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097 またお前らか!!

アクセスありがとうございます。

 そんなことを言って、3人がゲラゲラと笑っている。今の時代に、こんなに古典的に見えるバカが本当にいるんだな……絶滅危惧種じゃなかったのか?


「おい。あんまりうちのメンバーに、汚い目を向けるのはやめてくれないか? それと、ここは俺たちが借りているエリアだから、自分たちのエリアに戻れ」


 健司が前に出る。俺の意図を理解してなのか、近付かれる前に結界のラインを越えて外へ出た。本当に察しのいい筋肉だな。


 ちなみに俺は、喧嘩なんて強くはない。ただ、元々スキルの数も多かったし、スキルの検証や色々な作業をしていたおかげで、いつの間にか様々なスキルを覚えている。その結果、基礎体力というか、身体能力そのものがかなり高くなっていた。


 これは、荷物を運ぶ時に気付いた。以前は重く感じていた19リットルや20リットルのビール樽も、今では両手に1個ずつ持っても余裕がある。


 それだけじゃない。かなり肉体の強度も高くなっている。もちろん、殴られれば普通に痛い。刃物で切られれば怪我もするし、小説のようなスーパーマンになって、何をされても無傷というわけじゃない。


 だからこそ、無茶をするつもりもない。


 俺は、健司の様子を確かめながら、火事にならないように、バーベキューコンロの網を外して、汚れるのを気にせずに机の上に置いた。


「なんだよ、お前。俺たちに指図してんの?」

「こっちは客だぞ?」

「客だから何してもいいと思ってるのか?」


 こんなやり取りをしている俺たちだって、客なんだけどな。


 健司が落ち着いて話しているが、近付いてきた3人は次第に声を荒げていく。俺は、ちらっと女子の方を見る。


 すると、1人が小さく手を動かしていた。110番した……そう見えるジェスチャーだった。これで、あとは警察が来るまで耐えればいい。


 そう思っていたのだが……。


「おい、無視してんじゃねえぞ!」

「聞いてんのか!」

「お前ら、調子に乗ってんじゃねえぞ!」


 しばらくすると、グランピング場の従業員がやってきた……ただ、来たのは女性だった。


「お客様、どうされましたか?」

「どうもこうもねえよ!」

「こいつらが俺たちを馬鹿にしてきたんだよ!」

「俺たちは客だぞ!」


 大声で怒鳴り、脅している。来たのが女性というのも、さすがにかわいそうだった。こういう時のために、最低でも男性が1人は来るべきだと思う……これを言ったら男女差別になるのか?


 健司は、そんな従業員の女性の前に立った。


「大丈夫です。俺たちが話しますから」

「ですが……」

「警察も呼んでいます。もう少しだけ、ここにいてください」


 健司が代弁するように話している、その時だった。


「お客様は、神様だろ?」

「……は?」

「神様に逆らって、仕事ができると思っているのか?」


 俺は、それを聞いた瞬間、思わず吹き出してしまった。


「ぷっ……」


 俺たちだって客なのに、その上いまだに、こんなことを言っているバカがいるんだな。思わず笑ってしまった……そう思った時には遅かった。


「おい、今笑っただろ?」

「何がおかしいんだよ!」

「お前、俺たちを馬鹿にしてんのか!」


 案の定、ターゲットがこちらへ移ったけど、女性従業員に矛先が向き続けるよりはいい。健司もそれを理解したらしく、俺が怒鳴られている間に、不自然にならないように女性従業員を少しずつ結界の中へ誘導していく。


 そして、従業員の女性が結界の内側へ入った。これで、少なくとも彼女も安全だ。


「お前、出てこいよ!」

「俺たちを馬鹿にしたんだから、謝れ!」

「無理です」


 俺が答えると、男の1人が殴りかかってきた。顔を狙ってきたので、さすがに避ける。当たり前だ、顔なんて殴られたくない。


「避けんなよ!」

「殴られたら痛いだろ!」


 今度は体を狙ってくる。俺は、それをあえて受けた。


 ドンッ……痛い、普通に痛いけど、思っていたほどではない。そして、少し離れたところでは隼人がカメラを構えている。健司も同じことを考えているようで、殴られる時に、さりげなくカメラに映る角度を調整している。


 こいつ、本当に頭のいい筋肉だな。


「この野郎!」


 さらに殴られるが、俺たちは、反撃しない。避けられる攻撃だけ避け、体に当たる攻撃は、証拠を残すために受ける。


 健司も同じだった。


 ただし、あいつは時々、肘や膝を使って攻撃を受けている。もちろん、こちらから攻撃しているように見えない程度に……いや、あれは受け流しているだけだな。わざと相手の拳や脛を壊すための防御ではない。


 そんなことを考えながら、俺たちは殴られ続けた。


 10分くらい経っただろうか。最初は勢いのあった3人も、次第に疲れてきたようだ。それに対して、俺は思ったより平気だった。


 もちろん痛いけど、大した怪我もなく、動けなくなるほどじゃない。殴られること自体には慣れていないはずなのに、妙に冷静だった。


 あれ? 喧嘩なんてまともにしたことがないのに、なんでこんなに余裕があるんだろう? これもスキルによってステータスが上がった結果なのかな?


 そんなことを考えているうちに、さらに余裕が出てきた。相手の動きが、さっきよりもゆっくり見えるし、息遣いまで分かる。そして、殴りかかってくる男の顔を、俺は改めてしっかりと見た。


 どこかで見たことがある……酔っ払って赤くなった顔、乱れた髪、その顔立ち……


 俺は、思わず目を細めた。


 この男と、健司を殴っている2人のうち1人を……どこで見た覚えがある? 大学か? それとも、ダンジョン関係のニュースか?


 いや、違う……でも、確か、どこかで……


「お前、何見てんだよ!」


 男が怒鳴った……その声で意識が現実に戻り、もう一度、男の顔をしっかりと見る。


 やっぱり見覚えがある……ただの酔っ払いなら、こんなに引っかからない。


 俺は記憶を辿り、そして……ようやく、1つの映像が頭に浮かんだ……キャンプ場で、以前、俺たちを一方的に非難してきた、あの3人組。


 まさか……そんな言葉が、頭の中に流れた。男たちの顔を、もう一度確認する。間違いない。こいつ……あの時の3人のうちの男2人だった。

ここまで読んでくださり、ありがとうございます。

ブクマや評価をしていただけると幸いです。

これからもよろしくお願いします。

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― 新着の感想 ―
こんばんは。 あそこに居たバカが混じってましたか…。こんなのに時間取られたくないから、早くお巡りさん来て欲しいですね。
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