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072 ミミの面接とミミが面接

アクセスありがとうございます。

「ミミは何て言ってる?」


「ミミちゃんは、私の保護者のつもりなのか、『楓の面倒が見れるなら一度行ってみてもいい』って」


 思わず苦笑した。どうやら乗り気ではあるらしい。


「でも、何をさせるつもりか分からないし、人が多い場所へ行かせるのは心配だな」


 そう言うと、楓は頷いた。


「父さんと母さんは、私とお兄ちゃんがいいって判断したならいいよって」


「なら、一度話だけ聞きに行くか」


 そこで俺は釘を刺す。


「ただし、何か契約することになったら、絶対に1人で決めるなよ。必ず父さんへ連絡すること」


「うん、分かった!」


 楓は笑顔で返事をした。


「ミミちゃん、もしかしたら一緒に働けるかもね。いろんなところへ行けるかも!」


「にゃぁ」


「え? 家族でいろんなところへ行きたいけど、他の人は別にいらない? 私についてくるのは、私が心配だから?」


「ミミは楓が心配なんだろ」


 俺が笑うと、


「お前は、おっちょこちょいな部分があるから、一緒にいて面倒を看てやるってことじゃないのか?」


「もう! お兄ちゃん!」


 楓が少し膨れた。その横でミミは、


「にゃ」


 分かっているな! と言わんばかりに満足そうな表情を浮かべていた。


 家へ戻ると、昼食を済ませてから支度を整える。


「それじゃあ行ってくる」


「いってらっしゃい」


 今日は楓が仕事休みなので、家でミミとのんびり過ごすらしい。


「にゃ」


 ミミもソファの上から前足を上げて見送ってくれた。


 俺は母さんの車へ乗り込み、そのまま母さんの職場へ向かう。


 職場に着くと、母親を呼び出してもらって、


「お母さん、鍵」


「ありがとね」


 職場へ着くと、家の鍵を母さんへ渡した。


「大学頑張ってね」


 そのまま大学へ向かった。


 午後からの講義は、特に変わったこともない。教授の話を聞き、ノートを取り、グループワークをこなす。1ヶ月ほど前に編成が変わったグループも、すっかり馴染んでいた。


「じゃあ、この部分お願い」


「分かった」


 全員が自然に役割分担をするようになっている。仲の良い者同士だけで固まっていた頃より、話し合いもしやすい。


 そんなことを思いながら講義を終え、大学を出ると、そのまま居酒屋へ向かう。


「おはようございます」


「おう、今日も頼むぞ」


 仕事着へ着替えて、まずは仕込みから始める。今日は、以前も手伝いでした、仕込みを店長と一緒に行っている。


 野菜を切り、食材を準備し、開店時間が近付けばホールの準備も進める。


 営業が始まれば、注文を取り、料理を運び、厨房が忙しくなれば中へ入る。最近はキッチンとホール、どちらも任せてもらえるようになった。


「翼君、3番お願い!」


「はい!」


 気付けば時計は24時を回っていた。


「お疲れ様です」


 着替えを済ませ、夜風に当たりながら家路につき、帰宅すると、ミミは玄関まで迎えに来てくれた。


「ただいま」


「にゃ」


 頭を軽く撫でると、満足そうに喉を鳴らしている。


 その日は、そのまま風呂へ入り、眠りについた。



 数日後、楓の仕事へ行く日になった。午前中に俺の授業がない日を選んだ。


「今日はよろしくお願いします」


 楓とミミを連れて向かったのは、楓が働いている、イベント企画会社だ。受付を済ませると、すぐに社長室へ案内される。


「初めまして」


 穏やかな笑みを浮かべた男性が立ち上がった。年齢は50代くらいだろうか? うちの両親よりは、上っぽいな。


「楓さんから話は聞いています」


「九十八翼です」


 挨拶を済ませると、社長はミミへ視線を向けた。


「この子がミミちゃんですか」


 ミミは警戒する様子もなく、一度鳴いて返事をした。


「なるほど……確かに賢そうですね」


 社長は無理に触ろうとはしなかった……その対応だけでも印象は悪くない。


「今日はお願いというより、ご相談です」


 社長が資料を机へ並べる。


「イベントへ来ていただいて、呼び込みをお願いしたい……という話ではありません」


「違うんですか?」


 社長は笑う。


「広告やポスターへ、出演していただきたいと考えています」


「広告ですか」


「楓さんと一緒に写っていただくだけでも構いませんし、ミミちゃんのいろいろな姿が撮れたらと思っています。イベント会場へ来られるなら、その様子を撮影させていただきたいとも思っています」


 思っていたより負担は少なそうだ。


「もちろん、ミミちゃんが嫌がることは一切しません」


 さらに資料をめくる。


「休憩場所も用意します」


 そこには簡単なレイアウトまで描かれていた。


「冷房の効いた小さなコンテナ、猫用トイレ、水、休憩スペースなどを一緒に準備します」


「そこまで考えているんですか」


「動物を仕事へ連れてくる以上、環境整備は当然です」


 その言葉に安心したが、一つだけ確認しておきたいことがある。


「条件があります。ミミは、俺たちの家族です。仕事だからといって、無理はさせません」


「もちろんです」


「それと、移動費や働いた分の報酬については、父を通して契約してください」


 社長は少し驚いたようだった。


「俺たちだけでは判断しません。契約関係は父が確認します」


「分かりました、その方がお互い安心できますね」


 その返答を聞いて、少し肩の力が抜けた。無理に契約を急がせるような相手ではなさそうだ。


「それでは、ご家族と相談された上で、改めてお返事をいただければと思います」


「お願いします」

ここまで読んでくださり、ありがとうございます。

ブクマや評価をしていただけると幸いです。

これからもよろしくお願いします。

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