139 戦闘が続く
アクセスありがとうございます。
「っと、そろそろ昼食を食べるか。ちょっと遅いくらいだけど、検証に熱中してしまったな。翼も隼人も思ったより戦えているし、いい感じだな」
健司がそう言うと、俺たちは空腹を感じたので食事をすることにした。時計を確認すると、すでに昼食を食べるには少し遅い時間になっている。
ちなみに、ここまでの時間は2時間ほど……その間に、14匹のウルフやゴブリンを相手に、戦闘や実験を行っていた。
最初に倒したウルフを含めれば、実際にはもっと戦っていることになるが、セーフティエリアの検証もかなり行ったので、思っていた以上に時間が経っていた。
「それにしても、隼人の言った通り、ハードケースにしたのはありだったな。まさか、ダンジョンの中で美味い飯が食えるなんてな」
健司はハードケースから弁当を取り出しながら、そんなことを言う。
「健司、別におにぎりだって美味いだろ? お前は、泊まりがけじゃないんだから、気にする必要もないだろ?」
「それでも、やっぱり、炭水化物だけじゃなくて、揚げ物を食べられるのは、気分的に違うぞ」
まあ、それはそうかもしれないけど……言われてみれば、そんな気がしないでもない。ただ、今日は日帰りの予定だ。
何日もダンジョンにいるわけでもないのに、そこまで食事にこだわる必要があるのかと思ってしまう。
それでも、ダンジョンという普段とは違う環境だからこそ、普通に近い食事ができることには意味があるのかもしれない。
買っていた時にも、食事は重要だって思ってたけど、1食くらいなら大したことないのでは? と思う自分もいたのだ。
そう思いながらも、俺もハードケースから大盛りの白米と総菜を取り出す。隼人はおにぎりを取り出している。
「「「いただきます」」」
3人で昼食を食べ始める。
ダンジョンの中で食べる昼飯ということで、もっと落ち着かないものになると思っていたけど、セーフティエリアの中にいるせいか、思ったよりも普通に食事ができる。
むしろ、周囲を警戒する必要がないということが、かなり大きいのかもしれない。
「やっぱり、こういう風に飯を食えるっていうのはいいな」
健司が満足そうに言う。
「セーフティエリアがあるからこそだけどな」
「それでもだよ。普通なら、ダンジョンの中で荷物を広げて飯を食おうなんて思わないからな」
俺自身も、セーフティエリアがなければ、こんな場所でゆっくり食事をする気にはならない。
食事を終えると、俺たちはゴミをまとめ、荷物を整理する。
「前情報的には、小型のダンジョンは、1階に20匹、2階に30匹、3階に40匹って、n階×10+10匹が、モンスターの平均出現数って言われてるから、おそらくあと5匹前後だから、そいつらを倒したら、さっき見つけた階段を下りるぞ」
健司が食後の動きを確認する。俺たちは荷物をまとめ、移動を開始する。
格安テントは、通路いっぱいになるが運べたので、階段のある部屋に置いてきている。
上の階へ戻る時にモンスターが湧いていたら面倒なので、階段のある部屋にセーフティエリアを作っておくためだ。
俺たちは迷路の左手の法則を使い、まだ行っていない部屋へ向かって進んでいく。
すると、しばらくして妙な音が聞こえてきた。
健司が足を止めたので、耳を澄ますと、唸り声のようなものが聞こえる。
ただ、これまで聞いてきたモンスターの声とは少し違う気がする。複数の声が混ざっているようにも聞こえた。
「誰かが、戦ってる?」
隼人が小さな声で言う。俺たちは慎重に進み、通路の先にある部屋を覗き込む。
そこでは、オオカミとゴブリンが戦っていた。
「話には聞いていたけど、モンスター同士でも戦う姿って、なんか不思議だね。健司君は、こういった光景を見たことあるの?」
「いや、聞いていたけど、初めて見たな……っと、こっちに気付いた! 戦闘になるぞ!」
オオカミとゴブリンがこちらへ顔を向ける。ゴブリンは、一番前にいた健司に向かって駆け出した。
一方、オオカミは俺を越して、さらに後ろにいる隼人をターゲットにしている。
「隼人、気をつけろ。お前がオオカミに狙われてるぞ。健司、ゴブリンならお前に任せていいよな。俺は隼人をフォローする」
言葉なく健司が前へ出る。
ゴブリンとオオカミでは速さが違うが、健司がゴブリンを迎え撃つ形になったことで、ほぼ同時に戦いが始まった。
オオカミが隼人へ飛び掛かる。
隼人はひるむことなく、透明な盾を前へ突き出した。
ガンッ! っと、オオカミの鼻が盾へ勢いよくぶつかる。
オオカミが悲鳴を上げ、頭を振り、人間みたいに鼻をぶつけて涙目になっているように見える。
それでも、オオカミはすぐに体勢を立て直した。
隼人が警棒を振るい、左顔面を叩かれたオオカミが、また頭を大きく振った。それでも隼人へ牙をむき出しにして、グルグルと唸っている。
「オオカミさんや、俺から目を離すなんてな」
俺はオオカミの首へ狙いを定める。片手斧をオオカミの首をめがけて振り抜いた。
ゴキャリッ、乾いたような嫌な音が響き、オオカミの身体から力が抜け、そのまま地面へ倒れた。
「おぉ、上出来だな」
健司の声が聞こえる。
俺たちがオオカミを倒すのにかかった時間は、ほとんど一瞬といってもいい。それなのに、健司はすでにゴブリンを倒していた。
「お前、おかしいだろ……」
健司は何でもないような顔をしている……そして、すでにゴム手袋を取り出していた。
「魔石を回収するぞ」
俺と隼人も、鞄の側面の袋に入れていたゴム手袋を取り出して装着する。
魔石の取り方は、今までの15匹で実践している。最初はかなり手間取ったが、今では魔石を取り出すくらいなら、なんとかできるようになっている。
魔石を回収し終えると、俺たちは再び探索を続けた。その後も左手の法則に従って部屋を回り、追加で4匹のモンスターを倒した。
ここまで読んでくださり、ありがとうございます。
ブクマや評価をしていただけると幸いです。
これからもよろしくお願いします。




