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043 ゲームみたいだ

アクセスありがとうございます。

 朝、目を覚ますと……まだ外は薄暗かった。


「目が覚めるのが早いな」


 眠気はほとんどない。体を起こしてみても、昨日の疲れは残っていなかった。


 やっぱりタープを家の周りに張ったおかげで、キャンプ設営の回復しやすくなる効果が付与されているのだろう。それにスキルによるステータス増加も影響していそうだ。


 ベッドへ横になったまま天井を見上げながら、色々考える。


 ステータスが上がっても戦闘が出来るわけではないよな……ゲットしたスキルは、短剣術以外は日常系や生産系と呼ばれる物ばかりなんだよな。ゲームによってはいろんな分類があるけど、大体そっち側に分類されるスキルだ。


 楓も言っていたが、後方支援職という役割が俺だと考えれば、回復魔法やバフ魔法、生産系のスキルで何かを作るとか、そっちに向いているだろう。


 キャンプ設営が拠点のようなものを作るスキルなら、拠点で活動する生産系が上がりやすそうな気もする。


 簡単に始められそうなものは……


「レザークラフトかな」


 革細工なら趣味としても悪くない。キャンプ用品にも使えるし、自分で作った革製品を長く使うのも楽しそうだ。


 スマホで少し調べる……初心者キットも普通に売っていた。


「これなら、すぐに始められそうだよな」


 自作で革製品を作って使うのも悪くない。お金は余裕があるし、初心者キットもあるみたいだから注文してみるか。


 それで楽しかったら、本格的にやってみよう。


 他にも色々考えてみる……ゲームだと造船や建築、採取系で採掘・採取とかあるけど……


「この世界で、つるはしを打ち付けて……なんて非現実的だよな」


 ダンジョンとかでやるのかね?


 そんなことを考えていると、


「朝食できたわよー」


 母親の声が聞こえた。どうやら朝食の準備ができたようだ。


 俺はベッドから起き上がり、リビングへ向かった。リビングへ入ると、すでに両親が席についていた。


 しばらくすると楓もやって来る。


「んー……」


 相変わらず眠そうではある。だが以前みたいに何度も起こされることはなくなった。


 1回で起きてくるあたり、キャンプ設営の効果があるようだな。


 席へ座った楓は、そのまま半分寝ながら朝食を食べ始めた。


「寝ながら食うな」


 一方で父親はというと、昨日の疲れも残っていないようだった。普通なら倉庫での作業の疲労が残っていてもおかしくないのに、キャンプ設営の効果はそれなりに優秀なのかもしれない。


 朝食中、父親が言った。


「今日は母さんと出掛けてくる」


 母親も嬉しそうだ。


「昼は楓と2人で食べてね」


「了解」


 俺が作る必要があるか……?


 食べに行ってもいいけど、ミミのことを考えると家で食べるかな。そんなことを考えながら朝食を終える。


 朝食が終わった瞬間、


「ミミちゃん行こう」


「にゃー」


 楓はミミを抱きかかえて部屋へ戻っていった。一緒に寝るんだろうな。俺はその姿を見送りながら考える。


「俺は……木工でもしてみようかな」


 DIYでもしたら、木工系のスキルが生えてこないかな? そんな考えだ。


 そういえば最近、母親がよく言ってる『窓を開けて過ごすことが増えたから、縁側があるといいわね』ってことだから、作ってみるか。


 難しい物じゃない。俺はメジャーとノートを持って外へ出た。母親も興味を持ったらしく一緒に付いてくる。


「どれくらいの大きさがいい?」


 相談しながら寸法を決めていく……高さ、幅、長さ……必要な寸法を書き込んでいく。そして部屋へ戻り簡単な図面を描く。


「これならいけそうだな」


 家にはインパクトとサンダーがある。寸法を決めていけば、別料金でカットしてもらえるから、それで問題ないだろう。


 テレビ番組のDIYのように複雑な加工をするわけではないからな。


 今回の作り方だと、座る場所にネジ穴ができてしまうので、ダボを使って穴は無くす予定だ。


 防腐剤などは……調べてみるとウッドステインで色々まかなえるらしい。


「ウォルナットの濃い目の色にしておくか」


 作るものが決まると、両親はすぐにデートへ出掛けていった。


 俺は帰ってきたらすぐに作業できるように庭の準備と道具の準備をしておく。


 その後、父親の車を借りてホームセンターへ向かった。


 必要な木材、ビス、ダボ、ウッドステイン……その他細々した物を購入する。木材は全て寸法通りにカットしてもらった。これで加工の手間は大幅に減る。


 家へ戻ると、


「お兄ちゃん何するの?」


 楓が起きていた。


 ミミと一緒に日向ぼっこをしている。夏なのに、キャンプ設営の範囲内は快適だからな。


「縁側作り」


「へー」


「にゃー」


 興味を持った楓とミミは、手伝うことはないが作業をずっと眺めていた。


 まずはウッドステインを塗る……買ってきた木材へ刷毛を走らせていく。ウォルナットの色は想像以上によかった。


 安っぽさが消えて、落ち着いた雰囲気になる。


「かっこいい」


 楓も素直に感心していた。


 全部塗り終わるころには昼近くになっていた。そろそろ昼食の準備をしないと、楓に文句を言われるな。


「昼飯作るか」


 簡単に冷やし中華を作る……ハム、きゅうり、卵、手軽だが夏にはちょうどいい。


 昼食を終え、少し休憩してから確認すると、水性のウッドステインなので2時間ほどで乾燥していた。


 ここから組み立てだ。


 設計図通りにビスを打ち込んでいく。インパクトドライバーの音が響き、脚を組み、骨組みを固定し、座面を張る。


 楽しい……気付けば集中していた。


「できた」


 寸法は完璧だったが、座ってみると少しガタつく。


「……やっぱりか」


 接地面やその他諸々で若干ガタガタしている。


 サンダーを使い少し削り、地面の方も整える……何度か調整すると、


「お、直った」


 ガタつきはなくなった。


 最後にダボで穴を塞ぎ、余分な部分を切り落として軽くやすりを掛ける。


 そして2度目のウッドステインを塗り、今日の作業は終了だ。


「明日もう1回塗って完成かな」


 まずまずの出来だ、初めてにしては上出来だろう。


 そんなことを考えていた瞬間、


『木工スキルを取得しました』


 突然、頭の中に声が響いた。


「おぉ……」


 本当に手に入った。予想通りだったが、実際に取得すると驚く。こんな簡単に手に入っていいのだろうか?


 だが逆に考えれば、戦闘系ではない生産系スキルは、積極的に増やせるということだ。


 木工があるなら、レザークラフトも期待できそうだな……試してみる価値はありそうだった。


 そんなことを考えていると時計が目に入る。


「あ、やば」


 バイトの時間が近付いていた。


 工具を片付け、軽くシャワーを浴び、作業着から着替えを済ませて家を出る。


 後ろでは楓とミミが完成途中の縁側を眺めていた。


「完成したら座ろうね」


「にゃー」


 そんな声を聞きながら、俺は居酒屋へ向かった。

ここまで読んでくださり、ありがとうございます。

ブクマや評価をしていただけると幸いです。

これからもよろしくお願いします。

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― 新着の感想 ―
きっと大学生本人はダンジョンに行きたいだろうが家族とミミちゃんの流れが好きなのでこのままの雰囲気をもっと読めると嬉しいです。 ミミちゃんが元気になって嬉しいし、ミミちゃんも進化しそう! 続き、楽しみに…
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