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120 腹ペコミミと謎の能力?

アクセスありがとうございます。

「お兄ちゃん、そろそろお昼になるから、帰るけどどうするの?」


「あ~、俺もいったん帰るよ。店長、居酒屋のバイトがあるので、帰ったら少し休んで居酒屋の方に行きます」


「おう。まだ病み上がりだから、無理させないでくれって、よく分からん町内ネットワーク経由でお前の母親に言われてるからな」


「……町内ネットワーク?」


「そう。だから午後も来るって言ったら、休めっていうところだったわ」


 どうやら、俺が調子に乗って働きすぎないように、母親が先に手を回していたらしい……恐ろしい。


「じゃあ、今日はこれで失礼します」


「おう。また今度な」


 店を出て、楓と並んで歩く。腕の中では、ミミがすっかり力を抜いている。


「日本って、近所付き合いが減ってきているのに、たまに謎のネットワークがあるから不思議だよね……っと、ミミちゃんがお腹空いたっていうから、早く帰ろう」


「腹減ったのか?」


 ミミが返事をする。あれだけ動いたんだから、普段と同じ量の食事じゃ腹が減るか……元気になる前と比べれば、今でも倍以上食べている。それでも、身体を維持するので精一杯で、少し運動すればエネルギーが不足してしまうみたいだ。


 かといって、食事の量を増やそうとしても、これ以上は胃が受け付けない。だから、普段はおやつをこまめにあげている。


「おやつ持ってくるべきだったな。ミミ、ごめんな。店長なら遊んでくれると思ってたけど、あそこまで遊ぶとは思わなかったからな」


 今日は朝と昼の間がそこまで離れていないから、おやつを持ってきていなかった。動くと分かっていたのに、これは失敗だったな。ただ、ミミはお腹が空いているようではあるものの、それ以上に満足しているらしい。


 楓の腕の中でゴロゴロと喉を鳴らしながら、半分眠っている。


「まあ、楽しそうだったからいいか」


 家に着くと、ミミはすぐに食事の器の前まで移動して、一鳴き。


「お兄ちゃん、ミミちゃん、缶詰2つ食べるって」


「じゃあ、カリカリはいらないのか?」


「違うみたい。いつもの昼食に、もう1個缶詰を追加してくれって言ってる」


 俺は思わずミミを見る。


「食べれるんだよな?」


「にゃっ」


「少しゆっくり食べるから、大丈夫だって言ってるよ」


 ミミのお願いなので断るつもりはない。ただ、心配になる食事量だ。


 楓は俺に報告しただけで、すでにミミの食事を準備している。たぶん、念のために俺へ報告しただけなんだろう。


 その間に、俺は自分の昼食を作ることにした。


 母親が昨日、天ぷらをしたらしく、今日の昼用にかき揚げを作ってくれていた。かき揚げをトースターへ入れ、少しカリッとなるように加熱する。


 その間に、天丼用のつゆを作る。ご飯を丼へ盛り、軽くつゆをかけ、その上へ温めたかき揚げを乗せ、さらに上からつゆをかける。


「よし、天丼完成」


 味噌汁は、朝に母親が作った野菜たっぷりのものが残っていたので、これで昼食は完成だ。


 天丼だけなので、15分もしないうちに食べ終わった。俺が食器を片付けながらミミを見ると、まだ食べている。


「……本当にゆっくり食べてるな」


 普段なら、5分もかからずに食べている。それなのに、今日はかなり時間をかけている。まあ、あれだけ食べるなら、ゆっくり食べた方がいいか。


 普通の猫だったら、デブまっしぐらの量だよな……そんなことを考えていると、ミミがこちらを向いた。


「にゃっ!」


「お兄ちゃん、ノンデリだよ……女の子に、体重の話はタブーなんだよ!」


 俺の考えていることが、ミミにはばれてしまったらしい。


「ごめんって」


「にゃ」


 明らかに不満そうな顔をしている。やっぱり、猫の基準はよく分からない。


 昼食を終えてから、俺は少し休むことにした。革細工で集中していたせいか、思っていたより疲れていたらしい。


 ベッドに横になると、どこからともなくミミが現れた。


「お前も寝るのか?」


 ミミは当然のようにベッドへ乗ってくる。そして、そのまま俺の腹の上へ移動すると、香箱座りをして落ち着いてしまった。


「……一緒に寝るってことか?」


 返事を聞きながら、目を閉じると、腹の上にミミの重みを感じる。こうしていると、妙に安心する。


 気付けば、俺も眠っていた。


 そして、おやつの時間になると、


「にゃ」


 ミミに起こされた。時計を見て、


「もう、おやつの時間か」


 どうやら、昼の食事だけでは足りなかったらしい。ゆっくり食べていたとはいえ、食べられる量には限界がある。


 いつものおやつをあげているが、もっともっと、という感じで、最終的には3本分も食べていた。


「さすがに、これだけ食べれば十分か?」


「にゃ」


 返事は元気だから、大丈夫そうだな。


 その後、のんびりしていると、居酒屋のバイトの時間になったので、準備をして家を出る。


 昨日より身体は楽だった。特に変わったこともなく、いつも通りに仕事をする。注文を受け、料理を作り、客が帰った後は片付けをする。閉店時間になり、最後の作業を終える。


「お疲れ様でした」


「おう。気を付けて帰れよ」


 店を出る……今日も遅い時間だ。


 すでに日付が変わっているので、家に着くころには24時半になっているだろうな。


 静かに玄関を開け、鍵を閉める。昨日のようにミミが玄関で待っているかと思ったが、今日は姿が見えなかった。


「さすがに……もう寝てるか」


 靴を脱ぎ、家の中を静かに進む。風呂に浸かる気力はなかったので、シャワーだけ浴びる。身体を温め、歯を磨いて、自分の部屋へ向かう。


 今日はさすがに疲れた。ベッドへ入り、布団をかぶる。


「……おやすみ」


 誰に言うでもなく呟く。


 今日はミミが入ってくる気配はない。少し寂しい気もするが、たぶんミミも疲れているのだろう。まぁ、昨日が特別だっただけだしな。


 そう思いながら目を閉じ、そのまま眠りについた。

ここまで読んでくださり、ありがとうございます。

ブクマや評価をしていただけると幸いです。

これからもよろしくお願いします。

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