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046 ソロキャン準備

アクセスありがとうございます。

 次のキャンプの日程が決まったので、一応、楓にも伝えておくことにした。縁側では、楓がミミと遊んでいたので声をかけておこう。


 ミミは完全に縁側を自分の縄張りだと思っているらしく、気持ちよさそうに寝転がっていた。


「来週の水木金の2泊3日にしたからな」


 そう声を掛けると、楓はすぐにスマホを取り出した。何かを確認するように画面を操作する。


 数秒後……露骨に肩を落とした。


「予定あるのか?」


「ある……友達と約束してた」


「なら仕方ないだろ」


 楓はミミを抱き上げる。


「ミミちゃん、一緒にキャンプ行けないって」


「にゃー」


 ミミも少し興味があったらしい。だが楓が行かないと分かると、それ以上は特に反応しなかった。


 どうやら今回は家でのんびり過ごすつもりのようだ。


 となると、次はソロキャンプか。


 完全な1人というのは、かなり久しぶりな気がする。少し楽しみだ。


「母さん」


「なに?」


 洗濯物を取り込んでいた母親へ声を掛ける。


「来週、車借りられる?」


「どっちの?」


「どっちでもいいんだけど、母さんの方が小回りが利くから助かる」


「問題ないわよ」


 母親はあっさり頷いた。


「お父さんの車で出掛ければいいしね」


「助かる」


 これで移動手段は確保できた。あとは荷物だけだな……俺は頭の中で持ち物を整理し始める。


 まずはタープ、今回はスキルの検証も兼ねているので最低でも2枚持っていく。テントと合わせて三角形になるよう設営し、キャンプ設営の効果範囲を広げる予定だ。


 2泊3日だから6食分プラス予備、朝食はいつものホットサンド……あれは外せない。だが、それ以外は極力手間を掛けないつもりだ。


 キャンプ飯も美味いが、今回は料理を楽しむというより、のんびり過ごすことが目的だ。


 それに釣りもしてみたい、得意ではないけどな。


 役場へ問い合わせた時、たまに釣り人も来るという話だった。だから父親のお古の釣り道具を借りる予定である。


 もちろんプロジェクターも持っていく。夜は恒例となっている映画だ。


 家でも見られるじゃないか、と言う人はいる。だが違うのだ! 自然の中で見る映画やアニメは、別腹的な良さがあるんだ!


 何が違うのか説明しろと言われると困るが、とにかく違う。そういうものなのである。


「あっ!」


 思い出した。先日注文したレザークラフトの初心者キットが届いていたのだ。せっかくだから持っていこう。キャンプで革細工……悪くない。


 となると作業台代わりになる物も必要だな。折り畳みテーブルも積んでおこう。


 その後も色々考え続け、1時間ほど経った頃には大体の予定が固まっていた。後は出発までに準備していけばいい。


 夕方になるとバイトへ向かい、出勤してすぐ店長へ確認した。


「来週の水木なんですけど、シフト交換とか入らないですよね?」


「大丈夫だと思うぞ」


「なら安心です」


「またキャンプか? 好きだなぁ」


 呆れ半分、感心半分だった。


 今回はミミがいないから、熱中症対策の氷の大量確保も必要ない。


 それから数日、特に大きな出来事もなく、気付けば出発前日の火曜日になっていた。


 両親が夏休みで本当に助かった……仕事だったら前日に車へ積み込むことは難しかっただろう。


 今回、一番重要なのは水だ。キャンプ場ではないので、水道もない。だから慎重に準備する。


 飲料用に6リットル、調理用に3リットル、予備に3リットルの合計12リットル。


 調理に使うお湯……缶詰を温めたりするのに使うのは、基本的に川の水を利用する予定だ。


 もちろん、そのまま使うわけではない。簡易濾過器を作ったので、それを利用して沸かす水を確保する形だ。


 簡易ろ過機は、ペットボトルを加工し、布、砂、砕いた炭、砂、砂利、布の順番で詰めたものだ。飲用には使わないので、このくらいで十分だろう。


 食器類を洗う時は、ティッシュで汚れを拭き取った後、川の水ですすぎ、さらに沸騰させたお湯で消毒するかたちをとる予定だ。


 テント、タープ2枚、グランドシート、チェアー2脚、プロジェクター、スクリーン代わりのタープ、野外シアター用のタープ2枚、調理器具、予備ガス……その他キャンプ道具。


 食料は米と食パン以外、ほとんどが缶詰とレトルトだ。1人前なら量も丁度いいしな。ただし間食用のお菓子や簡単な食材は別で用意してある。


 準備を終え、リビングへ入ると、ミミが縁側の中央で優雅に寝ていた。


「かわいいな」


 尻尾で返事だけして、また寝た。


 その後はバイトの時間まで、ミミを撫でたりブラッシングしたりしながら、のんびり過ごした。


 そして出勤、居酒屋へ着くと、店長が声を掛けてきた。


「九十八、肉の整形で出た牛スジと鶏肉の端材が冷凍してあるんだが持っていくか?」


「いいんですか?」


「どうせ捨てる予定だったしな」


 ありがたく頂くことにした。


 営業が始まると、程よく忙しかった……そして閉店後、掃除が終わった瞬間だった……


『掃除スキルのレベルが上昇しました』


 頭の中へ声が響き、さらに……


『短剣術のレベルが上昇しました』


「ん?」


 思わず首を傾げた。掃除していただけなのに? なぜ短剣術が上がるんだ。よく分からない現象だった……だがレベル4になったらしい。


 謎である。


 帰宅後、まだ起きていた母親へ事情を話すと、一緒に牛スジの下処理を手伝ってくれた。ただ量が多すぎた。


「これ半分以上置いてくから、家で食べてよ」


「1人で食べるには、確かに多いわね。ありがたく夕食に使わせてもらうわね」


 結局、大部分は翌日の夕食用として残すことになった。


 翌朝、かなり早い時間に目が覚めた。起きてすぐにしたことは、冷めた牛スジをジップロックへ入れ、冷凍庫へ放り込んでおく。出発までに完全には凍らないだろうが、程よく冷えてくれるはずだ。


 荷物はほぼ準備完了……後は出発するだけ。


 半月ぶりのキャンプ、実際にはそれほど期間は空いていない。だが夏休みだったせいか、前回から随分と時間が経ったような気がしていた。


 久しぶりのソロキャンプ、今回はどんな景色を見られるのか楽しみだ。

ここまで読んでくださり、ありがとうございます。

ブクマや評価をしていただけると幸いです。

これからもよろしくお願いします。

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