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過保護な女神さまによる異世界転生  作者: 枡狐狸
第五章 問題児達の王国祭
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107 依頼書

 フェルクが紫髪の探し人、ロイアータ先輩を連れてきてくれた。


「フェルク、ごめんよ。無理をさせてしまって」

「いえ、これもユミちゃんのためならです」

「あとで何かお礼するよ」

「いえいえ……でも何かくれるなら欲しいです」

「あ、あの、それで、僕に何か……?」


 フェルクのお陰でロイアータ先輩を見つけ出せたはいいが、そろそろ授業が始まってしまう。これは、続きは昼休みだな。

 昼休みに中庭で集まることをロイアータ先輩に教え、その場は解散した。


 そして昼休み。


「アカリ、よく見つけ出した」

「……んあ? ああ、どもっす」

「お前また眠そうだなぁ」


 授業明けでまだ眠気が取れていない。

 ご飯を食べていれば頭も働いてくるだろう。もそもそとパンを口に入れる。

 でも、昼食食べた後って眠くなるよな。学園のカリキュラムが午後運動(魔法実技)でよかった。午後も座学だったら一日中寝落ちしていたところだ。


「それで、ロイアータ、だっけ? いや、貴族なら様付けしたほういいか」

「べ、別にどう呼んでくれても構わないけど……」

「そうか?」


 ジョット先輩は貴族相手でも物怖じしない。というか、ジョット先輩も名誉貴族の爵位を持ってるらしいんだよね。

 俺が活躍して名誉爵位を貰ったように、高位の冒険者は名誉貴族として国に囲われることがある。ジョット先輩もその一人で、どうやら貴族に一方的な命令をされるのが嫌だったらしい。それが無くなった代わりに今は国に尽くす義務がどうとか、面倒な話もあるらしいけど。


 ジョット先輩が今回集まった趣旨を話すと、ロイアータ先輩は不思議そうに首を傾げた。


「な、なら、どうして魔国のお姫様を遣ったんだ……?」

「何のことだ?」

「えっと、偶々そこに居たから」


 本当はフェルクに頼む必要は無かったんだけど、流れでよく考えずに頼んでしまった。

 フェルクの影響力を考えていなかったと反省しています。


「あの後、話したこともないクラスメイト達に質問攻めにされて……何も答えられないのに……」

「ごめんなさい先輩」

「い、いえ、謝るようなことでは……ごめんなさい……」


 そっちが謝るのか……。


「……? 話を続けるぞ? そんなわけで、連携を確認したいんだが、試しにパーティでも組んで依頼をしてみないか?」

「パ、パーティで依頼をするのは別にいいけど……依頼のために別の依頼を受けるの……?」

「あー、いや、普通の依頼だったら俺もそんなことはしないんだけどな。何せ、今回の依頼は王族直属だから」

「あっ、そ、そうだよね……変なこと訊いてごめん……。分かったよ、依頼はそっちで決めていいから、決まったら教えて……」


 ロイアータ先輩が同意したことで、この四人で冒険者の依頼を受けることが決まった。

 依頼はジョット先輩がいい感じの討伐依頼を探してくることになった。



=====



「アカリ―依頼見つけてきたぞー」

「…………」

「アカリ、呼んでる」

「……何? リティ」

「あっち」


 朝、半分寝ながら登校していると、リティが声を掛けてきた。

 ……ああ、リティじゃなくジョット先輩が声を掛けてきたのか。

 最近、俺の睡眠時間が削られている気がする……。まあ、登校時間くらいはいいか。


「おはようございます……」

「ああ、おはよう。眠そうだから手短にしとくぞ。ほいこれ、依頼書の写しだから後で読んどいて」

「はい……どもです……」

「あと、カルテとロイアータにも渡しといてくれ。俺貴族校舎入ったこと無いからロイアータのクラス分からないんだよ」

「どもです……」

「頼んだぞ……?」


 ジョット先輩は依頼書の写しを三枚手渡すと、すんなり離れていった。午前中だと話にならないと、既に理解しているようで有難い。


「お、アカリにリティちゃんじゃないか。朝に会うのは珍しいな」

「ん? ああ、ダイキじゃないか……」

「そもそも、学園で会わない」

「人に群がられているか、人目を避けてるからな。今日も登校時間をずらして来たところだ」


 学園では滅多に会わないんだよな。フェルクは頻繁に会いに来るけど、ダイキはそういうのもない。午後の魔法実技も必要な単位を取ってから出ていないらしいし、俺以上に何のために来ているのか分からないやつだ。


「で、アカリは何を持ってるんだ? 依頼書?」

「……なんだっけ……えっと」

「さっきの人と依頼、するんじゃないの?」

「あ、そうそう、ジョット先輩と依頼するんだった」


 それでロイアータ先輩とカルテにも依頼書を……また貴族校舎に入らないといけないのか……面倒だな。


「なあダイキ、頼まれ事をしてくれないか?」

「なんだ?」

「これを、貴族科2年のロイアータ先輩に届けてくれ」


 依頼書の写しを一枚、ダイキに渡す。


「渡すだけか?」

「うん、紫髪の人だからすぐ分かると思う」


 引き受けてくれたから、ロイアータ先輩のクラスを伝えた。

 よし、午前中の睡眠時間はこれで確保できた。ほんと、最近眠いんだよ……。


 …………。


 ……………………。


 おはようございます。

 今日はジョット先輩達との打ち合わせはないから、教室での昼食だ。


 リティと一緒に購買へ行ってから、教室に戻って食べ始める。


「あ、今日はユミちゃん達も居るんですね!」


 いつも通り、フェルクとカインクルフも途中から混ざりに来た。


「――それで、わたくしめもそろそろ一人暮らしを考えちゃってるんですけど」

「え、そうなの?」

「はい。リティちゃんには昨日話したんですけどね、いつまでもお客さん扱いでお城暮らしも窮屈なんですよ。地味に学園から遠いですし」


 そういえば、ずっと王城で過ごしていたのか。確かに留学生として長期的に留まることを考えると住む場所を他に用意するのも納得だ。


「あれ、魔王様はどうするの?」

「あれはそろそろ国に帰るです。元々こんなに留まる予定ではなかったんですよ」


 自分の父親をアレ扱いするなよ……。

 まあ、いろいろあったから魔王様もこの国に来ていたけど、一国の王が自国から離れ続けているのもよくないよな。用事が済んだらそりゃ帰るか。


「リティちゃんが近所に住んでいいって言ってくれたので、ユミちゃん家の近辺の物件を探しているところです」

「うん、ご近所さんになる」

「おお、いつの間に。でも確かにあの辺は学園から近いし一応は貴族街に入っているから治安もいいからおすすめだな」


 雑談を続けていて、ふと思ったことがある。

 ……あれ、俺が居ない間にリティとフェルクが仲良くなってる?

 良いんだけどさ。


「あ、そうだカルテ、これジョット先輩から」

「依頼書? ああ、あれですね」

「どれです?」

「今度先輩たちと依頼をすることになったんですよ。どれどれ……オークの巣?」


 俺もまだ依頼書に目を通してなかったな。

 ……オークの巣の駆除。そういえばオークとか見たこと無いわ。

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