第46話「バウンティギルド」
※本作の制作にあたり、誤字確認や構成検討の補助としてAIツールを利用しています。本文は作者が執筆しています。ご了承の上、お楽しみください。
僕達は孤児院を卒業した。もう僕達を社会的に守ってくれる後ろ盾が無くなった。
もう、守ってくれる場所はない。
「では、カナメ。リーネ。僕はこれで。」
「うん。ローレン。また会おう。絶対に死なないようにね。」
「バイバイ。」
同じく卒業生のローレンと別れて、僕達はあの飲食店に向かう。
多分だけど、あの飲食店は元の世界で言う飲み屋みたいなものだと思う。
変な輩が来るかもしれない。あの女将さんが上手く躱してくれるといいのだけど。
「カナメ。」
僕と手を繋いでいるリーネは終始不安そうにしている。
安心させてあげたい。本当なら、僕も心配だ。一緒に居たいのは僕も同じなんだ。
でも、このままじゃ、二人とも生活できない。いずれ一緒にいるために、今はリーネに我慢してもらうしかないんだ。
「大丈夫だよ。大丈夫だから、絶対毎日会いにいく。ご飯食べに行くからね。」
「うん。」
リーネは何度も頷いていた。僕も、何度も同じことを口にした。まるで、自分に言い聞かせてるみたいだった。
リーネは住み込みで働くから最悪なんとかなると思う。でも、僕は?
本当に賞金稼ぎになって食い扶持を稼ぐことは出来るのだろうか?
もしかしたら、日々の生活すらままならないのではないか?
そんな不安がよぎる。最悪、ウィルに土下座しよう。
そう思うことで、なんとか平常心を保っていられる。
リーネの一緒に飲食店の前にきた。前回と同様に挨拶しながらお店の中に入る。
「こんにちはー。」
「ん?誰だ?」
今度は男の人がいた。多分だけど、女将さんの旦那さんかな?
「えっと。今日から住み込み働くって約束なんですけど。」
「ああ。デイジーの言ってた子か。」
あの女将さんはデイジーって名前だったらしい。
「はい。ほら、リーネ。挨拶して。」
「・・・よろしくお願いします。」
旦那さんは少しだけため息をつきながら、承諾する。
「わかったよ。リーネちゃんだっけ?こっちに来な。一通り仕事を教えるから。」
「カナメ。」
リーネは最後の抵抗を見せる。中々手を放そうとしない。僕も離れたくはない。
やっぱり、一緒に居よう。そう言いたかった。・・・でも、今はダメだ。
「リーネ。毎日会いに来る。これは絶対だよ。約束だ。」
「うん。分かった。」
ようやく手を放してくれた。やっぱり何か言いたそうな顔してるけど、我慢させちゃってるよね。
「では、旦那さん。よろしくお願いします。」
「あいよ。ついでに言うが、ワシの名はマテオだ。まぁ旦那でいいけどな。」
「はい。旦那さん。お願いします。」
「さんもいらないよ。」
「はい。旦那!」
「悪いようにはしない。なんとなく察するが、坊主も頑張りな。」
「ありがとうございます。ちなみに、僕の名前はカナメです。」
「カナメね。覚えておく。」
そうして、僕はお店を出て、バウンティギルドに足を向かう。
僕は最後にお店を振り返った。本当に一緒にいてあげられなくてごめん。
でも、絶対なんとかする。生活基盤が出来たら、一緒に居よう。
僕はギルドのほうに歩いていく。これからだ。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
前にウィルから聞いていた。バウンティギルドに到着した。
「この街の北スラム側にバウンティギルドはある。その奥に行くとガチのスラムがあるから気を付けるんだよ。」
事前情報があったけど、思ったより荒れてるな。飲んだくれというか、単純にガラの悪い奴が多くいる。
ギルドなのに、こんな所にあっていいのか?とも思ったけど、賞金稼ぎなんてそんなものなのかもしれないなと自分を納得させる。
周りの奴らが声かけてくるわけでもなく、見てくるな。このままじっとしててもしょうがない。
意を決してギルドの扉を開ける。
中にいた人相悪い連中が一斉にこっちを見てくる。
「なんだ?」
「おい。黒髪のガキだぞ。」
「どうせ捨てられたんだろうよ。それか職をクビになったかだ。」
「「「がははははは」」」
好き勝手なこと言ってくれるな。それらを無視して、僕は受付っぽい所の女の人に話かける。関係ないけど、この人もかなり美人だ。でも、冷たそうな美人だな。
「すみません。僕、賞金稼ぎになりたいんですけど。」
「坊や。貴方何歳?」
「13歳です。」
「13ね。一応ギルドに所属できる年齢ではあるけど・・・。」
何か歯切れが悪い受け答えをする。
「坊や。よく考えて。賞金稼ぎって確かに羽振りの良い感じに振舞ってる人が沢山いるけどね。その実、いつ死んでもおかしくないのよ。」
「わかってます。それくらい。」
「クララよー。ガキに現実ってもんを教えてやれよ!お前じゃ死ぬだけだってな!がはははは!」
うん。多分そんな感じで見られてるのはなんとなくわかった。そして、この受付嬢さんはクララさんっていうのか。
「・・・あの人の言う通りよ。悪い事言わないわ。貴方は止めておきなさい。ちゃんと手に職を持った方がいい人生を送れるわ。」
この感じは夢と理想を追ってる子供みたいに見られてるんだろうな。
「忠告ありがとうございます。でも、意思は変わりません。僕も賞金稼ぎになりたいのです。」
クララさんは大きなため息をついた。
「わかりました。では、こちらへ。」
「おい!チェリー君!!ちゃんと教えてもらえよ!」
言いたい放題だな。賞金稼ぎって言う連中はイメージ通り無骨者の集団って感じだ。
僕は言われた通りにクララさんの後を付いて行く。振り返ると別の受付嬢が対応していた。流石に受付を無人にすることは無いみたいだ。
「早く来なさい。」
「はい。すみません。」
急いでクララさんの後を追う。
部屋に入ったら、中央に机と椅子があった。会議室っぽい所だな。
「まず、私の名前はクララです。以後お見知りおきを。」
「はい。クララさん。僕はカナメと言います。よろしくお願いします。」
「カナメね。貴方。もう一度確認するけど、本当に賞金稼ぎになるつもり?」
「はい。」
「賞金稼ぎって道中での死亡なんて日常茶飯事だし、無事に引退出来た者なんて一握りよ。死ぬより先に壊れる子も多いわ。ちゃんと分かってる?」
やっぱりそういうものだよね。ゲームや漫画みたいにチートで俺ツエー!みたいな感じだと良かったのだけどね。生憎僕はそうじゃない。でも、もう引けない。
「はい。分かってます。」
「そう・・・分かったわ。椅子に座ってて。今準備するから。」
言われた通り椅子に座る。クララさんはそのまま部屋から出る。しばらく、待つと小さいカードを持ってきた。
「カナメ。まず、このカードはギルドカード。貴方がギルドに所属していることを証明するものであり、実質的な身分証明書になるものよ。」
なるほど。これは無くさないようにしないといけないな。
「それと、これはドッグタグも兼ねてるわ。もし、貴方が将来仲間が出来て、仲間が死亡した際には、このカードも持ってきて。そこで、正式に死亡届となるわ。」
身分証と墓標を兼ねてるってわけか。最初から重い話が出てきたけど、避けては通れないのだろう。真剣に聞くしかない。
「これは、ギルドが生産している魔道具です。カナメ。貴方の血をこのカードに一滴垂らして。そうすれば、貴方用のギルドカードになります。」
「クララさん。血と言われても、僕は今刃物とか持ってなくて。」
「これ。ナイフよ。これで切りなさい。後、私の事はクララで良いわ。」
「ありがとうございます。クララ。」
ナイフと言いつつ、カッターぐらいの刃の短さだけど、親指をちょっとだけ切って、ギルドカードに血を垂らす。
垂らした血はそのまま文字となり、僕の名前が赤く表示される。
「おお!これはすごいですね。」
「この程度で驚くものではないわ。」
クララは冷静に返答する。でも、指が痛い。ちょっと切りすぎたかも。かなり血が出てきた。
「ちょっと痛いです。」
「我慢しなさい。賞金稼ぎになるのでしょう。そんなことで根を上げないで。」
怒られてしまった。根を上げたつもりはないのだけど。
「そのギルドカードは無くさないでね。この後、貴方のような新米には、ノービスセミナーをギルドは行っているわ。今日も貴方の他に5人くらい新米がいるの。参加しなさい。生き残りたかったらね。」
ノービスか。確かに、新米だからね。受けておいた方がいいよね。
「はい。わかりました。」
僕はギルドカードを握りしめた。もう後戻りは出来ない。僕はもう進むしかないんだ。




