第40話「重力加速」
※本作の制作にあたり、誤字確認や構成検討の補助としてAIツールを利用しています。本文は作者が執筆しています。ご了承の上、お楽しみください。
僕は12歳になった。後、1年でこの孤児院から卒業する。
正直焦る。何がってそりゃあ、今のままでは僕も孤児院卒業して、賞金稼ぎとしてやっていけるかわからない。
リーネもだ。もっと社交的になってもらわないと厳しいと思う。一緒に住んでご飯食べさせてあげればいいんだけど、そんなツテはない。
1年。1年なんてあっという間だ。どうする。
「こら!カナメ!雑念が入りすぎてる!集中しないとダメだよ。」
「っ!ごめん。ウィル。」
いかんいかん!折角、魔道ギルドにいるのだから、今は新技の訓練に集中しないといけないね。
そうして、訓練は続いていく。何度も魔力を枯渇を経験してるから、かなり魔力が上がってるね。魔力が上がると、より濃い内容の訓練ができるから相乗効果でいいね。
「はぁ!」
魔力を集中して重力波を筒状に発生させる。そして、小さなビー玉サイズの石を空間上に固定する。
「いいよ。カナメ。その調子だ。そのまま維持するんだ。」
僕の脇で見てくれるウィルも見守ってくれる。そのまま、重力波を固定させて、そして・・・。
「いくよ!!!」
水平にGを掛けて、一気に押し出す!!!
ビュン!
石は壁にめり込み、そのままヒビが入って割れた。
「うん。いいね。この威力はすごいよ。この壁は魔道蓄積性の高い鉱石でかなり頑丈なんだ。それにめり込むなんてね。」
「はぁ・・・はぁ・・・。ウィル、ありがとう。」
「でも、威力はすごいけど、まだまだだね。時間が掛かりすぎだよ。」
「それは・・・そうだね。」
なんせ、石を打ち出すまで5分くらい掛かってる。いくら高威力でもこんな時間掛かってたら、駄目だろう。でも、約半年で形まで持っていけたのは、自画自賛したいところではあるけど。そうだ!この技を重力加速と名づけよう。
「次は、速さだね。これをもっと早く出来るようにしよう。魔法は発動までの速さも重要だからね。」
「うん。そうだね。」
「それじゃあ、もう一回やろうか。」
「押忍!」
何か部活動みたいなノリになってきたな。もっと、頑張らないとね。
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「ただいま戻りましたー。」
ギルドから孤児院に帰ってくる。正直、虚脱感もあって、辛いけどもう慣れっこだ。
いつもはリーネが玄関にいるけど、今日はいないな。
「変だな・・・?」
そう思って、リビングに行く。
「えーとね。ここはこうやって問題を解くの。ディエ・・・わかる?」
「あー多分・・・?」
「マティスの問題はね。うーんと、両辺を3で割れば答えが出るよね。」
「・・・・・・うん。」
リーネがディエとマティスと他の年下の子にお勉強を教えている!?マジか!!これは本当に良い傾向だ。比較的交流のある子だけだけど、それでも凄い事だ。
「あ、カナメ!」
リーネが僕の方に駆け寄ってくる。いつものポジションに収まる感じかな。
「勉強教えてたの?」
「うん。カナメに教わった通りに教えてたの。」
「うん。偉いね。リーネ。」
「えへへ。」
この孤児院でも勉強というか授業はあるんだけど、リーネには授業後も教えていたから基本的な四則演算はできるんだ。
「ディエもマティスもお疲れ様。どんな感じ?」
「あーだりぃ。もうめんどくさいー。」
「・・・。」
「えーと、ディエの方は・・・まぁこんな感じか。」
正直お察しって感じだね。
「マティスの方はー・・・うん。ちゃんと出来てるね。偉いね。」
「・・・。(こくん)」
このマティスって子もイケメンで可愛らしい男の子なんだけど、リーネとどっこいどっこい。いや、リーネより内向的な子なんだよなー。
「よし!それじゃあ、リーネ。僕も他の子にお勉強教えるから、リーネもディエとマティスをよろしくね。」
「うん!」
「マジかよ。まだやるのかよー。」
「・・・。(こくん)」
そうして、リーネと手分けして子供達にお勉強教えた。
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翌日。
コンコン。
「うん?誰か来たかな?」
「うん。そうみたい。」
「うん?今はユミル先生はいないぜ?」
「・・・。」
たまたま、当番の掃除が終わり、リーネとマティスとディエと一緒にいたら、孤児院に誰か訪ねてきた。
「しょうがない。僕が出るか。」
そう言って、玄関を開ける。
「突然の訪問、失礼つかまつる」
「え?エルス様?」
何とびっくりエルス様が孤児院に訪ねて来ていた。
その様子を見て、リーネとマティス、ディエも寄ってくる。
「おお!丁度いい。カナメ。君に用事があったのだ。」
「僕に?ですか?」
「カナメ・・・」
「・・・。」
リーネが僕に捕まってくる。何故か、マティスも僕に捕まってきた。別にエルス様ってそんなに怖い人じゃないんだけど。
「誰だこの人?」
ディエが不躾な言い方をする。
「こら!ディエ。この人はこの街の領主様の嫡男様だよ。もっと敬意を持ちなさい。」
「領主の・・・嫡男?」
ディエは憮然とした顔をした。あんまり良い印象を持っていないみたいだな。
「エルス様。今日はどうかされたのですか?」
とりあえず、一旦話を戻して、要件を訪ねる。
「うむ。君に依頼したいことがある。前回の遠征でも活躍していたからね。」
「依頼・・・ですか?」
正直、エルス様のほうが活躍していたと思うけど。
「簡潔に言うと、護衛を頼みたい。」
「え?護衛ですか?」
正直、護衛なら他にもいるだろう?騎士様のほうがよっぽど適任だと思うけど。
「うむ。貴族には定期的に、国王に謁見しなくてはならない時期があるのだ。我の場合もうすぐその時期でな。丁度年も同じくらいだし君に護衛を頼もうかと思って今日は参ったのだ。」
国王に謁見とか。参勤交代かよ!まぁ貴族も色々あるんだろうけどね。
「カナメ・・・。」
リーネがさっきよりもっと強くつかんでくる。前回の遠征から時間が経っているとはいえ、聞く話によるとリーネが大分情緒不安定になっていたようだけど、今は安定しているし、社交性を身に着け始めている。
ここでまた、最初のように心を閉ざしてもらいたくない。今回は断ろう。
「申し訳ございません。エルス様。しばらくは孤児院の子と一緒にいてあげたいんです。今回は・・・。」
「そうか・・・致し方無いな。こちらこそ、申し訳なかった。これでは失礼する。」
そうエルス様が立ち去ろうとしたら、いきなり鐘が鳴った!
この鐘は!魔物の襲撃か!!
「魔物の襲撃!?」
「カナメ!君は孤児院を守りたまえ!私は元凶に向かう!」
「あっ!エルス様!?」
エルス様はあっという間に走っていってしまう。すごいスピードだ。
「すごい。あっという間に行っちゃったね。カナメ。」
「うん。そうだね。よし、孤児院に戻ろう!」
そうして、孤児院の中に戻ろうとした。
「俺は行くぜ!」
「はぁ!?」
何故か、ディエがやる気になっている。いや、なんで!?
「行くって、まさか魔物と戦うつもりか?それは無謀だ!」
「ディエ・・・流石に無理だよ。」
「・・・。(ふるふる)」
僕もリーネも止める。マティスも首を振って答える。当たり前だ。丸腰の子供が勝てるような相手じゃない。
「ここで引き下がれるかよ!俺は冒険者になってやるんだから!」
何を言っているんだ?威勢の良いのは勝手だが無茶がすぎるぞ!
「ディエ!止めろ!かえって邪魔になるだけだ!魔物討伐は甘くない!」
僕自身が体験してそう思う。多少の魔法の心得があったところで勝てない相手なんだ。
「俺だってな!俺だってやれるんだ!カナメはそこに居ればいい!俺一人でも行くぜ!」
「止せ!行くな!ディエ!」
そう言って、飛び出して行ってしまう。クソ!余計な仕事を作ってくれる!
「カナメ・・・どうしよう・・・。」
「・・・。」
どうする・・・?ユミル先生はいない。こんな状況でどうすれば?ディエを見捨てるのか?少しだけ悩んだ。
「ああーもう!全く!僕はディエを追いかけるよ!」
「わ、私も行く!」
「・・・行く。」
リーネもマティスも捕まってくる。本来なら二人には孤児院にいて欲しいけど、マティスはともかくリーネは置いて行ってもついてきてしまいそうだ。
「うん。分かった。でも、僕の傍から離れないでね。」
「うん!」「・・・うん。」
そうして、ディエを追う。足だけは速いなあの子は。手分けして探す・・・のは無理だね。
どこから、探したものか。とりあえず、街の門に行ってみるか。
「僕に付いてきてね。」
二人は僕の服を掴みながら付いてくる。
「おい!坊主!危ないぞ!さっさと家に帰れ!」
街の人が忠告してくる。勿論僕もそうしたいけど。
「すみません。お友達を探してるんです。特徴は」
「そんなのほっとけ!自分の身を心配しろ!」
そう言って、逃げてしまう。勿論僕もそうしたいがディエを連れ戻さないと。
今回の敵は・・・あれ?
「今回は鐘は鳴ったけど、敵が来ない?どういうことだ?」
「わかんない。」
リーネが不安げに答えてくれるけど、おかしいな。
「魔物の襲撃が来てるんじゃないのか?ひょっとして、違うのかな?」
てっきりそう思っていた。
不審になりながら、僕達が最初に街に入ってきた門のほうにたどりつく。
そこには、そこにはディエとエルス様と門番?が魔物と対峙していた。
その魔物は・・・。
「カナメ・・・何アレ?」
「リーネ。近づいたらダメだ。後、声も小さくね。」
「う・・・うん。」
「マティスも近づいたらダメだよ。」
「・・・。(こくん)」
今回の敵は、なんだあれ?アリクイを二足歩行にしたような姿。だが四つの目が、不気味に光っている。
門から入ってきたのか?と思ったけど、門は閉じている。けど、同じ魔物の死骸がもう一つ近くにあったから、侵入されたのか。
そうして、魔物は鋭い爪でディエを引き裂こうと距離を詰めるが、門番の盾に阻まれる。
「ブレイズカーテン!」
エルス様が魔法で炎の壁が出現して、門番と魔物を分断する。
「エルス様。ありがとうございます。」
「礼は後で聞く!今はこいつを倒す!」
「はい!」
そうして、次の魔法を発動させようとするが、魔物は舌を出して、ディエに攻撃しようとする。エルス様はディエを庇う!
「うわ!」
「っ!」
エルス様は3m程度吹き飛ばされるが、どこも貫通していないようだ。
「こんな魔物!」
「このガキ!前に出るな!足引っ張ってるのわからんのか!!黙って後ろにいろ!!」
ディエは魔物に向かおうとするけど、門番に怒鳴られて結局下がる。
まずい。完全にディエを狙っている。
「君・・・いいから、我の近くに居ろ!」
体勢を立て直して、エルス様がまたディエをかばう様に前に出る。
門番も剣で攻撃するけど、爪に弾かれる。
「エルス様!俺ごとやってください!この装備があれば。」
「ダメだ!装備があると言っても一定以上の魔法は防げないし、何より我がそんなことしたくない。このまま行くぞ」
「しかし!」
同士討ちが怖くて撃てない。無理に動けばディエが狙われる。
膠着状態って感じだ。僕もリーネとマティスがいる以上前に出れない。
「カナメ・・・どうするの?」
「石を探そう。」
「え?石?」
「うん。石。」
「・・・・・・はい。」
そうしたら、マティスが震えながら、小さな石を差し出してきた。いつの間に拾ったんだ?
「マティス。ありがとうね。」
「・・・。(ニコッ)」
この子は相変わらず無口だけど、感情表現は出来るんだな。
エルス様、ディエ、門番さんもうちょっと耐えてくれ。
「よし、重力波を発生させる・・・はぁ!」
訓練の時と同じだ。重力波を筒状に発生させて・・・。
「カナメ・・・まだなの?」
「もう少し!」
まだ、重力波を固定するのに時間が掛かるんだ。石を空間上に固定して・・・。
「・・・よし。いつでも撃てる。後は・・・。」
いつ撃つかだ。
これで門番さんやエルス様に当たったら、僕は絶対後悔する。なんとか、魔物だけに当てないと。
魔物が門番さんの剣を受け流し、もう一度エルス様、正確に言うとエルス様の後ろにいるディエに攻撃しようとする!
「ぐっ!プロミネンスマイン!」
地面から爆発が起こり、魔物の足がかなり焼けている!けど、魔物に致命的なダメージは与えられていない。
「シャ!」
足をやられた魔物はもう一回舌でディエに攻撃するが、またしてもエルス様がかばう。
「うっぐ!」
なんとか、耐えるがエルス様の体制は崩れて追撃は出来ない。
「うおおおおおぉ!!!」
門番さんが渾身のシールドバッシュで魔物が踏ん張れず吹き飛ばされて、膝と着く。
今だ!!
「いけ!!重力加速!」
ピュン!
石が重力波に水平に加重され、体感約100Gの加速度で打ち出され、音が遅れてくる。
目で追えないくらいの余りの速さに魔物は反応することもできず、胸に直撃した瞬間、上半身が弾け飛んだ。
そのまま勢い余って、城壁にめり込み直径1mくらいヒビが入った。
「なんだ!?」
「新手か?」
門番さんとエルス様が僕のほうを警戒した。
「僕です!カナメです!」
僕達は手を上げながらエルス様に近づく。
「申し訳ないです。横取りみたいな事してしまって。」
「いや、良い。助かった。礼を言わせてもらう。」
「エルス様?この黒髪と知り合いで?」
「ああ。彼はカナメと言って・・・まぁ我の友人のようなものだ。」
そこまで深い仲になった覚えは無いけど、否定する必要もないからそのままにしておく。
「ほら!ディエ。孤児院に帰るよ。エルス様達は?」
「我たちはまだやることがある。この魔物・・・。ビペドメクスはまだ街の外にいる。襲撃は終わっていないのだ。」
「一時的に門を開けて、エルス様と俺は魔物を討伐しにいく。次の門番もすぐに来る。お前達は帰れ。」
「はい。そうします。ほら、ディエ。帰るよ。」
ディエに帰宅を促す。
「い・・・いや!まだ終わってないんだろ!?だったら、早く行かないと!」
「・・・このガキまだ!」
ディエは急がせるように言うが。
「ディエ!いい加減にしろ!」
僕が怒鳴ると傍にいたリーネもマティスも驚いたようにこっちを見る。一番驚いたのは怒鳴られたディエだろう。目をぱっちり開けて僕の方を見る。
「さっきまで自分が足手まといだって気づいていないのか!少しは自覚しろ!今少しだけ見たがこの短時間でエルス様に2回は助けられてる。そんな奴がいたって迷惑なんだよ!」
「・・・。」
ディエは悔しそうに地面を見る。ごめん。でも、これは本当の事でもあるし、ディエのためだよ。
「帰るよ。嫌がっても引きずってても連れ帰る。それじゃあ、エルス様。門番様。僕達はこれで。」
「ああ。君、今度こそ家で大人しくしてるように。」
「もう無茶するんじゃねーぞ。」
エルス様と門番はそういって、門を少しだけ開けて外に出る。
「リーネ。マティス。ディエ。帰るよ。」
「う、うん。」「・・・。(こくん)」「・・・。」
リーネとマティスは頷いてくれたけど、ディエは終始無言だった。でも、僕に付いてきてくれて、孤児院に帰ってこれた。
帰ってこれたんだけど・・・。
「おかえりなさい。カナメ君。マティス君。ディエ君。・・・そして、リーネちゃん。」
帰ったら、鬼の形相したユミル先生がいた。
そして、4人そろってお説教されることになった。
いや、完全にディエのせいなんだけど、ここで全てディエの責任にするのは流石に気が引けたから、黙って怒られた。
その日から布団にリーネだけじゃなくて、マティスも入ってくるようになったのは、また別の話。




