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086 反乱の翌日

アクセスありがとうございます。

 キャンプでも、一緒の空間で家族全員で寝たのなんて、小学生以来のことではないだろうか。


 そんな不思議な状況のまま、仲のいい両親は一緒の布団で、楓はミミを抱きかかえて、俺は1人で寂しく……ということもなく、寝られない時間はダンジョン関連の情報を集め、睡魔に襲われたら、そのまま寝た。


 何時間くらい眠ったのかは分からない。顔に何かが当たる感覚で、意識がふんわりと覚醒する。


 なんだ? 眠い目を開けると、目の前にミミの顔があった。


 ミミだった……正体が分かったところで、俺はもう一度目を閉じる。あと少しだけ……そう思った瞬間、顔にまた何かが当たった。


「……」


 ミミの前足だった。


「ミミ、眠い……」


 抗議するような鳴き声とともに、また前足が顔に当たる。


「分かった、分かったから……」


 どうやら寝かせてもらえないらしい。ミミを捕まえて抱きかかえようとすると、するっと抜け出されてしまった。


 逃げたミミは、少し離れたところで俺を見る。そして、何かを訴えるように歩き出した。


「どこ行くんだ?」


 ミミについていくと、餌の皿の前で立ち止まり、そして、皿を前足でタシタシと叩いた。


「……腹減ったのか?」


「にゃ」


 どうやら、そのようだ。普段なら家族の食事の時間に合わせて食べるのに、珍しいな。そう思いながら時計を見る……


「ん?」


 時計の表示を見て、思わず固まった。もう朝8時を回っている。


「……そりゃ、ミミも怒るか」


 昨日の夜は遅くまでダンジョン関連の情報を調べていたから、俺自身もかなり寝ていたらしい。それなら、俺じゃなくて楓を起こせばいいのに。そう思って楓を見るが、


「……気持ちよさそうに寝てるな」


 ミミには、これは無理か……なら、父親はどうだ? ミミに起こされたら、泣いて喜ぶくらいなのに……そんなことを考えながら父親を見る。


 すると、ミミがちらっと父親の方を見た。そして、首を横に振る。


「……どういう意味だ?」


 ミミは何も答えない、答えられても分からないけどな。楓なら分かるんだろうか。


 気になったので、楓が起きたら聞いてみることにした。


「ほら、飯だぞ」


 病院から渡されている餌を取り出して、皿へ入れる。するとミミは、待ってましたと言わんばかりに食べ始めた。


 ものすごい勢いだ……ニャムニャムというより、ガツガツという表現の方が近い。最初の頃はその様子に、本当に何かやばい成分でも入っているんじゃないかと疑ったくらいだ。


 病院から渡されているものだから、変なものが入っているはずもないんだけど。


「そんなに美味いのか?」


 からかうように頭を撫でる。しかし、ミミは完全に食事へ集中している。撫でられていることすら気にしていない。


「……今なら父さんでも撫でられるんじゃないか?」


 そう思って、父親の方へ視線を向ける。まだ寝ている……


 俺が何度かミミを撫でてみる……避けない。これはいけるかもしれないとそう思い、父親を呼んでみようかとしたところで、ミミが器用に俺の手を避けた。


 食べながらでも避けるのか……どうやら、食事中だから許されているわけではなかったらしい。


「お前さ、キャットフードの評論家になれるんじゃないか?」


 ミミは無視して食べ続けている。


「楓が間に入る必要があるけど、ミミが他の猫と会話できるなら、おやつみたいに発狂するくらい猫に好かれるキャットフードの開発ができるかもな」


 なんとなく思いついたことを口にしてみる。まあ、実際にやろうと思ったら、かなり大変だろうけど。ミミの味覚が普通の猫と同じなのかも分からないし、そもそも他の猫と話ができるのかも分からない。


 そういえば、楓って、ミミ以外の動物と話すことはできないんだよな……以前、楓に聞いた話を思い出す。


 ミミの話では、信頼関係が足りないということだった。強引に従わせるテイマーとは違い、楓の『トレーナー』というスキルは、相手との信頼関係を築くことでパートナーになるものらしい。


 だから、動物だって魔物だってパートナーにできる……と、楓は考えているようだ。おそらく、上限のようなものはないと思う。制限があれば、絶対にミミが止めるはずだからな。


 必要なのは信頼関係。


 ミミが頭いいから、何とかなっただけなんじゃないか?


 俺はミミを見る。こいつは、人間の言葉をかなり正確に理解している。前からそうだが、スキルを覚えてからは、楓と会話もしているしな。


 俺が何をしてほしいのかも、かなり理解していると思う。


「楓は、他の動物とも話せるようになるのかね?」


「にゃ」


「……食事中に聞いても分からないか」


 そもそも、俺にはミミの言葉が分からない。楓が起きたら聞いてみよう。そんなことを考えているうちに、ミミは餌を食べ終えた。


 舌で口の周りを舐めたあと、前足を使って顔のあたりをクシクシしている。


「そうだ、ミミ。ちょっと口の中を見せてくれ」


 俺が声をかけると、ミミは顔を上げた。両脇を持って顔の前まで持ち上げる。ミミも嫌がることなく、口を開けてくれた。前にも見たけど、やっぱりきれいだ。


「前もきれいだったけど、今は前に比べて歯がしっかりとしているな」


 歯も問題なさそうだ。


「ちょっとだけ拭くから我慢してな」


 ガーゼを使って、歯を軽く撫でる……特に汚れもない。本当にきれいだな、歯茎も問題なさそうだ。

ここまで読んでくださり、ありがとうございます。

ブクマや評価をしていただけると幸いです。

これからもよろしくお願いします。

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タイトルですが、もしかして「氾濫」では?
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