第45話「門出の日」
※本作の制作にあたり、誤字確認や構成検討の補助としてAIツールを利用しています。本文は作者が執筆しています。ご了承の上、お楽しみください。
「よし!リーネ。行こうか。」
「・・・うん。」
今日はリーネを連れて、就職先を探す日だ。卒業までそんなに時間がない。今のうちになんとかしないと。
「・・・。」
「マティス?いや、マティスは付いてこなくても大丈夫だよ?」
「・・・。(ふるふる)」
マティスは首を振って否定する。なんだかんだでマティスついていきたいみたいだ。
「まぁ、いいけど。今日は就職活動だからそんなに面白いものでもないよ?」
「・・・。(こくん)」
大丈夫らしい。本人が言うならいっか。頷いただけで言ってないけどね。
「じゃあ、3人で行こうか。」
「うん。」
「・・・。(こくん)」
リーネは気乗りしない感じだよね。仕方がないことだけど。
そうして、3人でリーネの就職先を探すために街に繰り出す。
ちなみに、前もってウィルにも相談したけど、ギルドは無理だった。リッケル様にも聞いたけど、教会も聖属性の適正が必要らしい。
難しい事は分かってはいたけど、ちゃんと言われると凹んだな。
ともあれ、リーネの就職先を見つけるべく街に行く。
「悪いけど人は雇えないよ。」
「すまないな。人は雇えない。」
「住み込みでって条件は厳しいと思うぞ。」
商店、花屋、配達所(俗にいう飛脚みたいなものか)、3人で何件も回った。
流石に行商人には声かけなかった。街から街に移動する行商は今の僕達には辛い。
それに、街の外は危険だ。危険なことやらせられない。同じ理由でリーネには賞金稼ぎも無しかな。
なんとか住み込みで働ける場所を探さないといけない。
「カナメ・・・疲れたよ。」
「うん。そうだね。」
リーネは疲労を訴えてくる。マティスのほうを見ると同じく疲れた感じだ。
「ちょっと、広場で休もうか。」
「うん!」
「・・・。(こくん)」
広場で一先ず休む。休みがてら、僕はリーネに改めて聞いてみる。
「リーネは何になりたいの?」
「うーん・・・わからない。」
前と同じ答えか。そうだよね。そんなすぐになりたいものなんて浮かばないよね。
「でも、卒業したら働かないといけないからね。」
「うん。」
「なんとか食い扶持を探さないとね。できれば、住み込みで働ける所じゃないと厳しいよね。」
「カナメと一緒ならいいよ。」
「うーん。」
今回ばっかりは一緒は無理だ。でも、それを言い出せる雰囲気じゃない。どうしたものか。
前世の時を思い出す。学生の頃どんなバイトしてたかな?
思い出すのは、ファーストフード、飲み屋、日雇いのエキストラ。そのくらいだよな。
飲食店を中心に探してみるか。
「よし。リーネ。マティス。行こうか。」
「うん。」
「・・・。(こくん)」
3店程回ったが、そう簡単に雇ってもらえない。正直、僕の方が心折れそうになる。
なんとか奮い立たせて、次の居酒屋みたいなお店に訪問する。
「こんにちはー。」
挨拶しながら、お店の中に入る。そしたら、そこそこ年配の女の人が出てきた。
「まだ開店前だよ。出直してきな!」
「いえ、食事したいわけじゃないんです。」
おそらくこの人が女将さんなのだろうか?
「えっと。僕達は孤児なんです。今は孤児院にいますが、もうそろそろ卒業してしまうのです。卒業したら、ここで住み込みで働きたいので、雇っていただけませんか?」
「孤児?それに雇えだって?まぁ人手は欲しいっちゃ欲しいが。」
話は聞いてくれるな。雇ってもらえそうだ!
「いえ、雇ってほしいのは、この女の子なんです。ほら、リーネ。」
「うん。」
「・・・あのね。飲食店ってきついよ。大丈夫なのかい?」
「うん。お願いします。」
女将さん?ため息を出しながら答える。
「はぁ・・・。この女の子だけかい。」
「はい。お願いします。」
お!なんとか雇ってもらえそうだ!これなら一安心かな?そう思ったのに。
「え!?カナメ!カナメは、一緒にいてくれないの?」
そうだった。結局、ちゃんと言ってなかった。
「うん。ごめん。卒業したら、ずっと一緒ってわけにはいかないんだ。」
「そんな!! 一緒にいたいよ!」
リーネは両手で僕の手を強く握ってくる。
「……ごめん。でも、毎日会いに来るから」
「うぅ……」
リーネが目に涙を溜めている。泣いてしまいそうだ。
「そうだ!お金に余裕が出来たら、一緒にお出かけしよう! 約束だ! 寂しくならないように毎日会いに来るから!」
「・・・・・・・・・わかった。」
渋々、というか、言葉だけの理解だと思うけど、それでも了承してくれた。働き始めたら、本当に毎日会いに来ないとね。
「それじゃ、お願いします。」
「あいよ。後、私の事は女将でいいからね。」
「はい!女将さん!リーネ。マティス。行こう。」
「・・・うん。」
「・・・。(こくん)」
3人でお店を出る。なんとか、就職先は決まった。卒業までに間に合った。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
その数週間後、僕達の卒業式が始まった。
「カナメ君、ローレン君、リーネちゃん。貴方達は13歳になりました。貴方方の門出を心から祈ります。」
前回と前々回のユミル先生と同じようなセリフだ。僕はユミル先生に近寄って感謝を伝えよう。
「ユミル先生。今までありがとうございます!生活が安定したら、顔を見せに行きますよ。」
「カナメ君。そうですね。期待してますよ。」
「はい!」
リーネも僕と同じようにユミル先生に感謝を伝えてくる。
「ユミル先生。ありがとうございます。」
「リーネちゃんも頑張るのですよ。」
「・・・はい。」
返事はするものの不安そうだ。最後にローレンがユミル先生に感謝を伝える。
「先生。僕は必ずビッグになって見せますよ!」
「ローレン君。ええ。頑張ってください。」
後は、カミラとマティスはだね。この二人は孤児院に居残りだね。
「カミラ。僕達は一足早く卒業するけど、そっちも頑張ってね。」
「カナメ君も頑張ってね。ウチも頑張るけど。」
付き合いはそんなに長くないけど、お手伝いとかよく手伝ってくれた子だ。カミラとしっかり握手する。
次に、マティスと向き合う。
「マティス。僕達がいなくても頑張ってね。」
「・・・。」
マティスは肯定も否定もしない。でも、なんとなく寂しそうな顔。捨てられた子犬みたいな顔。
「そんな顔しないで。この街にいる限りいつでも会えるのだから。」
「・・・。」
自分で言いつつ、いつでも会えるのかは謎だよね。今まで孤児院に来てくれたOBもOGもいないのだから。
「それじゃ、皆!今までありがとう!」
そう言って、僕達は孤児院から巣立った。歩いてる途中でリーネが不安そうに僕の手を繋いで話しかけてくる。
「カナメ。私・・・大丈夫かな?」
「大丈夫だよ。僕は近くにいるから。」
これは本当にそう思っている。僕はリーネの近くにいる。
これからは、一緒に眠ることもできなくなる。
でも、リーネにとっても、これは必要なことなんだと思う。
そう言って、僕達は卒業することになった。




