表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
49/49

第45話「門出の日」

※本作の制作にあたり、誤字確認や構成検討の補助としてAIツールを利用しています。本文は作者が執筆しています。ご了承の上、お楽しみください。

「よし!リーネ。行こうか。」


「・・・うん。」


今日はリーネを連れて、就職先を探す日だ。卒業までそんなに時間がない。今のうちになんとかしないと。


「・・・。」


「マティス?いや、マティスは付いてこなくても大丈夫だよ?」


「・・・。(ふるふる)」


マティスは首を振って否定する。なんだかんだでマティスついていきたいみたいだ。


「まぁ、いいけど。今日は就職活動だからそんなに面白いものでもないよ?」


「・・・。(こくん)」


大丈夫らしい。本人が言うならいっか。頷いただけで言ってないけどね。


「じゃあ、3人で行こうか。」


「うん。」


「・・・。(こくん)」


リーネは気乗りしない感じだよね。仕方がないことだけど。


そうして、3人でリーネの就職先を探すために街に繰り出す。


ちなみに、前もってウィルにも相談したけど、ギルドは無理だった。リッケル様にも聞いたけど、教会も聖属性の適正が必要らしい。

難しい事は分かってはいたけど、ちゃんと言われると凹んだな。


ともあれ、リーネの就職先を見つけるべく街に行く。


「悪いけど人は雇えないよ。」


「すまないな。人は雇えない。」


「住み込みでって条件は厳しいと思うぞ。」


商店、花屋、配達所(俗にいう飛脚みたいなものか)、3人で何件も回った。


流石に行商人には声かけなかった。街から街に移動する行商は今の僕達には辛い。


それに、街の外は危険だ。危険なことやらせられない。同じ理由でリーネには賞金稼ぎも無しかな。


なんとか住み込みで働ける場所を探さないといけない。


「カナメ・・・疲れたよ。」


「うん。そうだね。」


リーネは疲労を訴えてくる。マティスのほうを見ると同じく疲れた感じだ。


「ちょっと、広場で休もうか。」


「うん!」


「・・・。(こくん)」


広場で一先ず休む。休みがてら、僕はリーネに改めて聞いてみる。


「リーネは何になりたいの?」


「うーん・・・わからない。」


前と同じ答えか。そうだよね。そんなすぐになりたいものなんて浮かばないよね。


「でも、卒業したら働かないといけないからね。」


「うん。」


「なんとか食い扶持を探さないとね。できれば、住み込みで働ける所じゃないと厳しいよね。」


「カナメと一緒ならいいよ。」


「うーん。」


今回ばっかりは一緒は無理だ。でも、それを言い出せる雰囲気じゃない。どうしたものか。


前世の時を思い出す。学生の頃どんなバイトしてたかな?


思い出すのは、ファーストフード、飲み屋、日雇いのエキストラ。そのくらいだよな。


飲食店を中心に探してみるか。


「よし。リーネ。マティス。行こうか。」


「うん。」


「・・・。(こくん)」


3店程回ったが、そう簡単に雇ってもらえない。正直、僕の方が心折れそうになる。


なんとか奮い立たせて、次の居酒屋みたいなお店に訪問する。


「こんにちはー。」


挨拶しながら、お店の中に入る。そしたら、そこそこ年配の女の人が出てきた。


「まだ開店前だよ。出直してきな!」


「いえ、食事したいわけじゃないんです。」


おそらくこの人が女将さんなのだろうか?


「えっと。僕達は孤児なんです。今は孤児院にいますが、もうそろそろ卒業してしまうのです。卒業したら、ここで住み込みで働きたいので、雇っていただけませんか?」


「孤児?それに雇えだって?まぁ人手は欲しいっちゃ欲しいが。」


話は聞いてくれるな。雇ってもらえそうだ!


「いえ、雇ってほしいのは、この女の子なんです。ほら、リーネ。」


「うん。」


「・・・あのね。飲食店ってきついよ。大丈夫なのかい?」


「うん。お願いします。」


女将さん?ため息を出しながら答える。


「はぁ・・・。この女の子だけかい。」


「はい。お願いします。」


お!なんとか雇ってもらえそうだ!これなら一安心かな?そう思ったのに。


「え!?カナメ!カナメは、一緒にいてくれないの?」


そうだった。結局、ちゃんと言ってなかった。


「うん。ごめん。卒業したら、ずっと一緒ってわけにはいかないんだ。」


「そんな!! 一緒にいたいよ!」


リーネは両手で僕の手を強く握ってくる。


「……ごめん。でも、毎日会いに来るから」


「うぅ……」


リーネが目に涙を溜めている。泣いてしまいそうだ。


「そうだ!お金に余裕が出来たら、一緒にお出かけしよう! 約束だ! 寂しくならないように毎日会いに来るから!」


「・・・・・・・・・わかった。」


渋々、というか、言葉だけの理解だと思うけど、それでも了承してくれた。働き始めたら、本当に毎日会いに来ないとね。


「それじゃ、お願いします。」


「あいよ。後、私の事は女将でいいからね。」


「はい!女将さん!リーネ。マティス。行こう。」


「・・・うん。」


「・・・。(こくん)」


3人でお店を出る。なんとか、就職先は決まった。卒業までに間に合った。


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


その数週間後、僕達の卒業式が始まった。


「カナメ君、ローレン君、リーネちゃん。貴方達は13歳になりました。貴方方の門出を心から祈ります。」


前回と前々回のユミル先生と同じようなセリフだ。僕はユミル先生に近寄って感謝を伝えよう。


「ユミル先生。今までありがとうございます!生活が安定したら、顔を見せに行きますよ。」


「カナメ君。そうですね。期待してますよ。」


「はい!」


リーネも僕と同じようにユミル先生に感謝を伝えてくる。


「ユミル先生。ありがとうございます。」


「リーネちゃんも頑張るのですよ。」


「・・・はい。」


返事はするものの不安そうだ。最後にローレンがユミル先生に感謝を伝える。


「先生。僕は必ずビッグになって見せますよ!」


「ローレン君。ええ。頑張ってください。」


後は、カミラとマティスはだね。この二人は孤児院に居残りだね。


「カミラ。僕達は一足早く卒業するけど、そっちも頑張ってね。」


「カナメ君も頑張ってね。ウチも頑張るけど。」


付き合いはそんなに長くないけど、お手伝いとかよく手伝ってくれた子だ。カミラとしっかり握手する。


次に、マティスと向き合う。


「マティス。僕達がいなくても頑張ってね。」


「・・・。」


マティスは肯定も否定もしない。でも、なんとなく寂しそうな顔。捨てられた子犬みたいな顔。


「そんな顔しないで。この街にいる限りいつでも会えるのだから。」


「・・・。」


自分で言いつつ、いつでも会えるのかは謎だよね。今まで孤児院に来てくれたOBもOGもいないのだから。


「それじゃ、皆!今までありがとう!」


そう言って、僕達は孤児院から巣立った。歩いてる途中でリーネが不安そうに僕の手を繋いで話しかけてくる。


「カナメ。私・・・大丈夫かな?」


「大丈夫だよ。僕は近くにいるから。」


これは本当にそう思っている。僕はリーネの近くにいる。


これからは、一緒に眠ることもできなくなる。


でも、リーネにとっても、これは必要なことなんだと思う。


そう言って、僕達は卒業することになった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ