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085 被害状況……

アクセスありがとうございます。

 テレビ画面には、次々と現地の映像が流れていた。12時を回る頃には、SNSにも大量の情報が流れ始めた。


 小さなダンジョンから出てきたモンスターは、多くても10匹程度のようだった。その程度なら、近隣の探索資格者や猟友会のメンバーが対処しているという情報も多かった。


 一方で、大型ダンジョンはそう簡単ではなかった。探索資格者が協力して塀の外へ出ないようにモンスターを押さえ、塀の上から自衛隊が銃火器で攻撃している。テレビで流されている映像には、モザイクが掛けられていた。


 それでも、何が起きているのかは分かる。


 だけど、日本だけではなかった。世界中で、同じようなことが起きている。


 海外の映像も次々と流れてくる……都市部に大型ダンジョンがある国では、かなり大規模な戦闘になっている都市もあった。


 そんな中、SNSでは妙な投稿も増えていた。


「これは、私の神様が人類に与えた試練であり、私の指揮のもとであれば、輝かしい栄光を得られるだろう……?」


 楓がスマホを見ながら読み上げる。


「何それ?」


「分からない」


 似たような内容の投稿が、いくつも流れてくる。自分こそが人類を導く存在だ……自分に従えば救われる。今回の出来事は神が与えた試練だ。


 そんな内容が多かった。新しい宗教でも作るつもりなのか?


 こんな状況で、自分の信じたいものを信じる人はいるらしい。世の中にはいろんな人がいる。


 俺には関係ない……そう思うことにした。


 夜になっても、テレビはダンジョン関係のニュースばかりだった。ただ、大型ダンジョンについては、かなり早い段階で鎮圧が進んでいた。


 都市部にある大型ダンジョンには、そもそも自衛隊の数が多い。さらに、救援に来る探索資格者も多かった。そのため、暗くなる前には大半の大型ダンジョンで、あふれ出したモンスターを押さえ込むことに成功したらしい。


 問題になったのは、むしろ中型のダンジョンだった……とある10万人規模の市の外れに、中型のダンジョンができていた。


 そこはまだ塀が建設途中で、当然、今回のスタンピードでモンスターが外へあふれ出した。


 あふれ出したモンスターが市街地へ向かって進んでいくのを、探索資格者たちが止めようとした。車なども使い、モンスターが市街地へ入らないように進路を塞いだらしい。


 結果として、市街地への被害は抑えられたが、食い止められたモンスターが反対側へ進んでしまった。そこにあったのは、500人ほどが暮らす集落だった。高齢者が多い集落だったこともあり、避難が間に合わず、大きな被害が出たそうだ。


 テレビでは、確認された被害状況が淡々と読み上げられていた。日本全体で、現時点で確認されている死者は1000人を超えた。けが人は10万人を超えている。


 ただし、これはモンスターに直接襲われた人だけではない。


 逃げる途中で転んだ。避難中に事故に遭った。探索資格者が戦闘で負傷した。そういったものまで含まれている……10万人という数字は大きすぎる。


 そして、少し意外だったのが探索資格者の死者の数だった。現時点では、確認されていない。重傷者はいるが、一命は取り留めているらしい。


「ダンジョンで活動している資格者って、やっぱり強いのかな……」


 俺が呟く……スキルによって身体能力が強化される。それは、こういう時に大きな差となったのだろう。


 だけど、世界全体を見れば被害はもっと酷かった。人口の多い都市部にダンジョンができている国では、かなり大きな被害が出ているらしい。


 テレビから流れる映像を見ながら、俺はふとソファの上で丸くなっていたミミを見る。


「……なあ、お前、ダンジョンからモンスターが出てくることが分かってたのか?」


 楓に頼んで聞いてもらう。ミミはしばらく楓を見ながら鳴いていた。やがて、楓がこちらを見る。


「何かが起こることは分かってたけど、モンスターがあふれることまでは知らなかったみたい」


 ミミ自身も、何かが起こることだけは感じ取っていた。でも、それが何なのかまでは分からなかった。だから、俺が初日の出キャンプへ行こうとした時、あれだけ強く反対したのだろう。


「じゃあ、何かが起こるって分かってたなら、何でそのまま伝えなかったんだ?」


 楓がミミへ聞く……しばらくして、楓が苦笑した。


「何かが起こるって分かっても、それが大事なことなのか分からなかったから……行かないように言うだけにしたんだって」


 それもそうか……何かが起きると言われただけなら、俺はキャンプへ行っていたかもしれない。


 キャンプをやめるほどの理由にはならない。ミミからすれば、分からないものを無理に伝えるより、とにかく行かせない方がいいと判断したのだろう。


 どこか得意げに見えるミミを見て、俺は苦笑した。


 俺たちの住んでいる地域には、今のところ大きな被害は出ていない。家にはタープなどを張り、キャンプ設営のスキルによってセーフティエリアになっている。


 それでも、念のためということで、今日の夜は家族全員でリビングに寝ることになった。


「ミミも一緒だからね」


 楓がミミを抱き上げる。ミミも特に嫌がらない。


 テレビでは、まだダンジョンの速報が流れ続けている……正月なのに、今年最初の日から世界中が大騒ぎだ。


 俺はリビングに布団を並べながら、テレビへ目を向けた。


 今年は、どうなるんだろう……そんなことを考えながら、家族と一緒に夜を過ごした。

ここまで読んでくださり、ありがとうございます。

ブクマや評価をしていただけると幸いです。

これからもよろしくお願いします。

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