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過保護な女神さまによる異世界転生  作者: 枡狐狸
第四章 神域開放
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91 捜索

 次の日、ダイキが来た。

 俺の部屋に招き入れて、扉を施錠する。


「なあ、ダイキ……」

「おう……」

「あれが、常識なのか? 夫婦は全員あれを? 夫婦でもないのにあんなことを?」

「アカリ、お前」

「……」

「やっぱあの後喰われたのか」

「やっぱってなんだよ!? 知ってたなら止めろよ!!」


 俺があの後どんな思いをしたことか。

 自分の身体がこんなだと知らなかった。女の子の身体があんなだと知らなかった。

 俺は何も知らなかった。知ってしまった。


「まあ、別に悪いことじゃないだろ。好きな相手が居るわけでもないんだろ?」

「分からない……」

「何が」

「好きって何? あれをしたいって思うことなの?」

「……重症だな。あんまり考えすぎないほうがいいと思うぞ」


 そう言われてもなぁ……。

 ああ、でもせめて、別のことを考えよう。その話をしているとどうしても思い出してしまう。


「話題を変えたいから、昨日の続きをしよう」

「ああ、俺もそのために来たわけだし構わないぞ。ちなみに昨日は夜中に見回りをしたけど現れなかった」

「まあ、俺が見つけたらダイキが向かうでいいんじゃないか?」

「それもそうだな」


 それから作戦を考えて、毎夜ダイキが家に来ることになった。

 今日は最初から泊まり込み。夜に備えて、今のうちに寝ておくことになった。



=====



 夕方に目を覚まして、夕食を食べに下の階へ下りた。夕方起床だと眠気があんまりなく、割とすっきり起きられた。


「あ、ちょうど出来たところだよ」

「ディーロ先輩、来てたんですね」


 キッチンにはディーロ先輩が居て、美味しそうな匂いが辺りに充満していた。


「リティ君に断ってお邪魔してるよ。良い食材が手に入ったからお裾分けついでに晩御飯を用意してみたんだ」

「おお、それは楽しみです」


 ディーロ先輩の料理に外れはないからな。

 たまに変な食材を買ってきたりするけど、それも美味しく調理してくれる。


「あ、そういえば今、ダイキが家に来てるんですけど」

「勇者君ね。大丈夫、彼の分も用意しているよ」


 リティから聞いていたようだ。

 それにしても、今日は大人数で食卓を囲むことになりそうだ。俺とリティ、ユユ、フィール、ダイキにディーロ先輩。最初は二人だけで広い館を使うことに寂しさもあったけど、今では広くて良かったと思う。


 ディーロ先輩は皿の準備をしているから、俺はまだ寝ているだろうダイキを起こしに向かう。

 ダイキに使わせた部屋をノックしても返事がない。無言は了承ということで、お邪魔させてもらう。


 やはりまだ寝ていた。

 すやすやと心地良さそうに寝息を立てている。

 男の寝顔なんて見ても、面白くも何ともないな。


「時間だよー。起きろー」


 反応がない。

 身体を揺すって起こしてもいいけど、熟睡しているダイキを見ていたら悪戯心が湧いてきた。

 ダイキに触れる。【空間魔法】空間転移を発動。ダイキを十数センチ上に転移。


「うぇっ!?」


 ダイキはほんの一瞬だけ宙に浮き、落ちた。ベッドの柔らかさで痛みは無いだろうけど、衝撃は目を覚まさせるのに十分な威力だったようだ。


「なっ!? ……なにすんだよ……」

「目、覚めた?」

「敵襲かと警戒して損した」


 物騒な発想だな。この世界じゃおかしくも無いけど。

 そう言えば俺も寝ているところを暗殺されたら【状態魔法】を使う間もなく死んでしまうな。対策とかあった方がいいのかな?


「殺気を感じたら起きるとかないの?」

「実は武術スキルを持ってると殺気を感じることができたりする。もしかしたらそれで起きれるかもな」

「今度試してあげるよ」

「それは寝起きが最悪そうだから遠慮しとく」


 ダイキを起こしたら、ユユ達にも声を掛けてからリビングに向かう。

 リティはもう来ていた。少し遅れてからユユとフィールもやって来て、食事を始める。


「アカリ、ちょっと来い」


 一口食べただけなのに、ダイキに引っ張られて席を離れた。美味しいご飯が冷めるじゃないか。


「アカリ―! なんで時神様まで居るんだ!?」

「良い食材が手に入ったんだって」

「なに、そんな気軽な感じなの。この家は神様ばっかじゃないか」

「ディーロ先輩は元人間だし、そんなに改まる必要はないんじゃないかな。今は普通に学生やってるわけだし」

「そうなのか?」

「たぶん」

「たぶんかよ」


 なんて言いつつも、ダイキは俺の言葉を信じることにしたようだ。

 ダイキは席に戻ると愛想笑いを浮かべながら普通に食事を始めた。


「ディーロ先輩は最近噂の連続殺人事件、知ってますか?」

「ん? 最近はそんなに物騒なのかい? ここの所研究室に籠りがちだったから知らなかったよ」

「へえ、そうなんですか。それを俺とダイキで解決しようって考えてたんですよ」

「いいんじゃない? 君たちならそう難しくもないと思うよ」

「アカリ」

「リティ、どうかした?」

「わたし、それ、聞いてない」


 ……あれ、怒ってる?


「いや、昨日今日で決めたことだから、まだ話してなかっただけだよ」

「もう、決めてあるんだ」

「まあ、そうだけど……」

「わたしも、やるから」

「え? 別に俺とダイキだけでも――」

「やるから」

「はい」


 やるらしいです。これは既に決定事項みたいだ。


「僕は静観しておくよ。こういうのは同じ人間同士で解決してね」

「ええ? 私もアカリくんと一緒に行動するよ?」


 フィールも一緒にやるつもりだったようだ。これも初耳だけど。


「そうなの? まあこれは僕個人の考えだから、君たちは気にしなくてもいいよ」

「私も参加するっ!」

「となると、ディーロ先輩以外は此処に居る全員参加か……」


 何という過剰戦力。ダイキだけでも十分だったんだけど。

 とはいえ断る理由もない。夕飯を食べ終わったら俺の部屋に集合することになった。


 そして、集合してみたもののやることが無いことに気付いた。


「俺が見つけるまで何も無いけど?」

「すぐ動けるようにな」

「話し相手が居ないと暇でしょ?」

「アカリの、ボディーガード」

「私は、えっと、んん?」


 まあ、暇でもいいなら構わないけどさ。

 とにかく、俺は【瞳の魔眼】での捜索に集中する。


 視界を飛ばして、設置しておいた媒体を回っていく。


「……今のアカリって、俺らのこと見えてないんだよな」

「そうだけど? ……うわっ、誰だ耳に息かけたやつ!?」

「「「…………」」」

「え? 俺が当てる感じ?」


 いや、分かんねえよ。

 ただ、リティがやるとは考えにくい。ダイキは……やっていたら気持ち悪いから考えないようにする。

 とすると、残ったのはユユとフィールか。


「じゃあ、フィール」

「残念、はずれ」


 フィールの声は前から聞こえて、何故だかやたらと近かった。

 気になって一度視界を戻す。目の前にフィール。顔を背けたら、そこにはリティが居た。というか、全員が俺のすぐ近くに居た。


「アカリにいたずらするの、早い者勝ちだったの」


 後ろに居たユユがそう言った。

 ……あれ? 位置的に考えて、耳に息かけたのはリティ?


「……フィールが、変なことしようとしてたから」


 それより先手を取るために息を、というわけか。……意外性に負けた。

 というか、揃いも揃って邪魔しないでくれ。

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