↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
PR
125/143

124 落ち着いてきた日常に一波乱?

アクセスありがとうございます。

「ダンジョンに関わるなら、俺も武器くらいは用意しておくべきかな?」


「何かあった時に身を守る武器は必要だぞ」


「やっぱりか」


「ナイフとかは、実際リーチが短いとか、軽いとか問題があるからな。俺がおすすめするのは、ホームセンターで買える薪割りの斧とかだな」


「斧?」


「使い方が分かりやすいし、キャンプでも使える。もししっくり来たなら、ミリタリーアックスを買うのもいいと思うしな」


「斧か……」


 あまり武器としてピンとこない。そういえば、RPGには大体あるな……剣、槍、斧、槌、爪……そういう系統が武器の中心になっている作品は多い。


「キャンプにも使えるし、薪割りの斧はありかもな。鉈もあるけど、耐久性を考えたらな……斧は最悪、鈍器としても使えるよな」


「よく分かってるな」


 健司が満足そうに頷く。


「刃が潰れても鉄の塊だから、それだけでも十分効果はある。強いモンスターに通じるかは分からないが、外に出てくるモンスターを考えれば、薪割りの斧くらいでちょうどいいと思うぞ」


「なるほどな」


 そんな物騒な話をしていると、後ろから声が聞こえた。


「危ない人たちの会話に聞こえるから、声のボリューム下げなよ」


 振り返ると、隼人が苦笑しながら立っていた。


「おはよう、隼人」


「おはよう。朝から何の話してるの?」


「武器の話だな」


「だから危ない人たちに聞こえるんだよ」


 隼人が呆れたように言った。それから少しずつ女性陣も集まり、最終的には全員が揃った。


 何人かは、少しやつれたような雰囲気がある。ただ、不健康というほどではなさそうだ。


 俺は少し安心した。


「そういえば、事件の件だけど」


 全員が揃ったところで、俺から警察から連絡があったことを簡単に伝えた。被疑者3人について、傷害や脅迫、殺人未遂などの被疑事実で検察庁へ送致されること。


 俺と健司以外は、今後関わる必要はほとんどないだろうということ。


「出廷する必要はないみたいだけど、場合によっては、リモートとかを使って証言を求められる可能性はあるみたいだから、その時は協力してほしい」


 何人かが頷く。事件の話は、それだけにした。これ以上話しても気分が沈むだけだ。


「じゃあ、講義の話にしようか」


 俺が話題を変えると、自然と大学生活の話になった。その中で、就職活動についても話が出た。


「私は、もう内定決まったよ」


 そう言ったのは、グランピングの前から就職活動をしていた1人だった。


「前に受けてたところから内定もらえたから、慌てなくてよくなった」


「おめでとう」


「ありがとう」


 彼女は少し照れたように笑った。内定が決まったことも、精神的に落ち着くきっかけになっているのかもしれない。


 特に、1人暮らしをしていて、事件の後から一番早く立ち直っていた子だった。


 他の4人については実家住みで、親から「精神的に落ち着いてからでいい」と言われているらしい。そのため、今は就職活動よりも、まずは卒業することを優先するようだ。


 事件の影響がなくなるまでには、まだ時間が必要なのだろう。全員の話を聞き終わると、今度は卒論について話す。


「じゃあ、そろそろ探すか」


 俺たちは2つのグループに分かれ、それぞれ卒論を監督してくれる教授や准教授を探すことになった。


 俺たちのグループには、探索者の活動にかまけていたメンバーはいない。そのため、去年までに単位を全部取り終わっている。卒業に必要な単位を気にしなくていいというだけで、かなり余裕を持って動ける。


「まず、スキル関係の研究をしてる先生がいるか探すか」


「俺は運動系だな」


「健司は、探索者の訓練をテーマにしたいんだろ?」


「ああ。せっかくなら、普通のスポーツとは違う、探索者ならではの身体の使い方とかも調べてみたい」


「それなら、スポーツ系だけじゃなくて、身体科学とかも見てみた方がいいかもな」


 俺たちは大学のサイトを開き、教員の研究分野を確認していく。まだ講義も始まったばかりだ。卒論のことを考えるには、ちょうどいい時期でもある。早い人なら、もうゼミを決めて、卒論を書き始めているらしいしな。


 でも、俺がやろうとしているのは、今まで誰も本格的に研究していない内容だ。だから、指導してくれる先生を探すところから始めるしかない。


「……結構、いるな」


「問題は、誰が興味を持ってくれるかだな」


 健司の言葉に、俺も頷いた。


 最後の1年……大学生として過ごす時間も、もうそれほど長くない。卒業するための単位を取るだけなら、難しいことはない。


 でも、せっかく時間があるのなら、自分がこれから関わっていくことについて、少しくらい深く勉強してみてもいい。


 俺は、スキルが世界に与えた影響……健司は探索者の訓練……どちらも、これから先の世界に関係するテーマだ。


 そんなことを考えながら、俺たちは教員の研究分野を1人ずつ確認していった。


 助教や准教授の考えは、俺たちには分からなかったため、この卒論の監督探しは、大学の教員たちの中で小さな波紋を起こした。

ここまで読んでくださり、ありがとうございます。

ブクマや評価をしていただけると幸いです。

これからもよろしくお願いします。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。