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3章 第3話 涙

挿絵(By みてみん)


狩人のシン、薬師のミカ、華奢だが力強いカレン。

三人は王都に向かう。

村を襲った災いの正体を明らかにするために。


解放奴隷の拳闘士ユウ。

盗賊団で育ったフミ。

それぞれの運命が交わり、物語は新たに動き始める。


挿絵(By みてみん)



盗賊の蹄の音が遠ざかり、森に沈黙が戻った。


見張りを置きながら、ひと時の休憩となった。



麦パン、硬いチーズ、干し肉。それに干しイチジク二つ がフミに渡された。


「これ......食っていいのかよ。」


戸惑いながら言った。


「ああ、君へのささやかなお礼だ。食べてくれ」


とニコオラス。



フミは水は一口飲み、食事を口にする。


空腹に干し肉のうま味と塩味が染みた。

チーズとパンもよく合う。


そして干しイチジクを口に入れた瞬間、甘い果汁がじわりと広がった。


「……甘い」


思わず声が漏れた。


「ほっほっほっ。少年。よくお食べ。

ときに、どうして森を歩いていたのかね」


「ああ.......森を歩くのが好きなだけだ」


とフミ。


「親御さんはどちらにおられるのかな?」


「親はいねえ」


「そうじゃったか…….」



「フミ君は森に隠れるのが上手いのよね」


カレンが笑顔でシンに言った。


「うん......。なかなかのものだ」

シンは僅かに頬を緩ませた。


隊長ナルセスが口を開いた。


「君が知らせたおかげで、後方の賊に早く対応ができた。

斥候が不足していてな。賊に石も投げていたと聞いた」


傍らの弩兵バシリオスを見る。


「.......ええ、石で賊の意識が彼に向かい、弩を当てやすくなりました」



「うむ.......。どうかな、行く方向が一緒なら、わし等と一緒に行動するかね。

まだ、あの賊共もうろついているかもしれん」


ニコラオスが言った。


フミは慌てて、


「……俺は盗賊のなかで育ったんだ。荷馬車の品を盗っちまうかもしれねえよ」

(……言ってしまった。おれはなんてことを)


暫く、ニコラオスは考えていた。


「もし、お金が無くて盗みをしているなら、うちで働いてみるかい?

君は馬車の周囲を見張ってくれればいい。

飯と賃銀はきちんと払う」


「なんで.....。俺なんかに......」


「君はまだ若い。これから、いくらでも変わっていける。

一緒にやって行くかね?」


「ああ......。おねがい.......じまず」


フミは視界がぼやけていた。


涙を流したのは何時ぶりだろう。


「かまわんよな....ナルセス、シン君」


ニコラオスは二人を見た。


「ニコラオスさんが決めたことなら! ハッハッハッ!」


豪快にナルセスが笑う。


「ええ......よろしくお願いします」


シンは少し微笑んでいた。


「よろしくね」


アンナが微笑んで言う。


「けっこう泣き虫だったんだね、よろしくね」


ミカが微笑む。


フミは顔を上げようとして、そのまま俯いた。


「ゔるぜえ.....ぐそがぎ......」


また目から涙が噴き出した。


「ほっほっほっ。よろしくな」


にこやかに、ニコラオスは笑うのだった。

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