河童
河童っていうのは私の学校の七不思議のひとつです。足が割れてる石像が動くっていう噂もありました。
枯森 優太……中学3年D組の担任
共架の中学生全員が恐れる「河童」である。
河童という名前の由来はたくさんある。
普段はおとなしいがいつも何らかの理由をつけて説教をしてくる。特に男子に。
そして女子と話していたりいい雰囲気になっていたりしていると、急に呼び出しテストの勉強ちゃんとできてる?などと意味もわからん話をしだす。
そしてその女子がどこかに行ったり女子と話し出したりするとすぐに席に帰す。
しかも男子は名字呼び捨て、女子は名前呼びでちゃん付けというオタクの聖地にいそうな奴の性格である。
これだけならまだしもクズ人間だが身体的な欠点ももちろんある。
今年でまだ31歳だと言うのに頭のてっぺんから中間までカルデラがある。
はっきり言おう。ハゲているのだ。これが河童の皿なのだ。しかし本人はそれを気にしていない……いや気づいていないのだろう。
そして河童と呼ばれる原因は皿以外にも両手に大きなみずかき(?)があることから言われている。そして水泳は関東大会まで出たことがあるそうだ。
その点はすごいと認めるが、他は本当にすべてクズ人間なのだ……
そしてその恐るべき河童の視線が俺に向けられている。
「ごめん寺西、たぶん俺呼び出されるわ」
優香は枯森の方を向き
「ホントだー。実験にちょうどいいから誰とも話さないで待ってるよ」
実験という言葉に引っかかりながら呼び出しを待つ。
…と枯森が俺の方に向かって手をこまねてきた。黙って立ち上がり枯森のところへ行く。
「何かありました?」
枯森はイスに背をもたげ
「いやぁ、今日の…その正当防衛だっけ?ほんとに正当防衛なの?自分が悔しいから一方的に言ったんじゃなくて?」
「はい、そうです。警察の人にも調べてもらいました」
英語の例文のように答え、目的の質問がくる。
「本当に?」
こう来ると思っていた。事前に策は勇斗と千秋と立てている。
「そうですって。ホントですよ?千秋!勇斗!」
許可もなく俺は2人を呼ぶ。
二人が小走りできて俺の横に並ぶ。
よし、準備は万端だ。
クラス中の視線が三人に集まる。おそらく中学3年生で一番最初に枯森に反抗するだろう。
千秋と勇斗が
「はい!先生なんですか?」
「どうかしましたか?」
やはり女子の前ではきつく言えまい。
後ろでむふむふと不審な笑い声が聞こえる。
おそらく優香だ。実験っていうのは女子を利用することだったんだな。
「え……すうっ……大丈夫だったの?」
ここでまず一発目の釘をさす。
「先生、さっきの質問と違います」
ギロリとこっちを見てもう一度質問を変える。
「本当に田道は正当防衛として成立していたの?」
ここで千秋が答える。二発目の釘の一歩手前。
「はい!警察の人にも大丈夫って言ってもらいました!」
すると枯森はニコニコになって
「そうかい。じゃあいいかな」
来た、ここだ。
俺は口を開いて「先生、さっきから俺もそう言ってますよね?なんで千秋が言ったらそんなに納得したようになるのですか?」
二発目の釘だ。
これは相当刺さるだろう。
「いや…それは…生徒としての信…」
と言い訳を言いかけたところでチャイムがなった。勇斗は悔し顔、千秋は作り笑顔。
枯森は安心した顔に戻ると
「はい、着席。1限目は現国(現代国語)でしょ?早く用意をしなさい」
ヤツの担当科目は河童であろう理科の中でも生物全般だ。一番合っているだろう。
席に戻ると優香が肩をたたいてきた。
「くふっ、あれすごくよかったよ。途中で笑っちゃった。よくあそこまで攻められるね」
褒め言葉なのかわからないが褒めていると扱っていいだろう。
俺は苦笑いしながら
「どうも。こっちとしては早く担任が代わってほしいもんだ」
おそらくこの願望は生徒全員が持っているだろう。
いや直そう。この学校から消えてほしいのだ。
現国はかなり簡単で記述を書くだけだった。適当に配られた文章を読み、作者の心情やなぜこういう考えなのかを自分なりに考えろという問題だ。もう少しまともに面白い授業がないものか。
2限目は生物。
枯森のくだらない話を聞きながら問題を演習する。はっきり言うとこの時間が一番面倒くさい。この時間はずっと勇斗と喋っていた。
この面白くない調子で音楽、美術、数学、古典と6限目までこの面白くない授業は続いた。
帰りのホームルームで高校生とあまり喧嘩をしないようにとあたかも俺たちを…いや俺を示唆するような言葉を言ってきた。誰のせいで俺が高1と喧嘩したと思ってるんだ。
挨拶を終わらせクラスメイトが流れ解散をする中、優香が近寄ってきて
「そうだ快くん。来週の土曜日カラオケに行くんだ。快くんも来る?」
しばらく考えた後
「わかった。行くよ」
すると耳打ちで「君のことが気になっている人がいるみたいなんだ」
俺の中の青春メーターがそれに反応した。一度しか告白されたことはないがあいにく、その相手はかなりふくよかなお方だったのできっぱりとお断りさせてもらった。
「もちろん、行こうじゃないか」
にまぁと笑う優香を背にして教室から出る。
もしかすると明日の朝、一ノ瀬さんに会えるかもな。ちゃんと事情を説明しよう。
そう言えば散歩にいけていないぞ。まだ暑苦しくない春なんだから早いとこ行かないと。俺はそう思いながら小走りで商店街を通った。
調子に乗って書いた作品七号です。1話分ってこんな感じですかね?あんまり進展なくてすみません。
なんかこんなやつが欲しいみたいのがあれば感想でお聞きしたいと思います!ぜひどうぞ!




