027 家族キャンプ前々日
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キャンプに向けた買い出しのために、まず向かうのはアウトレットモールだった。ミミ用のリードを買うために、ペット用品店を探して発見をした場所だ。
「ミミちゃんも行くよ!」
「にゃー」
楓が抱き上げる。さすがにまだリードが無いので、今は首輪に紐を付けて簡易的な脱走防止だけしている状態だ。嫌がる様子もないので、そのまま車へ乗り込んだ。
父さんの運転で出発する。車内では、ずっと楓がミミと話していた。
「楽しみ?」
「にゃー」
「だよね!」
「何話してるんだ?」
「内緒」
しばらく走ると目的地へ到着したが、アウトレットモールは思った以上に広かった。 ペット同伴可能なエリアもあり、休日ということも相まってか犬を連れて歩いている人も多い。
「ミミちゃん、外だよ」
楓の腕の中から周囲を見回している。少し緊張しているかと思ったが、興味津々みたいだな。そのままペット用品店へ向かった。
店内には犬用、猫用、その他小動物用まで様々な商品が並んでいる。
「いっぱいある!」
楓が感心したように辺りを見回す。その楓の腕の中でミミもキョロキョロしていた。
しばらく歩いていると、ミミが何かを見ている。
「なるほど……ふわふわが気になるみたい」
視線の先には猫用ベッドがあった。
さらに歩くと、今度は猫じゃらしコーナー。
「にゃ」
「欲しいの?」
「遊ぶ気満々だな」
最近のミミは本当に元気だ。本当に若返ったと言われても納得できるレベルで動き回っている。そして目的のリードのコーナーへ到着した。
「結構あるな」
シンプルな物から派手な物まで様々だ。猫用ハーネスも並んでいる中で、ミミが一点をじっと見ていた。
「これ?」
楓が手に取ったのは、落ち着いた色合いの猫用ハーネスだった。
「にゃー」
「気に入ったって」
だが他の商品にはほとんど反応しなかったので、それを購入することになった。
続いて向かったのは猫缶コーナーだった。
「おお……」
ミミを見た俺は、思わず声が漏れた……ミミの目が輝いていた。物理的にも輝いているのではないか? と思うほどにキラキラしていた。
猫缶の棚を見つめるミミの姿が真剣過ぎる。楓が聞き取りを始めた。
「うんうん」
「にゃー」
「なるほど、高級猫缶はお昼に食べたいんだね」
予想外だった。てっきり毎食要求するのかと思っていた。
「カリカリも好きだって、だから高級猫缶は1日1回でいいらしい」
キャンプは3泊4日……4食分の高級猫缶を購入することになった。
「にゃー」
満足そうだった。ミミが満足ならいいか。
買い物を終えて店を出ると、アウトレット内にドラッグストアを発見した。念のため暑さ対策用品も見ておきたい。
店内へ入り、瞬間冷却パックと保冷枕を購入する。
「必要かな?」
「清里なら大丈夫だと思うけど、念のためだな」
標高も高いし、真夏でも比較的涼しいが、それでも絶対はない。
「備えあれば何とやらね」
母親も賛成だった。
買い物を終え、次の目的地へ向かう。今度は巨大な会員制スーパーだった。テレビでもよく紹介される有名な店である。
ただし我が家は会員ではない。
駐車場へ着くと、すでに待っている女性がいた。
「あらー!」
母親が手を振る。知り合いらしい。
「久しぶり!」
どうやらこの人が会員なので、一緒に買い物をさせてもらうようだ。推奨される方法ではないが、一緒に入店して購入する約束をしていたようだ。
「助かるわ」
「気にしないで」
父さんは車内に残るらしい。
「いってらっしゃい」
母親と知り合いの方に連れられて店内へ入る。広い……とにかく広い。そして大量の商品が並んでいる。
「すげぇ……」
見たこともない肉の塊、デリバリーピザより大きなピザ、ありえないサイズの調味料……バイト先の居酒屋でも見たことないサイズだった。
「面白いでしょ?」
母親の知り合いが笑う。テレビでは見たことはあったけど、実際に見てみると圧倒されるし、見ているだけでも楽しい。
だが問題はここからだった。
「これどうかしら?」
「こっちも良さそうよね」
女性陣がパワフル……とにかくパワフル。肉売り場だけでかなりの時間を消費した。
母親は、2日目の料理用に肉の塊を購入、ダッチオーブン料理を想定しているので、ここで売っている物にしては小さく見える……小さく見えるだけで、普通にkg単位の肉塊なんだが……感覚がおかしくなりそう。
「見栄えは最高ね」
キャンプ映えはしそうだ。
その後も買い物は続く、あれこれ見て回った結果、気付けばカートには、商品が山積みだった。
滅多に来ないから、日持ちのする物も買い込む勢いだった。
この時点で、俺はすでに疲れていたが……さらに1時間……さらに30分……ようやく会計へ向かう。
「終わった……」
思わず呟いた。
母親たちは、楽しかったわね! と笑顔で言葉を交わしていて、元気だった。理解できなかった。
駐車場へ戻ると、
「お、帰ってきたか」
父さんが妙に元気だった。
「何で元気なんだよ」
「ミミがいたからな」
見ると助手席でミミがくつろいでいる。
「サービスしてくれたんだよ」
「にゃー」
どうやら父さんの膝の上で寝たり、一緒に外で遊んだりしていたらしい。
「楽しかったよ!」
俺だけ疲れていた。
母親の知り合いと別れた後、いつものスーパーへ向かう。野菜類はそちらの方が安くて種類も多い。4日分を考えながら購入していく。
ジャガイモ・ニンジン・タマネギ・葉物野菜・その他諸々……気付けば車の荷室はかなり埋まっていた。ようやく全ての買い物が終わった。
家へ帰り着いた時には、すでに夕方だった。時計を見ると、17時を過ぎていた。
「長かった……」
出発したのは10時頃だったはず……ほぼ1日買い物していたことになる。荷物を下ろしながら、父さんが笑う。
「お疲れ」
「本当にな」
「だから俺は残ったんだ」
やっぱり分かってて逃げたな……母親はまだ元気そうだったし、女性って買い物になると凄いな。
荷物を見て、改めて実感する。来週のキャンプ準備はかなり進んだ。食材も揃ったし、ミミ用品も揃った。暑さ対策も問題ない。
だけど、キャンプとは違うところで、思うところがあった。
「母さんの買い物には、可能な限り付き合いたくない……」
俺の本音に、父さんが大きく頷いた。
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