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117 戻ってきた日常?

アクセスありがとうございます。

 バイトが終わり、家に着くころには、24時半を回っていたので、家族を起こさないように、静かに玄関を開ける。


 鍵を閉め、靴を脱ごうとして、玄関の電気を点けた。


「うお、びっくりした……」


 思わず大きな声を出しそうになった。玄関の隅に、ミミが座っていたからだ。


「……お前、いたのかよ」


 ミミは俺のことを、じーっと見ている。嬉しいんだけど、誰もいないと思っていたところに突然いると、マジでビビる。


 心臓に悪い。


「ただいま、ミミ」


「にゃ」


 靴を脱いで、ミミの前まで移動する。しゃがんで頭を撫で、背中を撫で、そのままお尻をポンポンと軽く叩く。


「今日も待っててくれたのか?」


 返事はするものの、相変わらず何を考えているのかは分からない。ただ、しばらく撫でていると満足したらしい。ミミは立ち上がり、そのまま階段へ向かっていく。


「もう行くのか?」


「にゃ」


 振り返って一鳴き。そして、2階へと登っていった。


「……風呂入って寝るか」


 さすがに今日は疲れた。1週間ぶりのバイトだったから、仕事そのものは楽しかったものの、やっぱり身体には多少の負担があったらしい。


 風呂に入り、歯を磨いてから自分の部屋へ向かう。そして、部屋の扉を見たところで、扉が少し開いていた。


 昼間は閉めて出ていったはずだから、誰かが入ったのだろう。まあ、ここまでくれば誰なのかは分かる……扉を開けて部屋に入る。


「ミミ、どうしたんだ?」


 案の定、布団の上でミミがくつろいでいた。俺を見ると、顔だけこちらへ向ける。


「お前、そこで待ってたのか?」


 ベッドへ腰掛け、そのままミミの身体を撫でる。頭、背中、首の辺り……そのまま身体全体を撫で回していると、ミミが少しだけ離れていった。


 嫌だったらしい。


「ごめん、ごめん」


 そう言いながら、ふと思う……楓に、セクハラとか言われないよな? 昼間にあれだけ言われたばかりだから、妙に気になる。


「……まあ、ミミが嫌ならやめるけど」


 ミミは少し離れた場所から、俺を見る。そして、前足を上げて、


 タシタシッ……枕を叩いた。


 そのかわいい様子を眺めていると、


 再び、タシタシッ。


 どうやら、早く寝ろと言いたいらしい。


「まだ心配してくれてるんだな」


 今日の朝も様子を見に来ていた。そして、夜になったら玄関で待っていて、部屋でも待っていた。怪我が治ったとはいえ、ミミからすれば、まだ完全に安心できる状態ではないのかもしれない。


 一緒に寝てくれるかは分からないけど……寝るまでは一緒にいてくれると嬉しいな……そんなことを考えながら、部屋の電気を消す。


 布団に入って、スマートフォンを手に取る。さすがに動画を大きな音で流す気にはならないので、小さな音量でお気に入りのVtuberの歌枠を流す。


 聞き慣れた歌声を聞きながら、ゆっくりと目を閉じる。


 しばらくすると、布団の中にミミが入ってきた。首元から布団の中へ潜り込んできて、そのまま俺の腋に鼻を突っ込むような位置で丸くなった。


 近い……かなり近い。


「……俺の腋、臭くないよな?」


 返事はない。というか、もう寝ているのかもしれない。


「……まあ、いいか」


 そんな心配をしながら、俺も眠りについた。



 そして、翌朝……昨日と同じように、腹の上に重さを感じて目を覚ました。ただ、今日は昨日とは少し違う。


 ミミが俺の腹の上で、前足を動かしている。


 ふみ、ふみ……俺の腹を、前足で交互に押している。これって……確か、母猫の母乳を出しやすくするために子猫がする行動だったよな。甘えたい時なんかにもするって聞いたことがある。


「おばあちゃん猫になってもするんだな」


 ミミは気にせず、ふみふみを続けている。こういう時は、邪魔をせずに見守るのがいい……みたいな話を聞いたことがある。だから、俺もミミの好きにさせることにした。


 頭を撫で、背中を撫でる。それでもミミは嫌がることなく、ふみふみを続けていた。小さく鳴きながら、前足を動かしている。


 なんとも平和な朝だ。しばらくすると、満足したのか、ミミはふみふみをやめた。


 そして、俺の腹から降りて、床へ着地すると、そのまま身体を伸ばした。


「……可愛いなぁ」


 寝起きなのに、こんな姿を見せられたら、また撫でたくなる。


 頭を撫で、背中を撫で、首の辺りも撫でる。さらに撫でる……撫でる、撫で……逃げられた。


「ちょっと構い過ぎたか」


 ミミは少し離れたところまで移動している。ただ、遠くへ行くわけではない。俺が移動すると、少し先を歩きながら時々こちらを振り返り、ついてくるか確認して進んでいく。


 ……まだ心配してくれてるのだろうか?


 そのままミミについて1階へ降りる。リビングへ入ると、母親がミミを撫でていた。


 そして、俺を見る。


「一応、大丈夫そうね。怪我をしてから初めてのバイトだったからっていって、無理しているってことはなさそうね」


 母親もまだ心配していたのか……そう思うと、少しだけ苦笑してしまう。


「もう大丈夫だよ」


 母親はそれだけ聞いて、ミミを撫で続けていた。


 やがて朝食の時間になると、家族全員が揃った。ただ、今日はいつもと少し違う。


 楓は仕事が休みらしく、いつも以上に緩い雰囲気だ。朝食を食べながら、今日の予定や来週から始まる大学の話をする。


 俺にとっては最後の学年になる。気を引き締めないとな……とはいえ、やること自体は今までとそこまで変わらない。


 就職活動をする必要はない。卒業後は会社を作って、そこで働く予定だからだ。そう考えると、普通に就職活動をしている人たちと比べれば、かなり気は楽だと思う。

ここまで読んでくださり、ありがとうございます。

ブクマや評価をしていただけると幸いです。

これからもよろしくお願いします。

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