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過保護な女神さまによる異世界転生  作者: 枡狐狸
第五章 問題児達の王国祭
103/112

100 浜辺

 今日は海の日。

 集合場所は俺の館。無駄に広いからな。

 面子は俺、ダイキ、リティ、ユユ、フィール、カルテ、フェルクディ、姫さま、ゼネ様。結構な大所帯だ。

 発案者のダイキは当然として、直接誘われた俺、ダイキも呼んでいた館組。友達枠にカルテ、フェルクまでは普通に誘った。問題は国の重鎮二人だ。


 昨日の放課後にゼネ様に会いに行って、そのとき海に行く話をしたら是非一緒に連れて行ってくれと頼まれたのだ。

 王族が気軽に他国へ行って大丈夫なのかと訊いたら、日帰りだしお忍びにするから問題ないとのこと。ならいいのかと思ってついでに姫さまも誘ったら前日の誘いにも関わらず簡単にOKを貰えた。


 それでいいのか王族。

 でも、忘れがちだけどフェルクも王族なんだよなぁ。


 続々と館に人が集まってくる。

 ちなみにダイキだけは現地集合で、今はその現地に一人で向かっている。

 前日に一度行って俺が魔法陣を描いておけばいいのではと思ったが、事前に行くと楽しみが半減すると言われた。


「おはようございますユミちゃん! おおっ、今日は女の子なんです? もしかして海でも? それはそれは……うへへ」

「おはようフェルク……予定までまだ時間があるからゆっくりしてて」


 フェルクが来たので顔を上げて挨拶をする。

 その後すぐに、突っ伏して元の体勢に。

 人が来るからちゃんと準備してリビングで待っているんだけど、それが限界でテーブルにうつ伏せになっている。頭が重くて首を上げるのも辛い。すやぁ。


「へー、ここがアカリの家なのね? 広い割に手入れが行き届いてるわね」


 訪ねてきて早速点検を始めた姫さま。小姑みたいだ。

 一緒にやってきた男の格好のゼネ様にゆっさゆっさと揺らされて一度起き上がり、ゼネ様の着替えのために別室へ移動する。

 ぶっちゃけ、今回の企画にゼネ様が食いついたのは女として海で遊べるからだ。外での女装は王さまに禁止されているけど、離れた土地にお忍び、さらには変装にもなるため比較的簡単に許可をもらうことができた。王さま、渋い顔してたけどね。


 俺まで女の姿なのは、水着を持ってなかったところにゼネ様から女物を渡されたことと、リティが告白された件が理由だ。


 リティが告白されて、物凄くもやっとした。

 リティはお前のものじゃない。俺からリティを盗ろうとするなんて。

 そう考えて、まるでリティが俺のモノであるかのような考え方に自己嫌悪した。酷い独占欲だ。

 リティは俺にとって大切な存在だが、だからといって独占しようとするのは話が違う。リティは誰のものでもない。


 そんなもやもやした感情を持ったのも男だったからで、女になると緩和されることに気が付いた。ゼネ様の着せかえ人形になっているときに。

 俺の【状態魔法】による性別変化は心身の性質から女に変わるため、男としての感情や感覚が薄れるのだ。だから肉体の変化に違和感を持つことも殆どない。


 というわけで、今回は女の姿で過ごすことにした。


 ゼネ様の性別変化と着替えが終わったところで、ダイキからの通信があった。

 通信というのはダイキに渡してある魔法陣付き懐中時計に魔力が通った反応のことで、俺は懐中時計を転移先に設定してダイキのもとまで転移した。


 移り変わった視界の先には綺麗な浜辺と青い海が広がっていた。


「おお、海だー」


 大きな声を出してみたかったけど午前中のテンションでは無理だった。眠気のせいで棒読みだ。


「もっと喜べよ、アカリ」

「もう少ししたら眠気も覚めてくると思う。取り敢えず魔法陣を描いて皆を呼ぶよ」


 浜辺の砂に魔法陣を描いていく。


「あっ……」


 波で魔法陣が……。


「当たり前だろ」

「……そうだね」


 当たり前だわ。何やってるんだろ。寝惚けてる。

 そもそも人目が無いところでやらないと騒ぎになるということで、適当な宿に入ることにした。

 日帰りだから泊まるわけではないけど、休憩とか荷物置きに使えるだろう。まあ、浜辺から少し歩くから実際に使うかは微妙なところだな。


 流石に宿の床にインクで描くことはできない。

 そう思ったらダイキが【物質保存】の空間内から大きな紙を出してくれた。……そういえばそんなスキルあったな。荷物置き場要らないや。


――【空間魔法】空間転移、皆を召喚。


 魔法陣部屋で待機していた皆が現れる。


「思ったより時間が掛かっちゃったです?」

「ごめんね、転移用に宿を取ってたんだ」

「あ、ここ宿だったんですね。急に大人数で宿を出たら店主はなんて言うんでしょう?」

「……フェルク、出るとき影貸して」

「了解です」


 なんか、いろいろと無計画さが酷い。グダグダにならないように気を付けよう。一人だけそこのベッドで眠りこけたりしないようにしよう。したいけど。


「アカリ」

「リティ、どうかした?」

「着替え、ここでしていい?」


 そうか、皆まだ私服だったな。

 すぐそこはもう海なんだ。海に入るなら当然水着になる。ちなみにリティとカルテとフェルクの三人は昨日仲良く買いに行ったらしい。姫さまは持ってた。ユユとフィールは俺が学園に行ってる間に買っておいたらしい。


「俺は中に履いてるから、女性陣で使っていいぞ」

「私もさっき着替えたときに中に着たわ」


 ダイキとゼネ様は既に着ているらしい。


「アカリさんはどうします? 今は女の子ですけど……」

「ああ、俺も着てきたから大丈夫」


 ワンピースの胸元を広げてみせる。昨日貰った新品の水着です。これ、男のときにクローゼットから出てきたら変態みたいだな。

 いや、俺のクローゼットは既に半分以上が女物なんだけどさ。ゼネ様がいっぱいくれたから。


「って、アカリさん! 男の前でそういうことしちゃ駄目ですよ!」

「でも、中は水着だし」

「それでもです!」

「元々男でも?」

「……それでも今は女の子です。見てください、フェルクディさんが鼻血を出してます」

「くっ、水着と分かっていても興奮せざるを得ないのです……。わたくしめのことは気にしないでください」

「分かったよカルテ。俺が間違っていた」

「そうでしょうとも」


 フェルクは女だけどな。

 結局、女性陣は宿で着替えた後フェルクの影で浜辺に向かうことに。

 男性陣(元男を含む)は浜辺にある着替えスペースを使うことになった。先に浜辺へ向かう。


「男友達を海に誘ったはずが、気付いたら俺だけ男のハーレム状態になってる……これが、『勇者』の称号の神髄なのか……」

「その男友達もハーレムに加わってるけど?」

「今は女友達だから、細かいことはいいんだよ」


 着替えを一瞬で終わらせた俺達は女性陣の到着を待つ。フェルクの影ならすぐに着くはずだけど、まだ来ていない。

 女性の準備は時間が掛かるらしいからな。俺はワンピース脱いだら終わったけど。脱いだ服は荷物に突っ込んでシワになったら嫌だからダイキの【物質保存】で預かってもらっている。ワンピースを手渡したとき微妙な顔をされた。

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