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金曜日

また遅れてしまいましたが案外できたと思います。

寒くなっているので体調管理お忘れなく

一ノ瀬さんを見送ったあと、俺はスマホを手にして時間を見る。


8時ぴったりだ。タブを横に開いてこのあたりで暇をつぶせる場所を探す。


せっかく青砥まで来たのだから(たった二駅だが)このあたりを少し探索しようと思う。


ネットによると近くに大きなショッピングモールがあるようだ。


なんと映画も見れるようだ。


犬と人間のライフストーリー的な映画がやっているようだ。

レビューはかなり高いし、これを見るか。


スマホをポケットにしまった瞬間、目の前に女子が現れた。

どうかしたのかこの子。俺になにか用なのか。


「あの…すみません」


「は、はい」


一気に顔を上げてその女子は「夏海と付き合ってるんですか!?」


と叫んだ。おそらくその声は通行人にも聞こえていたのであろうヒソヒソと何かをしゃべっている。本当に何を言っているんだか。


「えーと、違いますよ?家が隣なだけなので今日はたまたま俺が休みだったので送っただけです」


すると目を輝かせて「仲が良いってことですか?幼馴染とか?」


「いえ、会って3日です」


「みっ、3日!?」信じられないだろう。本人である俺も信じられてないのだから。


するとその女子は改まって


「あ、すみません。自己紹介がまだでしたね。真白 天音です!なっちゃんの親友ってとこです!あなたは?」


「田道 快です。共架中の三年です」


「共架か…もしかして六門くんいます?」


嘘だろ…勇斗のこと青砥まで噂になってんのか。


そういえば喧嘩の詳細もあんま聞けてないけど確か勇斗本人絡みだったな。


「いますよ。俺の友達です」


へぇ〜と驚いた顔をした真白さんは


「あ!ごめんなさい、もう行きますね。なっちゃんと仲良くしてあげてくださいね〜!」


女子と仲良しで嬉しくない男子はいないだろう。


「はい、真白さんも一ノ瀬さんのと仲良くしてあげてくださいよ。行ってらっしゃい」


朝からなぜ俺は女子二人も見送っているのだろうか。俺は一刻も早く映画を見ないといけないのだ。


イヤホンをして曲を流す。なぜだか分からないが、ある日からこっきりと洋楽しか聴かないようになってしまった。


自然としていて心地が良いのだ。いつも通りのペースで歩き出し、校門をあとにする。まだ始まる時間まで1時間近くある。まだこのあたりも桜が残っている。


10時半ほどになって俺は映画館から出る。


あなどっていた。

ここまで泣けるとは思っていなかったろう。

よくある動物との絆のようなものだと思っていたがまさか主人公が犬だとは思いもよらなかった。CGも一切使っていないようだしやはりすごいと思う。


ここのドリンクバーは無料だし、何回かもらっていくか。

こう思うと俺はかなり休日を満喫しているのではないか。こういうところで厄介な幼馴染に会わないということが一番幸せである。もしかして今のフラグってやつか…。回収しないように頑張ろう。


もう少し映画を見ようかと思ったがまだ散歩できていないことを思い出す。


一ノ瀬さんと歩いたのは散歩と言えないだろう。あそこまで展開が早いとは俺も驚いた。3日でここまで来るのか……。


ショッピングモールを出て堀切菖蒲園の方向に歩き出す。途中には公立の中学もあるがどうしてもそこは通りたくないので遠回りする。


いくつか理由はあるが、最も大きな理由は俺が小学校の頃に大嫌いだった奴がいるからだ。


会いたくないと心から思う。


遠回りして綾瀬川に向かう。俺には嬉しいことに花粉症がないので桜の近くを通り放題だ。


あまり匂いはしないが見ていていいと思う。

風情(ふぜい)があるというところである。

一応俺の家の周辺にも桜は埋まっているが散るのが早いので毎年あまり期待はしていいない。早いとこ帰って散歩しよう。



その日の夜、一ノ瀬さんからメッセージが来た。


『今日はうまくいったよ。あと天音が変なこと言ってすみません』天音………真白さんのことか


『大丈夫。一ノ瀬さんもあんな友達がいて心強いだろうしね』

『うん』そっけない返しに少しばかり不満を感じつつ学校の流れについて話す。


ーーー10分ほどしてーーーー


『じゃあ1週間様子を見てダメそうだったらまた連絡して』


『うん、わかった』


『じゃあ、おやすみ』そう打ち、スマホを置いてベッドに潜る。


足元にはふえがいる。こちらをジト目で見つめて「うにゃあ」と鳴く。


「はいはい、飯は明日な」と言って布団をかぶる。


そういえば家が隣なんだからスマホなんか使わないでも話せるのか…


その考えには至らなかったな。


そういえば来週の土曜日も優香がなんか誘ってたな。カラオケだっけ?俺のこと気になってる人がいるかみたいなことを言ってた。


会ってみたいなぁその人……。


そんな事を考えて眠りに落ちた。次の日の放課後に心配になってスマホを見たがメッセージはなかった。そして俺の中にはもう一つ気になっていることがある。


ー1週間後の金曜日ー


授業が終わった途端に優香が話しかけてくる。


「明日だよ。カラオケ」


「わかってるよ。俺のこと気になってる人がいるのにそんなこと忘れるかよ。思春期男子をなめるんじゃねえ」


けらけらと優香は笑い出す。


「うちの学校の子もいるけど他校の子もいるよ。歌の練習しときなよ。男子は快くん、下沢くんに水嶋くんだね」


エリートだらけじゃねえか。俺だけ虎の威を借る狐ってことか。これは母さんに頼んで垢抜けしないとダメだな。「わかった。詳細あったら連絡してくれ」


バッグを掴んで教室を出る。改修工事が始まるようで周りは工具だらけだ。


外に出て周りに群がる共架生を避けながら駅に向かう。一ノ瀬さんもうまくいってるようだし俺は明日の心配をするべきだろう。


お花茶屋の駅に入り列に並ぶ。すると横に千秋がやってきた。「快も明日のカラオケ行くの?」バカな…こいつなぜ知ってるんだ……


いや落ち着けこういう時は冷静に返すんだ。


「行くけどお前も行くのか?」


我ながら完璧な返し方だ。


「行くに決まってんじゃん。幼馴染が行かなくてどうするんですかぁ〜」


と顔を振りながら俺のほうを向いてくる。こんなやつと同じにさせられるのか。大変だな、世の中の幼馴染たちよ。俺は大きくため息をついた。


だけど中3になってから青春というものを少し味わいつつあるのかもしれないな。

明日が待ち遠しい。


物思いにふけていると


「何考えてんの?どうせエロいことでしょ?」と口をとがらせる幼馴染であった。

調子に乗って書いた作品十三号です。クソ寒いので家の中にこもってます

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