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第38話「戻ったはずの距離」

※本作の制作にあたり、誤字確認や構成検討の補助としてAIツールを利用しています。本文は作者が執筆しています。ご了承の上、お楽しみください。

今日も朝起きた。良く寝た。もう体調は全快かな。いつもの通り、僕の布団にリーネがいる。


(リーネちゃんを泣かせてまで参加した遠征は良い経験になりましたか?)


ユミル先生の言葉を思い出す。確認不足とはいえ、5日間離れてたもんね。


魔道ギルドに顔も出したから、今日はリーネのために使おう。そうしよう。


「う~ん。カナメ?」


「おはよう。リーネ。」


「おはよう。」


まだ、眠気眼で返事をするリーネ。何か可愛いな。


なんとなく、抱きしめたくなったから、抱きしめた。


「え?どうしたの?カナメ?」


「いや、リーネが心配でさ。」


「う、うん。」


リーネは驚いたみたいだけど、寝ぼけた感じで受け入れてくれた。リーネを解放する。


「よし、布団を片付けようか。」


「うん。」


布団を片付けて、孤児院の手伝いも終わらせる。


「さて、仕事が終わったから、僕は別行動させてもらうよ。」


ローレンが宣言しているが、いつも別行動してると思う。でも、せっかく目立ってくれたから乗っかろう。


「うん。ローレンの言う通り、そうしよう。」


「では、僕はこれで。」


ローレンがそのまま孤児院の外に出て行ってしまう。


「リーネ。今日はお出かけしようか?」


「お出かけ!カナメと!?」


「うん。勿論。」


「行きたい!!」


うん。良かった。今回もリーネのほうから手を繋いでくる。積極的だな。


なんとなく、前よりかくっ付いてるような気がする。この様子だと、やっぱり、遠征の時、僕と居ないのが堪えたのかな?


今日はしっかり、フォローしておかないと。


「前回は大通りのほうに行ったから、今回は広場に行ってみよう。」


「うん!」


そのまま孤児院を出て、広場の方に歩いていく。


対面からエルス様が従者と一緒に歩いてくる。


「お?君は、あの時の。」


「あ・・・エルス様。こんにちは。」


「うむ!ごきげんよう。」


相変わらず偉そうだけど、ちゃんと挨拶は返してくれたな。


「エルス様。この方は。」


「うむ。遠征の時に一緒した若き魔導士だな。将来有望だぞ。」


「しかし、黒髪ですよ。」


「???だからなんなのだ?」


「いえ・・・。」


また、黒髪で言われてる。正直良い気分はしない。


「カナメ。この人は?」


「ああ。リーネ。この方はエルス・アルケール様。この街の領主様だよ。」


正確に言うと、領主様の嫡男なんだけどね。


「うむ。エルス・アルケールだ。何卒頼む。」


「・・・リーネです。」


そう言ったら、リーネが僕の後ろに隠れてしまった。


「ごめんなさい。エルス様。リーネは人見知りなんです。」


「構わない。カナメは初めての遠征だったのだろう。身体は大丈夫か?」


「はい。僕は大丈夫です。」


数日間大丈夫じゃなかったけどね。


「それは何より。また、遠征の時にな。これにて失礼する。」


そう言って、去って行ってしまう。


悪い子じゃないんだよね。この子に罪があるわけじゃないけど、やっぱり良い印象は無い。けど、怨むのは筋違いだよね。


「リーネはエルス様はやっぱり嫌かい?」


「・・・ちょっと。」


「そっか。でも、悪い人じゃないよ。」


「うん・・・。」


うーん。この様子を見ると“ちょっと”どころじゃない気がする。


貴族様相手に塩対応も問題だよね。でも、この時点で言い聞かせるのもなー。僕は甘いのかもしれないけど。


「カナメ。また、遠征に行っちゃうの?」


リーネが心配そうな顔をしている。


「しばらくは行かないよ。」


そう答えたら、リーネのほうから手をぎゅっとされる。


「大丈夫だからね。」


自分でも何が“大丈夫”なのか分からないけど、心配を解消したくて気休めを言う。


そんな僕を見透かしているのか。リーネの表情は明るくならない。


そう思ったら、リーネが僕をじっと見つめていた。


「どうしたの?」


「なんでもない。」


なんでもなくないように見えるけど、ここで深くは聞いても答えてくれないだろうな。まずは、広場に行こう。


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


広場に付くと花壇があって、色々な花が咲いている。人も親子連れやカップルみたいなペアも沢山いるね。


「リーネ。ほら。何の花かわからないけど、沢山咲いているよ。」


「わわ!綺麗!それにちょっといい香り。」


「そうだねー。それにとても綺麗に咲いてるよね。」


「うん!」


百花繚乱って感じだよね。匂いはラベンダーに近いかも?


リーネは妙に離れたがらないけど、喜んでくれてる。少しだけ表情が柔らいだ気がした。


エルス様がいたときより落ち着いているように見える。やっぱり、広場に連れてきてよかった。


「カナメ!こっち行こう!」


リーネが僕の手を引っ張る。


「うん。いいよ。」


リーネが元気が出してくれて僕も嬉しくなってくる。そのまま、しばらく広場を回る。


「リーネ。もうそろそろ帰ろうか。」


「え?もう帰るの?」


楽しい時間はすぐ過ぎる。でも、もう周囲が暗くなりかけてる。もう夕方だ。


「もう夕方だからね。今日は帰ろう。」


「うん。わかった。」


うん。素直に聞いてくれる。リーネは可愛いな。


「ねぇ。カナメ。」


「うん?どうしたの?リーネ。」


「・・・・・・ううん、なんでもない。」


少しだけ視線を逸らして、手を握り直す。


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


よし!そのまま、孤児院に帰ってきた。


そして、いつもの通り僕の布団にリーネは入ってくる。


今日のリーネのエルス様への態度を見て思ったけど、このままではいけないと思う。


けど、どうしたらいいのかわからない。焦る必要は無いとは思うけど、時間的猶予もそんなに多くない。


13歳まで1年と6月。リーネはこのままでいいのだろうか?


でも無理に変えるのも難しい。考えながら、眠った。

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