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129 始動前の準備

アクセスありがとうございます。

 今日のうちに集められた情報については、グループチャットにまとめて共有してある。俺たちが大学で調べていた情報だけではなく、女子たちが友達から聞いてきた話もかなり役に立った。


 今日は5人で集まってのんびりしていたらしいが、ただ遊んでいたわけではない。


 それぞれ自分の友達から、講義や卒論に関係しそうな情報を聞いて、それを俺たちに教えてくれたのだ。おかげで、思っていたよりも面白い情報が集まっていた。


 大学の中で、探索者関係の研究を始めようとしている教員がどのくらいいるのか。どんな研究がすでに始まっているのか。それから、探索者向けの講義や、今後新設される可能性がある講義についての噂まであった。


 すぐに役立つ情報ばかりではないが、今後の研究を考えるうえでは十分参考になる。そんな情報を確認しながら、俺たちは明日の予定を決めていた。


 俺たちは、大学ではなく、3人の中で一番集まりやすい場所にあるショッピングモールで集合することになった。


 そして、まずは武器を決める。その後、実際に使ってみて、訓練方法を考える。ダンジョンへ行くのは今週末の予定だから、それまでに最低限の準備を終わらせておきたい。


 そのためにも、明日はかなり重要な日になる。


「隼人は、いったん体を動かすところを見てから、どういったスタイルにするか決めるけど、翼は基本的に薪割斧……まあ、ハンドアックスとか、片手斧を中心に考えればいいか?」


 明日の予定を確認していた健司が、俺を見る。


「俺は、何をすればいいか分からないから、健司君のアドバイスに任せるよ」


「俺は、メインは片手斧って感じだろうな。盾を持つのか、片手斧を2本持つのか、それは分からないけど、そこらへんも含めて一緒に考えてくれ」


「了解。一応、訓練の方法や武器は、こっちで考えておくわ」


 そうして、お互い家に帰った。家に帰れば、いつものようにミミがいた。


「ただいま」


 俺が帰ってきたことに気付いたミミが、こちらへやってくる。少しだけ相手をしてやってから、バイトへ向かう。そして、バイトが終われば家へ帰り、風呂に入って、寝る。


 特別なことは何もない。


 ただ、そんな日常を感じるルーティーンが、なんとなく嬉しかった。事件があってから、何かと非日常的なことが続いていたからだろう。こうして普通に大学へ行って、友達と話して、バイトへ行って、家に帰る。


 そんな生活が戻ってきたような気がした。


 そして、翌朝。


「お兄ちゃん、今日は早いね」


「集合時間が早いからな」


 朝食を食べながら、楓とそんな話をする。今日は母親の車に乗せてもらって、集合場所まで送ってもらうことになっている。


 ミミはというと、今日は楓と一緒に仕事をするらしい。だから、俺が早めに家を出ても、ミミを寂しがらせることはない。そういえば、朝食のときに聞いて驚いたことがあった。


 ミミが仕事で得た賃金は、母親が管理しているものだと思っていたのだが、実際には楓が管理しているらしい。


 ミミ自身が何かにお金を使うことはほとんどない。そのため、ミミ専用の口座を作って、そこにミミのお金を入れているそうだ。


 しかもミミは、俺たち家族に何かあったときには、そのお金を使ってほしいと言っているらしい。12歳のおばあちゃん猫が、何を心配しているんだか。


 とはいえ、まったく使っていないわけでもない。


 いつの間にか自分のチャンネルまで作っていて、楓にいろいろと設定してもらい、動画を見るためにサブスクまで契約したらしい。投稿サイト系の動画だけじゃなく、最近はテレビ番組なんかも見ているようだ。


 順調に賢くなってるな……


 そんなことを思い出しながら、集合場所へ向かった。母親の車から降りた俺は、集合場所のショッピングモールの近くにあるベンチに座った。


 まだ予定の時間にはかなり余裕があるので、スマートフォンをいじりながら待っていると、しばらくして声を掛けられた。


「翼、今日は早いな」


「昨日だって、遅れてないぞ。今日は確かに早いけどな」


「まあ、そういうことにしておくか」


 健司が笑いながら隣まできて、俺もスマートフォンをしまって立ち上がる。


「結局、翼は斧でいいのか?」


「技術が必要ないとは言わないけど、剣や短剣、槍に比べれば、基本動作だけならそこそこ簡単だろ?」


「どんな武器を使っても、一定以上の効果を出すには、ある程度の技術が必要だからな。その中でも、斧は簡単なのかな?」


「よく分からないけど、叩きつけるっていう、分かりやすい攻撃だけだからな」


「まあ、確かにな」


 健司と話しながら、ふと思い出した。


「そういえば、健司って拳って言ってたけど、お前のスキルって聞いたことないけど、何なんだ?」


「あれ、説明してなかったか?」


「聞いてないと思う」


「俺は、格闘技ってスキルだな。結構アバウトだけど、殴る蹴るの徒手格闘が、一番効果があったと思う。だから、メリケンサックとかを使ってるんだよな」


「格闘技って……なんか定義が広いよな」


 基本的には素手で戦うイメージだから、拳の威力を上げるためにメリケンサックを使っているのだろう。

ここまで読んでくださり、ありがとうございます。

ブクマや評価をしていただけると幸いです。

これからもよろしくお願いします。

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