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071 ミミの定期検診が終わり、ミミが働く?

アクセスありがとうございます。

 今回もミミは採血を嫌がるが、楓に説得されて採血をしてもらっていた。


「ミミちゃん、お願い」


「にゃぁ……」


 前足を引っ込めようとするミミへ、楓が優しく声を掛ける。


「今回はね、先生たちもちゃんと考えてくれたんだよ」


 獣医さんも頷きながら、小さなケースを開いた。


「前回より細い採血針を用意しました。少しでも負担が少なくなるように、ミミちゃんのためだけに特別に取り寄せています」


 確かに、前回見たものより細く見える。


「にゃ?」


 ミミも気になったのか、じっと針を見つめていた。


「前より痛くないように準備してくれたんだって」


 楓がそう伝えると、


「……にゃ」


 少し考えるような表情になる。


「少しだけ我慢しよう?」


「にゃぁ」


 渋々といった様子ではあるが、ミミは前足を差し出した。


「ありがとう、ミミちゃん」


 獣医さんも安心したように笑う……採血はあっという間に終わった。


「終わりましたよ」


「にゃ?」


 ミミは少し不思議そうな顔をしている。


「どう?」


 楓が笑顔になる。


「これなら我慢できるって」


 その言葉に俺もほっとした。あまりにも嫌がるようなら、次回からは採血を断るつもりでもいたからな。


 ミミに無理をさせてまで協力するつもりはないからな。一通りの検査が終わり、結果を待つ。


 しばらくして獣医さんが検査結果を手に戻ってきた。


「今回の結果ですが」


 表情は真剣だった。


「前回は、若返っている可能性が高いというお話をしました。再検査を行った結果、やはり肉体年齢そのものが若返っていることは、ほぼ間違いないと判断しました」


 予想はしていたが、改めて断言されると驚く。


「それと前回お話しした、体を蝕む病気の因子ですが」


 検査結果を見ながら説明を続ける。


「今回も、ほとんど確認できませんでした」


「ほとんど……ということは?」


「完全になくなったわけではありません」


 獣医さんは分かりやすく説明してくれる。


「人間にも、普段は害がなくても特定の条件下で病気を引き起こす菌がありますよね」


「ボツリヌス菌みたいなものですか?」


「そうですね。そういった常在菌までは、消えずに残っています。ただ、それ以外の悪影響を及ぼす因子は、ほぼ見当たりません」


 つまり、無菌状態になったわけではない。生き物として必要なものは残り、体へ悪影響を与えるものだけが減っているらしい。


「現時点では、非常に健康だと言えます」


 その言葉に、楓も安心したように息を吐いた。


「よかったぁ」


「にゃ」


 当の本人は当然だと言いたげな顔で毛繕いを始めている。


 その後は身体能力の検査になった。増設された診察室の奥には、大きなキャットタワーが設置されている。高さも様々で、足場の幅まで違う。


「こちらへどうぞ」


 ミミは興味津々といった様子で飛び乗った。軽く助走を付けるだけで、一番高い台まで飛び移る。途中にステップがあるのだが、3m以上ある最上段まで登ってしまったのだ。


「すご……」


 思わず声が漏れる……家のキャットタワーでも分かっていたことだが、以前なら段差を利用していた高さを、一気に飛び越えてしまった。


 さらに別の検査器具も用意されていた。


「これも猫用なんですか?」


 大きな円形の器具……見た瞬間に思い浮かんだ。


「ハムスターが走る、あの回し車みたいですね」


「猫用のランニングホイールです」


 獣医さんが説明する。


「走行能力や持久力なども確認できます」


 ミミは最初こそ慎重だったが、


「にゃっ」


 コツを掴むと軽快に走り始めた。一定の速度で走り続けても、息が乱れる様子はない……途中で止まるかと思ったが、そのまま楽しそうに走り続けている。


「遊んでるようにしか見えないな」


「実際、楽しんでいますね」


 獣医さんも苦笑していた。1時間近く続いた検査もようやく終わる。


「本日はご協力ありがとうございました」


 獣医さんが深く頭を下げた。


「今回の報酬と言いますか、採血へご協力いただいた補償として、専用の食事をご用意しています」


「専用食ですか?」


「はい。現在のミミちゃんの身体へ合わせて調整したものです。1週間ほど食べていただければ十分だと思います」


 さらに笑顔で続ける。


「それと、お礼として、ミミちゃんがお好きだと聞いていた猫缶と、例のおやつも準備してあります」


「そこまでしてもらえるんですか?」


「今後もご協力いただくことになりますので」


 受付の方を見る。


「すべて受付でお渡しします。もし専用食が足りないようでしたら、ご連絡ください。追加でお送りします」


「至れり尽くせりですね」


 ここまで配慮してもらえるとは思わなかった。受付で荷物を受け取り、病院を後にする。


 駐車場へ向かう途中……


「にゃっ」


 キャリーケースから出してもらったミミが、楓の肩へ飛び乗った。


「わっ」


 そのまま肩から腕へ、腕から背中へ、さらに反対側の肩へ移動する。


「ちょ、ちょっとミミちゃん!」


 まるで猿回しの猿のように、楓の体を器用に動き回っていた。


「元気だな」


「にゃぁ」


 検査を頑張った反動なのか、遊びたくて仕方ないらしい。あれだけ走ったのに疲れてないのかね? 楓は楽しそうに笑っている。


「そうだ、お兄ちゃん。私が今バイトしてるの、イベントとかを開いてる会社って話したよね?」


「ああ」


「そこでね、私がミミちゃんの話をよくするからか、社長さん……友達のお父さんなんだけど、一度ミミちゃんを連れて来てほしいって言われたんだ」


 俺は少し考えた……


ここまで読んでくださり、ありがとうございます。

ブクマや評価をしていただけると幸いです。

これからもよろしくお願いします。

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