丈夫。ちなみにさ。家とか賃貸とかってこの辺りにあるの?」
「賃貸ねー。それなりに大きい一部屋だと家賃1000ルグぐらいかかるよ。」
そんなにか。しょうがない。異世界は厳しいな。
「ありがとう。泊まるよ。」
「じゃあ、40ルグね。」
女の子に40ルグを渡して、部屋に入る。
一応、薄いけど、毛布もある。寝るのに、問題は無さそうだ。
孤児院には、自分の部屋こそ無かったけど、お風呂もあったし、部屋も大きかった。
そのギャップがあるからであって、今は贅沢なんて言っていられない。
手元に残ったのは、90ルグか。ただ、硬貨をポケットに入れる。
これを続ければ、一応食べてはいける。でも、一日でも狩れなければ終わりだ。
そう思いながら、僕は眠った。
所持金:90ルグ




