133 猫様には勝てぬ
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今日は訓練でかなり身体を動かした。
明日からも訓練することを考えると、今のうちに必要なものを揃えておいた方がいいな。部屋に入りパソコンを起動して、注文しようと思っていたポリカーボネート製の盾を探す。
いくつか商品を見比べたあと、健司と相談していたものと同じタイプを注文する。
支払い方法を選択すると、コンビニ払い用のQRコードが表示された。
「これなら、先にスマホで注文して、帰りに払ってくればよかったかな」
スマートフォンにQRコードを送信して、近くのコンビニへ向かい、店内に入り、端末で手続きを済ませてからレジへ行く。
支払いまで終わった。商品が届くのは明後日の予定らしい。
盾が届くまでに、できることをやっておけばいい。コンビニを出て家へ向かっていると、途中にあるドラッグストアが目に入った。
……なんとなく、寄ってみるか。
寄ってみたはいいけど、特に買うものなんてないんだよな。そんなことを考えながら店内を歩いていると、猫用品が並んでいるエリアが目に入った。
「…………ミミに何か買ってくか」
そう思ったものの、ミミのことを考えると、買うものは餌くらいしかない。
おやつは、定期的に通っている動物病院というか、もはや研究所みたいなところから出ているものを食べている。
最近は、そこで貰っているものがあるから、店で買うこともほとんどなくなった。
「それにしても、こんなに種類があるんだな……たまには、買っていってみるか」
おやつをいくつか選び、ついでに、高級そうな猫缶も手に取った。
研究所からもらっている物は、ミミのための栄養価を考えた猫缶で、普段食べているものより、明らかに値段が高いものだけど、ここの高級猫缶もそれなりにお高かった。
「ミミが喜んでくれるといいな」
そう思いながら会計を済ませ、帰宅すると、そのまま自分の部屋へ向かう。
今日は特にやることもないので、ベッドに腰を下ろして、しばらく小説を読む。そうしているうちに時間が過ぎ、バイトへ行く時間になった。
身支度を整えて、居酒屋へ向かう。
いつものようにキッチンとホールの両方をこなしながら働いていると、あっという間に閉店時間になった。
閉店時間が24時ジャストなので、閉店作業まで済ませて家へ帰れば、24時半を回る。
「お疲れ様でした」
店を出て、そのまま家へ帰り、玄関を開けて中へ入る。
「ただいま」
電気がついていないから、起きている家族がいないのは分かってたので、返事がないのは気にしない。
リビングを覗いてみるが、ミミの姿はなかった。どこかお気に入りの場所で寝ているのかもしれないな。
そんなことを考えながら家の中を確認していると、テーブルの上に書き置きがあった。
『たまにはお風呂に浸かって、ゆっくり温まりなさい』
母親からだった。最近はシャワーだけで済ませることが多かったからな……書き置きに返事をするように呟き、準備されていた風呂へ向かう。
せっかくなので、今日は言われた通り湯船に浸かる。身体が温まってくると、今日の疲れが少しずつ抜けていくような感じがした。
風呂から上がり、自分の部屋へ向かう。扉を開けた瞬間、ベッドの上に何かがいることに気付いた。
「……あれ?」
暗い部屋の中で目を凝らすと、そこにいたのは、ミミだった。
「お気に入りの場所じゃなくて、俺のベッドの上で寝てるんだな……」
ベッドの上で、お腹を出して完全に無防備な状態で寝ている。イベントスタッフとして1日働いてきたのだから、疲れているのだろう。
俺も起こさないように静かに部屋へ入ると、気配に気付いたのか、ミミの耳が動いた。
ゆっくりと目を開ける。
「起きたか?」
ミミがこちらを見て、俺の顔を確認すると、ささっと移動した。
移動した先は……俺の机の上。そこには、さっき買ってきた猫缶とおやつが置いてある。ミミが、その横で前足をタシタシと動かしている。
「…………食べたいのか?」
タシタシ……どうやら食べたいらしい。
1年前なら、こんな時間におやつなんて絶対にやらなかった。でも、今のミミなら問題ないので、
「分かったよ。どれがいい?」
俺は買ってきたおやつを並べる。ミミはそれぞれを見比べるように眺めたあと、前足をタシタシと動かした。
「これと、これか?」
ミミが選んだ2つを手に取る。
「2つ食うのか?」
食いすぎで、で……そこまで考えたところで、ミミの視線が鋭くなった。
「…………」
俺は口を閉じる。あぶねえ……また楓にノンデリとか言われるところだった。
「どっちから食べる?」
ミミに選んでもらう。先に選んだ方を開けて食べさせ、そのあともう1つも渡す。ミミは満足そうに食べ終えると、こちらを一度だけ見て、そのまま部屋から出ていった……現金な猫だな。
廊下からガチャガチャという音が聞こえてきた。どうやら、リビングで寝るのではなく、楓の部屋へ行くらしい。
俺は苦笑しながらベッドへ入った。明日も訓練がある……ポリカーボネート製の盾が届くまでの2日は、武器の振り方を中心に学ぶ予定だ。
そう考えながら、俺は眠りについた。
翌日からも、訓練は続いた。斧の振り方を確認し、攻撃するときの姿勢を確認する。ただ振り回すだけなら簡単だが、相手がいることを考えると、意識することが一気に増える。
攻撃したあとに、どうやって次の動きへ繋げるか、相手が反撃してきたらどうするか、足を止めないためにはどうするか……健司に教えてもらいながら、何度も繰り返す。
そして、隼人の頑強スキルについても検証を続けた。昨日と同じように、最初は軽く叩くところから始めて、少しずつ強くしていく。
そして、2日後、注文していた盾が届いた。
「おお……」
箱から取り出した盾は、思っていたよりもしっかりしていて重いんだな。透明なポリカーボネート製なので、向こう側も見える。
「これなら、確かに使いやすそうだな」
実際に腕へ装着してみる。重さはあるが、気になるほどではない。その日から、盾を使った訓練も始まった。
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